仮想通貨(暗号資産)ニュース

NEC、ビットコインアルゼンチン等とブロックチェーン活用のデジタルID開発へ

貧困層でも金融サービスが受けられる環境提供を目指す

(Image: Shutterstock.com)

NECの海外現地法人であるNECアルゼンチンは8月23日、NGO Bitcoin Argentina(Civil Association DECODES)と米州開発銀行グループのイノベーション研究所IDB Labの3社間で、ブロックチェーン技術を活用したデジタルID開発プロジェクトに関する覚書を締結した。ブエノスアイレス市民に対し、安全かつ透明性の高い自己証明型のデジタルIDの提供と、質の高い製品やサービスへのアクセスの向上および経済的脆弱性の改善を目指す。

ブエノスアイレス市によると、住民の16.2%が生活に必要な物資すら購入できない貧困層だという。住民が貧困から脱出できない要因の1つに住民に関する情報が不完全であることが挙がっている。情報の欠如が住民の市場への参加を妨げ、また、経済的に平均的な階層の人たちよりも高い対価が求められなど、不利益を被ることにつながっているという。

こうした課題を解決するため、デジタルID開発プロジェクトは、すべてのブエノスアイレス市民に対してブロックチェーン技術の活用によるデジタルIDの発行を目指す。デジタルIDでは、個人の取引履歴を高い安全性と信頼性を担保しながらブロックチェーンに記録し、プライバシーを守りつつ、データを自己管理できるようにする。それにより信用度が証明でき、銀行口座を持てない住民でも、デジタルウォレットを利用し、支払いや送金などの金融サービスを受けることが可能になる。

プロジェクトは4年の期間を予定。最初は貧困街として知られるビジャ31地区へ導入し、その後、ほかの2つの貧困地区に拡大していく。プロジェクトの実行責任はNGO Bitcoin Argentinaが務める。すでにNGO Bitcoin Argentinaは、IDB LabとAccenture、IOV Labsの支援を受けている。今回の覚書締結により、NECアルゼンチンはメインテクノロジーパートナーとして、デジタルIDソリューションの開発に直接貢献していく。