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Ethereumのウォレットを利用したメールサービスETHmail、ベータ版が公開

ブロックチェーンによる本人証明でスパムメールを撲滅するアイディア

(Image: Shutterstock.com)

 3月1日、Ethereumのウォレットアドレスを利用して電子メールの送受信が行えるサービス「ETHmail」ベータ版が公開された。作者であるGrzegorz Kapkowski氏が、自身のTwitter上などで発表している。個人情報の代わりにEthereumのウォレットを使用することで、Gmailのように手軽に利用できるメールサービスとなる。ウォレットの利用状況などによってメール受信をフィルタリングすることでスパムメールを除去するというコンセプトを持つ。

 ETHmailは、IMAP/SMTPサーバーでやり取りする従来的なメールサービス。メールアドレスは”ETHのウォレットアドレス@ethmail.cc”で利用できる。ユーザー登録の手続きなどは必要なく、先述のアドレスと同氏が提供しているCryptoauth.ioでパスワードを発行し、Thunderbirdなどの一般的なメーラーに入力するだけで受信設定が完了する。送信に関しては制限がなく、ethmail以外のドメインからも送信できる。受信設定を行う前に送信されたメールもサーバー側に保管されるため、設定時点で閲覧することができる。

ETHmailを利用したメール送受信(ethmail.ccより引用)

 メールサービス自体はethmail.ccのサーバー上で中央集権的に行われる従来型のものとなる。現時点ではEthereumの電子署名しか利用しないため、ETHの手数料が発生することもない。なお、現在はメールの暗号化機能が未実装だ。送信したメールが第三者に見られる可能性があるということに留意し、機密情報の送受信などは行わないよう、くれぐれもご注意いただきたい。

 サービスの特長は、利用の手軽さに加えて、DAppsの作者などが、寄付の受付と利用者とのコミュニケーションを同一のアドレスで行えるといったメリットがある。送信アドレスのウォレット内ETHおよびトークン保有量、取引履歴などによるメールのフィルタリング機能も計画されている。ブロックチェーンの特性を生かした合理的な本人証明によって、メール相手と自身の関係性が明確になる。自身と関係のない送信者や即席アドレスを遮断することで、スパムメールを除去するという。

 BitcoinやEthereumのコンセンサスアルゴリズムであるプルーフオブワーク(PoW)自体が、当初はスパム除去の仕組みとして考案されたものである。そのPoWを取り込んだブロックチェーンを、改めて電子メールからスパムを取り除くよう機能させるのは面白い発想だ。将来すべての人がウォレットを持ち、電子メール準拠のメッセージ機能がブロックチェーンの基本機能となれば、PoWの考案者らが目指した理想も実現するのではないだろうか。