マンガでわかるブロックチェーン
第1回ブロックチェーンってなに!?
2019年2月18日 12:31
[企画・原作:森 一弥]
[作画:佐倉 イサミ]
主人公・仲元サラが派遣会社を通じてやってきたのはブロックチェーンを主な事業とする会社。ITにも疎く、ブロックチェーンの「ぶ」の字も分からないサラは、果たしてこの会社で生き残れるのか!?話題のブロックチェーン技術を漫画で解説します。
なお、本記事はアステリア株式会社のオウンドメディア「in.LIVE」にて掲載されたものを再編集したものです。
~説教部屋(!?)にて~
「まず仮想通貨の前に!ブロックチェーンの基礎を知っておいて」
「は…はいっっ!」
「ブロックチェーンは、ビットコインの技術で使われている分散台帳のしくみなんだ」
「ぶんさんかだいちょう…?」
「仮想通貨の取引とかを書いておく、インターネット上の通帳みたいなもん。でも世界中の人が1つの通帳に書く。」
「ええっ!?みんなが同じ通帳を見ているんですか!?」
「じゃあ例えば、私がももりさんにお金を送ったら世界中の人にいくら送ったかバレちゃうってことですか!?」
「まぁそうだな。でもお互いにお金を送り合った口座番号だけしかわからんので、全く関係ない人にはどこの誰かはバレない。」
「そうか、確かに。でもどの口座番号の人がたくさんお金を持ってるのかも分かっちゃうし、なんか不安ですね…。」
「まぁいろいろ対策はとられてる。」
「例えば、ひとりでたくさんの通帳を使い分けていればトータルの資産額まではわからんでしょ?」
「言われてみればそうですね。」
「まあその辺はおいおい調べればいいさ。」
「で、『分散』って部分なんだけど、世界中の奇特な人達がこの通帳、つまりブロックチェーンでいう『台帳』のコピーをもっている。」
「なので、仮にだれかの持っている台帳が消えたり壊れたりしても、他の人がたくさんコピーを持っているのでシステムとしては壊れないわけ。これをP2P(ピア・ツー・ピア)っていうんだけどね、しかも世界の誰かが持っていてくれることで、24時間365日、常にどこかで動いている仕組みになっている。これがブロックチェーンの特長の1つ。」
「なるほどー。銀行の窓口とかATMコーナー閉まっちゃっていると不便ですもんね。」
「まあそういうこと。次に『改ざんが事実上不可能』という特長もある。」
「じ、じじつじょうふかのう?」
「ブロックチェーンは『ブロック』っていう単位で情報を保存しているんだけど、ひとつのブロックには、前のブロックの要約文みたいなものも含まれてる。そのブロックがいくつも連なっているのが『ブロックチェーン』だから、要は歴史の流れみたいにつながってるんだ。」
「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』って映画見たことある?」
「あります!」
「あれって、今より前のデータ、つまり歴史を変えてしまうと、その時点で未来も全部変わって、現在とはつじつまが合わなくなるじゃん?」
「もし悪意を持って過去のデータをすこしでも変えようとすると、それ以降のブロックのデータすべてを変えなければいけなくなる。それには膨大な計算能力が必要となるの。それは世界中で正常な歴史を作っている人たちすべてに対抗するようなもので、ひとりで世界を相手にできるレベルのコンピューターを用意しなければならない。」
「そういうわけで、ビットコインみたいに世界中に何千もの人が正常な歴史を紡いでいるブロックチェーンだと事実上、改ざんはできないってこと。」
「ほほう、なるほど。なんかだんだん分かってきたぞ。」
「そして3つ目の特長が、『大げさなシステムが必要ない』ってこと」
「大げさなシステムが要らない…?」
「今話したみたいな、24時間動き続けることができて、改ざんもできないような立派なシステムを作ろうとすると、すんごい大掛かりなサーバーを何重にも用意しなくちゃいけない。セキュリティにもお金がかかるし、保守費用が必要だったりで、最低でも数千万円の仕組みになってた。ブロックチェーンができるまでは。」
「数千万! ほえ~~なるほど。」
「でもブロックチェーンなら、パソコンレベルのサーバーが数台あればできちゃう。まぁ、求める規模にもよるけどね。」
「ふむふむ。ここのところ『ブロックチェーン』って言葉を私でも時々聞くようになっているのは、そういう理由なのですね…。」
「そんな感じ。だいたいわかった?」
「はいっ、何となくですがブロックチェーンわかってきました。ありがとうございますっ」
~自席に戻る途中~
「ブロックチェーンブロックチェーン…… うん。なんだかスゴそう。」
(ぴくく)…………
「ええ!っ会社の中に猫はいってきちゃってる…!?」
次回「電子マネーやポイントとなにがちがうの?~仮想通貨とポイント」につづく!
今回の補習授業|ポイントと用語解説
漫画の原作者である、アステリア株式会社 ブロックチェーン推進室長の森が、今回のお話の概要や会話に登場したキーワードについて簡単に解説します!
① ブロックチェーンは止まらない!
② ブロックチェーンに書かれた情報は、改ざんが事実上不可能
③ ブロックチェーンを使うのに大規模なシステムは必要ない
会話の中で登場したキーワード解説
- ブロックチェーン
今注目されているIT技術のひとつ。もともとは仮想通貨の技術基盤として考えられた仕組みだが、その応用範囲が期待されている。 - おぷでゅーぷ・・・
ビットコインで利用されているスクリプト言語の一部「OP_DUP」のこと。このセリフ全体では「Pay To Public Key Hash」(P2PKH)という送金に使われるスクリプトを表している。 - 仮想通貨
法定通貨に対して、仮想通貨、もしくは暗号通貨と呼ばれるインターネットで利用されるデジタル通貨のこと。詳しくは次回参照。 - ビットコイン
2009年から運用されている代表的な仮想通貨の1つ。ブロックチェーンは2008年に発表されたビットコインの論文で仕組みが解説されてるが、論文内に「ブロックチェーン」という単語はでてきておらず、可能性に注目されるのはしばらく経ってからのこと。 - 分散台帳
ブロックチェーンの別の言い方としてよく使われる。 - P2P(ピア・ツー・ピア)
90年代から存在する同じ情報を複数のサーバーで持ち続ける技術。当時はファイル交換ソフトに採用された技術であり、著作物の違法コピーの温床になったことから、ネガティブなイメージを持つ人も未だに居る。
企画・原作:森 一弥
アステリア(旧インフォテリア)株式会社 ブロックチェーン事業推進室 室長 ストラテジスト。2012年よりインフォテリア勤務。2017年3月までは主力製品「ASTERIA WARP」のシニアプロダクトマネージャーとしてデータ連携製品の普及に務め、特に新技術との連携に力を入れる。 2017年4月より新設されたブロックチェーン事業推進室にて実証実験やコンサルティングなどを実施。またブロックチェーン推進協会(BCCC)では技術応用部会を立ち上げ、技術者へブロックチェーンアプリケーションの作り方を啓蒙している。