トピック
仮想通貨投資家への税務調査が本格化している今、令和最初の確定申告こそ気をつけたい
専門家に頼むクリプトリンク計算代行でメンドクサイ・ワカラナイという不安を解消
- 提供:
- クリプトリンク株式会社
2020年2月13日 10:30
「2019年春頃から仮想通貨関連での国税庁による税務調査の件数が増加している」と話すのは仮想通貨収支計算・管理アプリを提供するクリプトリンク代表取締役の八木橋泰仁氏だ。国税庁の体制が整ってきたことで、確定申告をより確実に行う必要が出てきているという。八木橋氏は税理士法人ファシオ・コンサルティングのグループ代表も務める。税理士向けに仮想通貨の税務セミナーを定期的に開く、仮想通貨税務の第一人者だ。
そんな八木橋氏と、同社取締役の酒井孝幸氏にお話を伺った。なお、八木橋氏には前回2018年度(2019年提出)の確定申告でもご協力いただいた。本稿では、確定申告の基本的なところは省いて、前年度との変更点や気をつけるポイントを紹介する。後半では、クリプトリンクが仮想通貨投資家に代わり収支計算を代行する「CryptoLinC計算代行」についても触れていく。
――確定申告シーズンということで2019年度も終わりが見えてきました。2019年の仮想通貨業界は八木橋さんの目から見ていかがでしたか。
八木橋氏:昨年に比べるとレートも上がっており、人によっては利益も大きかったのではないでしょうか。しかし、投資の素人でも勝つことができる、というほど簡単ではなかったと思います。自動売買の仕組みを取り入れているような本格的な投資家はそれなりの利益を上げているようです。市場としては全体的に成熟した印象ですね。儲かりすぎている、という状況は減りました。
仮想通貨バブル以前から仮想通貨投資をしている人はそのまま継続、バブル以後に入った人はやめていったように見えます。今年は特にライトユーザーが増えたという印象はあまりないですね。
――気になる出来事などはありましたか。
八木橋氏:国税庁による税務調査ですね。2019年6月頃から件数が増えました。国税庁は2019年までに、勉強会を重ねて体制を整えてきています。それが形になってきたのが2019年半ばでしょうか。
実際、仮想通貨投資で、税務調査を受けることになったお客様から、弊社に相談の電話が来たりということも何度かありました。税理士に申告を依頼していない方は、税務調査の実施が決まった段階やお尋ねがあった段階で、税理士に協力を仰ぐことを推奨します。個人単独で税務調査に臨むと、余計な発言で不利な取り扱いを受けたり、もし税額が増えた場合のペナルティが重くなるといったケースが多いからです。高額の利益を上げている人は特にそうするべきでしょう。
――なかなか怖い話ですね。税制についてはどのように見ていますか。
八木橋氏:私個人の見解では、今後しばらくは仮想通貨周りの税制は大きく動かないと予想しています。今回の確定申告までに大枠では制度化できており、今後は新しい取引の形などの例外について、処理の仕方を定めていくという流れになるのではないでしょうか。
また、昨年までに仮想通貨投資の課税方法は申告分離課税を適用すべきという論がありましたが、これは難しいのではないかと見ています。内閣が12月に出した令和2年度税制改正大綱にて、デリバティブなど金商法下にある取引について、仮想通貨に関しては「総合課税」とすることなどが法律に含まれました。これが改めて分離課税になるということは考えにくいです(参考資料)。
2020年提出の確定申告に追加されたルール
――今回の確定申告、仮想通貨関連では2018年度と違う点はありますか。
八木橋氏:今回は2018年度までと比べると、ルールが定まったタイミングだと言えます。大半は税法での規定がなされ、税理士も対応を迫られています。これまでと同様に確実に損益計算を行わなければなりません。
まずは仮想通貨売買での取得価額の評価方法について、総平均法が原則となりました。これは所得税法の条文上に記されたことなので、強制適用となります。移動平均法を選択する場合には、申告期限(今年は3月16日)までに税務署への届け出が必要となります(参考資料)。
ちなみに今回から、一度選択した評価方法を3年間変更できないという縛りも発生します。
――3年縛りとなると、今回は評価方法を慎重に選択するべきということですか。
