マンガでわかるブロックチェーン
第7回モノとつながるブロックチェーン!? IoTとの相乗効果
2019年7月12日 06:30
[企画・原作:森 一弥]
[作画:佐倉 イサミ]
主人公・仲元サラが派遣会社を通じてやってきたのはブロックチェーンを主な事業とする会社。ITにも疎く、ブロックチェーンの「ぶ」の字も分からないサラは、果たしてこの会社で生き残れるのか!?話題のブロックチェーン技術を漫画で解説します。
なお、本記事はアステリア株式会社のオウンドメディア「in.LIVE」にて掲載されたものを再編集したものです。
~イベント後の帰り道~
「今日は楽しかったね!はい、トー君にもプレゼントおすそわけ!」
「ふむ。うまそうな菓子じゃの。」
「ブロックチェーンってIoT機器とも連携できるんだね!」
「そうじゃな。センサー情報の使い方を2つ言っておったな。」
「うん。IoT機器のセンサーからの情報をきっかけにブロックチェーンが動くようにするっていうのと、センサーの情報をブロックチェーンに保存するっていうお話だね。」
「IoTは様々な機器が存在するじゃろうし、センサーから情報を収集するだけではなく、3Dプリンターのように何かを出力するものもあろう。」
「そっか。インターネットに繋がる機器ならなんでもIoTだもんね。」
「ふむ。そう考えると、ブロックチェーンの情報を元にして動く機械もあり得るのかもしれんな。例えば、送金すると自動で動き出す車や、送金するとすぐさま広告を出せる電光掲示板のようなものもあり得るのかもしれんの。」
「なんだか、ちょっと未来っぽいねっ!」
「おーい、仲元〜、おくれてるぞー」
「もふもふっ!!?」
「あ、カレンさん猫好きですか?トーくんです。はいどうぞおー」
「むふーっ」
(ふにゃ!?!?)
「ももりさん、IoTとブロックチェーンって、相性がいいってお話でしたけど、ブロックチェーンから情報を受け取るような機器もあるんですか?」
「そうだな。ブロックチェーン対応はまだだけど、例えばIoT対応の電源コンセントなら色んな種類が売ってたりもするな。ブロックチェーンと組み合わせれば、トークンを送付することではじめて使えるようになるコンセントみたいなものもできるだろうな。」
「そんなものがあるんですねえ。送金すると使えるようになるってことは、コンビニとかで有料で使える充電スポットみたいな感じ…?」
「そうだな。前に実験を行ったものだと、電気自動車の充電ステーションを有料で使えるようにブロックチェーンとつなげた事例もあるな。」
「電気自動車に乗ってるときに送金すると、その充電ステーションで充電できるってことですか?」
「実験では、利用時間に応じてトークンを支払う形にしたけどな。」
「ガソリンスタンドで支払うみたいな感じですね?」
「ちょっと違うかな。ガソリンスタンドだとガソリンそのものの対価として支払うわけだが、この実験では電気の対価ではなく、サービスの対価として支払う。電気そのものの対価として支払うことになると、電気事業法とかが絡んでくるからな。」
「コンビニでスマホの充電しているやつも、電力量での課金ではなく、1回いくらか、もしくは時間で課金だろ?」
「確かに!裏にはそんな法律があったんですねえ。」
「まぁな。あと既存の仕組みと少し違う点は、機器そのものに支払っている点だな。」
「機器に支払う?お店に支払うってことは違うということでしょうか?」
「電源プラグひとつひとつに、人と同じようにアカウントがあって、お財布を持っている。一つ一つのプラグの入金履歴も取れるし、管理会社からすれば、売上が少ない店から1つのプラグを他の店に持っていくこともできるな。」
「スタッフの異動みたいなことができるわけですね(笑)。」
「機器専用のアプリをわざわざ作らなくても、送金や入金確認は普通のブロックチェーン用のウォレットアプリで出来るからな。」
「なるほどー。」
「スマホに限らず、最近出てきているスマートスピーカーや、カメラを使った顔認証とか、入力はいろいろあるな。」
「そういう機器もブロックチェーンと組み合わせられるんですね。」
「例えばブロックチェーンを通じて送金して使えるようにしたコンセントでスマホを充電しつつコーヒーを頼む。顔や声で認証されて、お会計は事前購入しているトークンから支払われるってこともできるかもな。」
「未来っぽいですね!」
「顔認証や音声認識はAIのカテゴリーで語られることが多いけどな。個別に研究してると実用化に時間がかかるし、わざわざ線引しないで組み合わせて使ったほうがいいんだけどな。」
「・・・って、何してんだアイツラ!?」
「も、ももりさんっ、たすけて、このよっぱらいがっー?!」
「だれが、よっぱらいらってゆぅのよぉー!!」
「うーわ。めんどくさっ!」
「と、トー君、そろそろかえるよーっ!(汗)」
次回「ブロックチェーンでお賽銭!?」につづく!
今回の補習授業|ポイントと用語解説
漫画の原作者である、アステリア株式会社 ブロックチェーン推進室長の森が、今回のお話の概要や会話に登場したキーワードについて簡単に解説します!
- IoTでのブロックチェーンの使い方(ブロックチェーンへのデータ保存)
一般的にブロックチェーンはあまり大きなデータは格納できないため、元にするデータの「ハッシュ」を取得して保存することで改ざんを防止などに利用する。一方で、IoT機器で利用される温度やON/OFFスイッチなど小さなデータは、「ハッシュ」を取得せずに直接データをブロックチェーンに格納出来るため、第3者はハッシュの元データを確認することなく、直接センサー機器の情報を検証することも可能となる。 - IoTでのブロックチェーンの使い方(トークンの送金をトリガーにする機器)
機器自身をブロックチェーンのノードにしてしまう方法や、APIを使った連携方法など、複数のやり方があるが、IoT機器の起動条件としてブロックチェーンを使う方法も考えられている。単純なものであれば、自身のアドレスへ着金が確認されると動き出す機器などが考えられる。 - EVの充電でのブロックチェーン活用
中部電力、Nayuta、アステリア(旧:インフォテリア)の三社で行った実証実験では、ブロックチェーンを使いEVのための充電ステーションの利用をテーマに行われた。スマホを使った利用申請によって誰でも簡単に(ブロックチェーンを意識せずに)利用可能な仕組みは、導入が迅速、低コストで運用の負担も少ないだけでなく、料金の徴収方法にも複数の選択が選べるため、EVだけでなくビジネスの幅を広げるソリューションとなる。詳しくはこちら。
企画・原作:森 一弥

アステリア(旧インフォテリア)株式会社 ブロックチェーン事業推進室 室長 ストラテジスト。2012年よりインフォテリア勤務。2017年3月までは主力製品「ASTERIA WARP」のシニアプロダクトマネージャーとしてデータ連携製品の普及に務め、特に新技術との連携に力を入れる。 2017年4月より新設されたブロックチェーン事業推進室にて実証実験やコンサルティングなどを実施。またブロックチェーン推進協会(BCCC)では技術応用部会を立ち上げ、技術者へブロックチェーンアプリケーションの作り方を啓蒙している。