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パリのイーサリアムイベント、13人が新型コロナウイルス感染

本人の報告に基づき情報共有

(Image: JessicaGirvan1 / Shutterstock.com)

パリで開かれたEthCC(イーサリアム コミュニティカンファレンス)と、ロンドンで開かれたハッカソンETHLondonUKに参加したスタートアップの共同創業者が3月11日に、新型コロナウイルス感染を報告したことに関し、EthCC参加者のウイルス検査結果や各イベントへの参加状況をまとめたスプレッドシートが公開された。シートには、最初に感染を報告したトーラス(Torus)のZhen Yu Yong氏を含む13人が感染したと記載されている。

中国ブロックチェーンメディア星球日報は、このシートはJosh Stark(@0xstark)氏がTwitterでシェアしたと報じている。

シートは誰でも閲覧でき、参加者の名前と検査結果、症状が出た日、カンファレンスの各イベントの参加状況、さらには感染者の症状や入院の有無、治癒したかどうかなどが、当事者のSNS投稿などに基づき整理されている。

検査の有無は、「陽性」「陰性」だけでなく、「検査結果が出ていない」「検査を申請中」「検査を断られた」に分類され、どのイベントでより多くの感染者が出ているかも考察されている。

危機管理意識の違い

EthCCは3月上旬に開催された。既にイタリアでは新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、欧州全体が脅威にさらされていた時期だ。にもかかわらず、カンファレンスは中止されず、感染者クラスターの発生地になった。このシートは、主催団体や参加者の危機管理意識の薄さを浮き彫りにしている。

その一方で、Zhen Yu Yong氏をはじめ、イベント参加者がTwitter上で感染の事実と行動履歴を開示していることは、さらなる拡大を食い止めるために効果的だと言える。

最初にパンデミックが起きた中国では、大晦日新型コロナウイルスの重症患者として入院し1月中旬に退院した20代男性が中国メディアの取材に応じ、情報が少ない中で貴重な当事者の声として報じられた。欧州で感染が広がるにつれ、ハリウッド俳優や大統領の家族も感染を報告するようになった。

日本では1500人以上の感染者が出ているが、本人が実名でメディアの取材に応じたりSNSで報告した例は、私が知る限りない。感染者と思われる人物がインターネット掲示板に匿名で投稿したくらいで、感染者の行動履歴や死者の年齢の公表範囲も、自治体の判断に委ねられている。

EthCCのクラスター化とその後の取り組みは、日本からはなぜ、「感染しました」と公表する人が現れないのか、考えさせられる事例でもある。