八木橋氏:例年よりも、という意味ではそうですね。この評価方法、どちらを選んでも数年から10年といった長い目で見ると通算での収支額が大きく変わるということはありません。短期的には、取引内容によるので一概には言えません。ただ、実際の取引に近い評価方法が移動平均法、計算しやすいのは総平均法だと思います。エクセルなどで自分で計算をするには、総平均法の方がやりやすいでしょう。移動平均法と比較したい場合は、クリプトリンクのようなアプリを使うことをおすすめします。
――他に気をつける点はありますか。
八木橋氏:贈与税というものは皆さんご存じだと思います。価値ある物を贈られた際にはもらった人が税金を負担する必要があります。仮想通貨も同様ですが、今回の税制改正で贈り主側の人も贈与の時点で「譲渡(売却)した」とみなされ収支計算の対象となりました。今年度に 誰かに仮想通貨を贈った経験がある人は、税理士に相談することをおすすめしておきます。
もう1つ、みなし取得価格というものが今回から取り入れられました。これは売却額の5%を購入原価としてもよいという制度です。たとえばハードフォークで得た仮想通貨は本来取得原価が0円で計算をすることになりますが、みなし取得価格を適用すると売却金額の5%を取得原価にすることができるので、若干利益を抑えることができます。
――2019年には取引以外のサービスでもステーキングなどが話題を呼びましたが、こういったサービスはどう扱えばいいですか。
八木橋氏:ステーキングやレンディングに関しては、2018年度に引き続き今回の確定申告時点でも国税庁はルールを明示していません。私の見解ですが、いずれもマイニングと同じだと考えてよいでしょう。取得原価が0円で、獲得時点と売却時点の評価額を用いて利益を計算します。
ステーキングに関して注意すべき点としては、ステーキング報酬の獲得は入金の履歴としてしか残らない点です。どの入金履歴がステーキング報酬であるか、ユーザー自身が記録しておく必要があります。理想としては、ステーキング用のウォレットと取引用のウォレットを分けると判別が容易になります。しかし、仮想通貨交換所が提供するステーキングサービスの場合、ウォレットを分けることはまず無理です。年間取引報告書にも、交換所によっては明示されない場合があるので気をつけてください。
――交換所での取引のほかに、店舗での仮想通貨決済やガス・電気代の支払い、電子マネーのチャージにも仮想通貨が利用できるようになってきました。この辺りはいかがでしょうか。
八木橋氏:基本的には、いずれも支払時のレートを売却価格として損益計算することになります。こうした決済には自前のウォレットを使う場合もありますから、交換所の年間取引報告書にデータが含まれないことも考えられます。まめに記録を取ることが大事です。
――法改正の関係でカストディ業の継続が困難になると思いますが、利用者に向けた注意点などはありますか。
八木橋氏:仮に利用中のカストディサービスが終了になったとして、利用者はウォレットからウォレットへ仮想通貨を移すだけなので、損益計算や税金面での影響は基本的にありません。ただし、サービスの終了に気づかず、仮想通貨を取り出せなくなってしまったという場合には対策が必要になります。
国税庁はこのような場合について見解を出していないのですが、損失として確定しなければならない可能性があります。カストディの会社が倒産したという場合には貸倒損失となる場合もあります。この辺は条件が複雑なので、必ず税理士に相談してください。
仮想通貨の収支計算のプロフェッショナルが仮想通貨の損益計算を代行
――先ほど、2019年から国税庁の税務調査が活発になったと伺いました。
八木橋氏:仮想通貨の確定申告と言っても、一般のサラリーマンなら通常の確定申告に収入項目と金額を1つ足して書くだけなので、頑張ればできます。利用している仮想通貨交換所が国内の1つや2つなら、総平均法で損益を計算するのはそんなに難しいことではありません。難しくなってくるのは、2018年以前から仮想通貨投資を行っている、海外の仮想通貨交換所を利用している、複数の仮想通貨交換所を利用している、送受金や買い物などを行っている場合ですね。
手計算で損益計算を行うには、仮想通貨取引の全データをあつめ、それをひとまとめにし、コインごとの損益を計算していく必要があります。計算にはその取引時点でのレートを調べる必要があるため、件数が多いと手計算では物理的に不可能になってきます。一般のユーザーさんにとってはもちろん、こういった処理は税理士でも難しいです。
