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ベトナムの仮想通貨業界代表者、政府に「規制のサンドボックス」求める

司法省「本社のシンガポール流出は問題」と改善方針

(Image: Chansak Joe / Shutterstock.com)

ベトナムの司法省は9月18日、ブロックチェーン技術に関する法的枠組みを検討するため、国内のブロックチェーン業界の代表者との会議を開催した。ベトナム政府は仮想通貨・ブロックチェーン技術に対して否定的な態度をとってきたが、今年3月にはスイスとベトナム企業が政府公認の仮想通貨取引所設立に向けてライセンスを取得したと発表するなど、前進も見られる。ベトナムの規制を避けて海外で事業を展開するベトナム人起業家たちからは、政府に対して「規制のサンドボックス」を求める声も挙がった。ベトナムメディアのbizhubが伝えた(参考記事)。

規制のサンドボックスとは、IoT、ブロックチェーン、ロボット等の新たな技術の実用化や、プラットフォーマー型ビジネス、シェアリングエコノミーなどの新たなビジネスモデルの実施が、現行規制との関係で困難である場合に、新しい技術やビジネスモデルの社会実装に向け、事業者の申請に基づき、規制官庁の認定を受けた実証を行い、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しに繋げていく制度。

Ethereum(イーサリアム)ベースの仮想通貨TomoChain(トモチェーン)を発行し、これまで850万ドルを調達したTomochainのVuong Quang Long CEOは、「シンガポール、マレーシア、日本では規制のサンドボックスによって多くのプロジェクトが成功している」と紹介し、ベトナムでの導入を求めた。

ベトナムは2018年7月に、企業が仮想通貨の取引や発行に関わることを禁止。TomoChainも本社をシンガポールに置いている。

仮想通貨交換所のVCC digital asset exchange (VCCE)を運営するDao Minh Tung CEOは、「ベトナムはデジタル資産取引トラフィックで世界のトップ5に入っている。ベトナム政府がデジタル資産の取引を支援する法律を整備しないなら、違法な取引所が生まれ、投資家をリスクにさらす。地元投資家の安全を確保してほしい」と訴えた。

Dao Minh Tung CEOもシンガポールでVCCEを設立したが、ベトナムと24時間ホットラインをつくり、地元投資家の取引を多く受け入れているという。

司法省の副大臣は、「ブロックチェーンや仮想通貨の法的枠組みがないために、ベトナム新興企業の多くが、シンガポールなど他国に本社を設立している。司法省はこの問題に取り組み、法整備を首相に提案したい」と述べた。