仮想通貨(暗号資産)ニュース

不動産売買を仮想通貨で即時決済、NEMスマートコントラクトの実証実験結果をルーデンが発表

事務手続の手順はおよそ3分の2に、手戻りや契約の反故といった不足の事態を防ぐ結果に

 不動産事業などを営むルーデン・ホールディングス株式会社は8月23日、不動産物件売買における仮想通貨やスマートコントラクトの利用についての実証実験結果を公表した。実験の結果、システム化による単純な業務効率化だけでなく、前の段階へ戻ってやり直す手戻りや契約の反故といった不測の事態も防ぐことにつながり、導入効果は高い見込みとしている。

 実証実験では、売買契約書の公証にはNEMの試験用環境であるTestnetと「nano Wallet」を用い、物件売買はbitFlyerのWebサービスとAPI接続機能でBitcoin現物の1マイクロBTCを買主のウォレットから送金することで検証を行った。不動産物件売買におけるこれまでの既存業務フローと、スマートコントラクトを利用した実証実験の業務フローを比較すると、以下のような表になる。手順はおよそ3分の2に削減されるとのことだ。

【既存の業務と実証実験の業務のフロー比較】
No.既存の業務フォロー実証実験の業務フロー
1売主(販売部門)が売却物件を掲出、買主が購入物件を探す。売主(販売部門)が売却物件を掲出、買主が購入物件を探す。
2買主が当該物件の購入申込みを行う。買主が当該物件の購入申込みを行う。
3売主(販売部門)が購入申込内容を確認する。ルーデン社(システム)が購入申込内容を確認する。
4売主(経理部門)が購入申込みと同時に支払われた手付金の入金を確認する。買主はルーデン社の仮想通貨口座に仮想通貨(Bitcoin)を送金する。
5売主(法務部門)が売買契約書を作成し、売主側の捺印をした状態で買主に送付する。ルーデン社(システム)は仮想通貨の送金完了を確認すると直ちに売買契約書のスマートコントラクトおよび仮想通貨の日本円への売却を実行する。なお、公証された売買契約書は速やかに買主および売主に共有される。また連続して、物件の登記申請書を出力し、それを必要書類の取得依頼とともに買主に送付する。同時に物件売却代金を売主に引き渡す。
6買主側は送られた売買契約書を確認し、問題が無ければ契約書に署名・捺印して返送する。-
7売主は買主が作成する登記申請書を送付するように要求する。-
8買主は法務局に提出する登記申請書を作成して売主に送付する。合わせて、自分の印鑑証明書などを取得し、準備する。買主は、ルーデン社から送られてきた登記申請書を基に、法務局に提出する登記申請書を作成して売主に送付する。合わせて、自分の印鑑証明書などを取得し、準備する。
9売主(法務部門)が買主から送られてきた登記申請書の内容を確認し、問題が無ければ署名・捺印し、物件の購入代金(手付金を除く金額)の支払いを要求する。売主(法務部門)が買主から送られてきた登記申請書の内容を確認し、問題が無ければ署名・捺印し、買主に返送する。
10買主は購入代金全額(手付金額を差し引いたもの)を送金する。-
11売主(経理部門)が代金の支払いを確認する。-
12売主から売却物件の登記識別情報(登記済証)と買主から送付されている登記申請書を合わせて買主に送付する。-
13買主は法務局にて登記申請書を提出して、登記申請を行う。買主は法務局にて登記申請書を提出して、登記申請を行う。
14正しく登記申請が行われたのち、物件の引き渡しを行う。問題が無ければ買主は売主に対して引渡確認書を提示して、物件の売買が無事終了となる。正しく登記申請が行われたのち、物件の引き渡しを行う。問題が無ければ買主は売主に対して引渡確認書を提示して、物件の売買が無事終了となる。

 ルーデン社はこの実験の結果、買主側には、物件引き渡しまでの時間短縮、契約条件交渉や締結時間の短縮、代金支払後の不法引き渡し拒否などのトラブル軽減といったメリットがある。売主側には、代金入金までの時間短縮、契約条件交渉や締結時間の短縮、購入申込み後や売買契約締結後の未払いによる時間逸失や売買中断などのトラブル軽減・回避といったメリットがあると結論づけている。

ルーデン・ホールディングスのプレスリリースより引用