私どもは、「クリプトリンク(CryptoLinC)」という収支計算アプリを無料で提供しています。現在42を越える取引所、ウォレットに対応しており、データをアップロードすれば簡単に収支計算ができるというものです。既に100を超える会計事務所にも導入いただいています。とはいえ、実際に利用された方の中には、それでも面倒だったり、自信がないので誰か代わりに計算して欲しいという声をいただくようになりました。
そこで、弊社は「CryptoLinC計算代行」というサービスを提供しています。仮想通貨の損益計算を代行するという内容で、投資家や会計事務所向けの代行サービスとなります。また、自社で計算したい税理士向けの商用サービスとして「CryptoLinCビジネス」を、企業様の会計仕訳データの作成を代行する「CryptoLinC法人会計」をそれぞれ展開しています。
■CryptoLinC計算代行(クリプトリンク)
https://cryptolinc.com/daiko_lps
■CryptoLinCビジネス(クリプトリンク)
https://corp.cryptolinc.com/biz/
■CryptoLinC法人会計(クリプトリンク)
https://corp.cryptolinc.com/kaikei/
――「CryptoLinC計算代行」はどういったサービスなんですか。
八木橋氏:確定申告に必要となる仮想通貨の損益計算について、投資家や会計事務所に代わって行うサービスになります。弊社では損益計算をご自身で行っていただく無料サービスも提供していますが、「CryptoLinC計算代行」はご自身で計算するのが不安な方や、取引件数が多く手間がかかってしまうという方向けに、取引データやウォレットのデータを丸ごとお預かりして計算を代行します。
酒井氏:確定申告というのは年に1回のことなので、ツールを使うにしても次の年にはその使い方を忘れてしまっているということも少なくありません。
それに加えて、仮想通貨交換所から提供されるデータには交換所によってクセがあります。国内、海外問わず、交換所からデータを出力する際、複数の形式でデータを取得しないとすべてのデータが用意できないケースや、そもそも取得したデータの中に 必要な情報が含まれていないということもあります。
このような場合にはすべてのデータを検証していかないと、なかなかデータの不備に気づくことが難しいです。また、今年度のデータであれば何とか記憶をさかのぼって解決することができたとしても、期首のデータを作成するために前年度のデータのまとめを行うとなった場合、なかなか一人では解決しにくいものです。そのような時にも、ご依頼いただければその対処について相談できます。
――どんなユーザーに利用されていますか。やはり利益が大量に出てしまったという人でしょうか。
酒井氏:個人のお客様では、仮想通貨投資の収益が数千円という方から数千万円という方まで、幅広い層からご利用いただいています。「収益が分からないのでとにかく任せたい」「不安なのでとりあえず専門家に」というニーズが大きいようです。
また、この「CryptoLinC計算代行」は会計事務所からの依頼にも対応しています。もともと会計事務所で使うという前提で設計していますから、税務調査時の証拠資料として利用するのに適した形で出力します。利用された税理士さんから見ても「分かりやすい」と好評いただいています。
――会計事務所からの依頼というのは結構あるものでしょうか。
八木橋氏:この確定申告のシーズンは税理士にとっても1年で最も忙しい時期です。2月の半ばぐらいにはもうスケジュールが完全に埋まってしまって、対応ができないという税理士や事務所も多くなります。税理士の仕事は仮想通貨の損益計算にとどまらず、確定申告全体の面倒を見るというところにあります。時間を効率的に使って、受けられる件数を増やすために利用されていますね。
酒井氏:これまで2度の確定申告を経て相当数の損益計算を代行いたしましたが、税務調査対象時も問題なしで通っています。数円単位での細かいズレが生じるケースはありましたが、これは我々が使用したレートと国税庁が検証に使用したレートに違いがあったために生じたものでした。
――信頼性がポイントということですね。料金や時間はどうでしょうか。
酒井氏:ご利用料金は取引件数に応じた従量制です。たとえば個人のお客様で、時期にもよりますが基本的には10万円程度で提供させていただいております。
