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ブロックチェーン技術を用いた改ざんできないデジタル公文書のプロジェクトをイギリス公立文書館などが推進中 ~プロトタイプのコードが二次利用可能なライセンスで公開

 イギリス国立公文書館は6月5日、公式ブログで「Trustworthy technology: the future of digital archives」(信頼できる技術:デジタルアーカイブの未来)という記事を公開。ブロックチェーンを用いて、永続的で変更不可能な文書記録を後世へ残すためのプロジェクト「ARCHANGEL」(アークエンジェル)について紹介した。

 このプロジェクトは、イギリス国立公文書館(The National Archives United Kingdom:TNA)とサリー大学(the University of Surrey)、オープンデータ研究所(Open Data Institute:ODI)が、工学・物理科学研究会議(The Engineering and Physical Sciences Research Council:EPSRC)から資金提供を受けて進められている。古いファイル形式はやがて閲覧不能になってしまうため、新しいファイル形式に移行する必要がある。その際、データの変更が行われてしまう可能性がある。すなわち、歴史が書き換えられてしまうかもしれないという危惧があるのだ。イギリス国立公文書館の記事では、以下の問いを投げかけている。

  • 今日の記録は、20年前にアーカイブされた記録と同じものであることを、どのように証明するか?
  • 唯一の変更が合法であり、内容に影響を与えていないことを、どのように証明するか?
  • デジタル公的記録の信頼できる保管人としてのアーカイブを、どのようにして市民が閲覧し続けることができるようにするか?

 これらにブロックチェーン技術(分散型台帳技術)で応えようというのがプロジェクト「アークエンジェル」だ。オリジナル文書そのものではなく、ハッシュ値がブロックチェーンに登録される。レコードが合法的に変更された場合は、コンテンツのハッシュ値をブロックチェーンに登録することもできる。つまり、デジタルの記録が変更されるたびに監査証跡が作成され、どのように編集されたかを正確に知ることができる、というところを目指して研究が進められている。

 なお、オープンデータ研究所の記事にはシステムの概略図が掲載されている。また、プロトタイプのコードはすべてオープンライセンス(MIT License)で公開されており、再利用可能となっている。