イベントレポート
スマートロック×ブロックチェーンでシェアリング事業に進出
BCL Foundationが「BCL チェーン」活用プロジェクトを開始
2018年8月24日 07:23
シンガポールに本社を置くBCL Foundation Ltd.は8月23日、トークンエコノミーを組み込んだ企業向けパブリックチェーン「BCL チェーン」を活用したプロジェクトを開始したことを発表した。同プロジェクトは、BCL Foundationグループである日本法人のブロックチェーンロック株式会社が、TIS株式会社および株式会社野村総合研究所の出資を受け、ブロックチェーンとスマートロックなどのIoTデバイスを活用するなど、「BCL チェーン」のユースケースの開発と普及を進めていく。
ブロックチェーンロック社は、「BCL チェーン」の最初のユースケースとして、スマートロックとスマートコントラクトを組み合わせて、シェアリングビジネスの分野に進出するという。すでに中国のスマートロックメーカーの製品を日本仕様に変更し、実用化を目指しているそうだ。ちなみにこの製品は、アイデアの実証などを目的としたPoC(Proof of Concept)ではなく、市販を目指す製品であるとのこと。同社のロードマップによると、12月発売の予定だ。
BCL Foundationの創業者でありブロックチェーンロック社のCEOでもある岡本健氏は、国内労働人口の減少、働き方の多様化、価値観の多様化を背景に、住宅、オフィス、店舗や、車、自転車など、街中での「スペース」「移動手段」「モノ」を共有するシェアリングエコノミーはさらに進み、さまざまなシーンで資産共有のツール・技術として、IoTおよびスマートロックの活用ニーズが拡大すると考えているそうだ。シェアリングエコノミーとは一時的な所有権(利用権)の移転を意味し、「BCL チェーン」はその所有権の移転を保証するものであるとのこと。
岡本氏は、物理的な部屋の鍵を人に渡すとコピーされてしまう恐れがあるが、鍵をスマートロックに変えるだけで、宿泊施設、レンタル会議室、自宅の一室などを気軽に貸せるという。また、部屋に限らず、車や自転車のシェアリング、コインランドリー、宅配ボックスなど、この仕組み活用できる先は無数にあるという。
これまで岡本氏は、それがブロックチェーンである必要があるのかと、散々、問われてきたが、企業や個人がシェアリングビジネスを始めたいというときに、今までのように大仰なシステムを導入しなければならないのは、ナンセンスであり、困難であろうという。そこはブロックチェーンのような分散型のシステムが向いているという結論とのこと。なぜ、既存のブロックチェーンではなく、新たに開発した「BCL チェーン」なのかという問いには、鍵の所有権を移動させる際に、決済に何分もかかってしまうのは実用的ではないということと、やはり企業がブロックチェーンを導入する場合は、完全にパブリックなのは怖いという意見も多いということから、独自のブロックチェーンが必要であると判断したとのこと。
さらに、ブロックチェーンロック社は、「BCL チェーン」のスマートコントラクトとIoTデバイスのハブとなる「BCLブロックチェーンコンピューター」の販売も予定しているという。仕様など詳細については語られなかったが、ブロックチェーンのライトノードの機能を持つほか、トークンのウォレット付きであるそうだ。ウォレットと鍵が1つになることで無限の可能性が広がるはずだと、岡田氏は今後の「BCL チェーン」についても明かしている。