期間は最短1週間から長くて3週間です。まず提供いただいたデータを元に弊社で計算を行って、何もなければこれで終了です。データの不足やおかしなデータがあった場合などは、対象箇所をピックアップして利用者様の方で確認を行っていただきます。このあたりのやり取りを含めて最長3週間を見ていただければと思います。そのため、余裕を持ってご依頼いただけるのは2月23日頃までとなり、それ以降は難しい場合も出てきますが、できる限りサポートしたいと思っていますのでご相談いただければと思います。
――確定申告でも何でもそうですが、期日ギリギリまで動かないというのが人のさがなんでしょうね。
八木橋氏:本音を言うと税理士としては、12月までには相談に来て欲しいですよね。そうすれば税金対策なども行えるので。
早めに対策という点では2019年10月から提供を始めたポートフォリオ作成機能は便利に使っていただけると思います。これは無料で提供している損益計算ツールの機能の1つになります。仮想通貨交換所とのAPI連携に加えて、ウォレットアドレスを登録いただくことでご自身の総資産をリアルタイムに把握できるというものです。
酒井氏:ポートフォリオ機能は、各取引所とAPIでつなぐことにより、ご自身のその日の資産の状況をクリプトリンクが取引所から自動でデータを取得して、複数の取引所にある資産を一覧で表示する機能になります。そのため、複数の仮想通貨交換所やウォレットに資産を分割している人は、1つの画面で確認できるようになるので管理が楽になります。「CryptoLinC計算代行」でも、損益計算を行ったあと残数を確認したところ、残数が合わないということがよくありますが改めて「仮想通貨交換所やウォレットを確認 してみたら残高があった」というケースがあります。普段からポートフォリオで資産管理を行っていれば、確定申告のタイミングでのデータ漏れも少なくなると思います。
次回2021年提出の確定申告で気をつけたいこと
――ここまでは今回の確定申告についてのお話でしたが、次回2021年提出の確定申告に向けてはどう動くべきでしょうか。
八木橋氏:まずは法人向けですが、2020年4月以降は保有する仮想通貨について期末に時価評価が必須になります。この点、弊社が法人向けに提供しているCryptoLinC法人会計では、仮想通貨の期末時価評価に対応しているのでご安心ください。こちらも日本有数の会計ソフトウェアベンダーであるMJS様、弥生様と正式連携をしている唯一のアプリとなっています。
個人の利用者様には、やはり早めに動いていただくことが肝要です。ポートフォリオを使っていただいて日頃から資産管理を徹底していただき、損益の把握や税金対策を早い段階から考えていただく。確定申告をゴールとして見るのではなく、先回りしていくと得られる利があります。
遅くとも10月ぐらいには一度収支計算をしていただいて、損益を調整しつつ確定申告を迎えていただく。これが最善の流れではないでしょうか。実際、早くから動いていた方は、今回の確定申告でも既に準備を終えており、税金対策などもしっかりと行えています。
酒井氏:普段から確定申告を意識してトレードを行うというのはあまり現実的ではないので、弊社としては日々利用できるツールとしてポートフォリオ機能を開発しました。まだまだ機能が足りていない部分もありますが、ポートフォリオ機能にて定期的にご自身の資産の状況を確認しつつ、必要な時期に収支計算を行い、損益を確認し、税金の対策を行ったうえで年を越していただく、という形ができればと思っています。
弊社のサービスに関しては利用者様のフィードバックを常に受け付けておりますので、「こういう機能が欲しい」「こういうデータが見たい」というのがあれば是非ご意見いただければと思っています。
――ありがとうございました。
海外の取引所も対応可能。収支計算、確定申告をトータルサポートする「CryptoLinC計算代行」
- 仮想通貨税務のセミナー実績数No.1の税理士が監修
- 各取引所から提供される取引データや、ウォレットのデータを送るだけで確定申告用の仮想通貨の収支計算を仮想通貨損益計算のプロフェッショナルが代行
CryptoLinC計算代行の詳細はこちら:https://corp.cryptolinc.com/daiko/
クリプトリンク株式会社
2017年設立。仮想通貨に精通した税理士を中心に、Fintechベンチャー企業のエンジニア、セールスマネージャーが参画。仮想通貨の確定申告のための収支計算ツールの開発・提供を主な事業とし、仮想通貨の確定申告に対応できる税理士先生を増やすべく情報発信も行っている。
公式サイト:https://cryptolinc.com/