少子高齢化社会を迎える時代の投資ルール

第1回

「5000円ではじめる仮想通貨投資入門」著者が実戦する投資戦略

凡人が今学ぶべき投資戦略

 先日も経団連会長の中西氏が「正直言って経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」と発言して話題になりました。

 年金神話に続き、終身雇用神話も崩れ、少子高齢化社会に突入する日本人が生き抜くためには投資を覚えないと、凡人には生きていけない時代になったとも言えます。

 とはいえ、なぜか日本では投資に関してネガティブなイメージが強く、投資に関する教育もされていないため投資の勉強会へ出向いたとしても、詐欺にあう可能性もあるためなかなか手を出せない方も多いのではないでしょうか?

 今回は、なぜ投資を学ばないといけないのか? 投資初心者の方が投資を始めるにあたり注意することとは? 投資の種類、仮想通貨(暗号資産)投資の基本についてお話ししたいと思います。

日本人が今投資をすべき3つの理由

■超高齢化社会が待っている
■住宅過剰供給時代に突入
■給与が上がらない時代

超高齢化社会が待っている

 2015年の国税調査によると、65歳以上の高齢者は、昭和60年(1985年)以前は10%以下でしたが、2015年現在26.6%と4人に1人は高齢者という時代になりました。

 さらに少子化が進む日本では2024年には3人に1人が高齢者になると言われており、労働人口の低下が懸念される中、安倍政権では1億総活躍社会と謳っているが、数年前から副業解禁をした企業が増え続けることや、今回の経団連会長の「正直言って経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」と言う発言からも1人あたりの収入は副業をしなければ生きていけなくなる時代へと突入するのではないでしょうか?

 日本国民が頼りにしている年金も、年金制度が始まった昭和36年(1961年)の平均寿命は男性で65.32歳、女性は70.19歳(厚生労働省昭和35年平均寿命より)と、受給資格のある年齢が短いため制度として成り立っていましたが、寿命が延びた現在将来年金が生活していけるほどもらえるのかは疑問です。

住宅過剰供給時代に突入

 野村総合研究所の発表によると2033年には空き家率は現在の16.1%から27.3%まで上昇すると予測しています。

 一昔前の日本であれば、高度経済成長期を経験し産めよ増やせよの時代であったため、土地を持っていれば値上がりし、貯金していれば大きな利息が帰ってくる時代がありました。

 総務省の資料を見ても、2050年には日本人は1億人を切り、高齢者が約4割になると予想され、人口減少が加速度的に進むとされています。

 2020年東京オリンピック、2025年には大阪万博が控えているので、今はまだ不動産への投資は魅力があるが長期的に見れば不動産への投資は向かない可能性は高いでしょう。

給与が上がらない時代

 高度経済成長期を経験した私の親の世代では、会社に勤めてさえいれば雇用は守られ、毎年給料が上がっていく時代があったが、現在終身雇用は神話となり、高齢化が進むにつれ社会保険料は増大の一途をたどっています。

 平均給与はほぼ横ばいにもかかわらず、社会保険料が増大するということは手取額が下がっているので、自由に使えるお金は減っているということになります。

 過去の日本のように、会社で一生懸命働いていれば投資なんかしなくても生きていける時代は終わりを迎えるでしょう。

投資に対する誤解と投資の基本

 日本という国は江戸時代までは「武士は食わねど高楊枝」、戦後までは「贅沢は敵」というように、お金を求めることはネガティブに捉えられていたため、投資に関しての教育というものが遅れています。

 そこにつけ込む人も多く、私も投資セミナーというものに多数参加しましたが、まともな投資案件に出会うことはほぼありません。

 それどころか質問をしたらセミナー会場から追い出されたこともあります。

 実際に投資した方に話を聞いても「とても親切な人だから騙すはずがない」とか「有名人だから嘘をつくはずがない」「主催者がお金持ちだから私も」とかの意見が多く、投資商品自体を論じているのをまず見ることがありません。

 私自身もセミナーを行いますが、「私の言うことすら疑ってください。聞いた話が本当なのか? 必ずご自身で調べるようにしてください」とお伝えしています。

 逆に投資で成功している方と話をすると、共通しているのは「勤勉である」ということです。

 「楽していきたいから」「働きたくないから」などどんな動機でも構いませんが、大切なお金を投資するのですから投資の基本だけは守ることをおすすめします。

最高の投資モデルは人生

日常投資思考

 一言に投資と言っても、不動産や株、絵画などへの投資と同様、一日の時間を「何をして過ごすのか?」「何にお金を使うのか?」なども投資と同じでとても大事です。

 一流の人たちはその分野で一流になるために、人生の大切な時間を投資します。

 価値のある情報を得るためには一流の方から学ぶためにお金を投資します。

 このように何に時間を使い、何にお金を使うか? これが日常から出来ている人は人生の投資に成功しているでしょう。

 人間の成長と同じく、お金の投資も少しずつ増えていくものなので、「楽して金儲け」は存在しないことを知っておいてください。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

 ドイツの宰相オットー・フォン・ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言っています。

 他者の失敗から学び、自分は同じ失敗をしないようにするという意味なのですが、人間というのは愚かなのでほとんどの方が経験して失敗しないと学びません。

 もちろん私は愚者なのでたくさん失敗もしましたし騙されもしました。

 ですがその経験は今に生きていますし、「親切だからいい人」「有名人だから本当のことを言っている」「メディアが言っているから信用できる」と鵜呑みにせず、その情報のソースは信頼できるのか? と必ず自分で調べる癖がつきました。

 大事なのは「自分の器以上に大きな失敗をしないこと」です。

 私の相談者の中には「今は借金してでも投資した方がいいですか?」という質問をする方もいますが、「どれだけチャンスであっても借金して投資はしないでください」とお答えしています。

 もちろんそこに人生をかけてうまくいくこともありますが、宝くじに当たって人生を棒に振る方がいるように、「した方がいい失敗としない方がいい成功」があります。

 人間は欲望を持つ生き物なのでたまたまうまくいってしまうと、同じように一攫千金を狙いどこかで大きな失敗をする方をたくさん見てきました。

 是非堅実な投資姿勢をもつようにしてくださいね。

 次回は投資の基本的な考え方をお伝えします。

上野 義治

昭和44年8月28日生まれ 大阪市在住。YouTubeやメルマガでの情報配信、日本4大都市でセミナーを開く仮想通貨投資家。現在YouTubeチャンネル登録者数1万人、メルマガ読者1万1000人ほど。「はじめてでもわかる!稼げる!仮想通貨入門」(Kindle版)、「5000円ではじめる仮想通貨投資入門」(インプレス)など著者としても活躍。ビットコインをはじめ、仮想通貨は正しい知識を持てれば、安全なものであることを知ってもらう活動をしている。