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仮想通貨開発者は2年間で倍増、市場価格の下落も開発者数に影響せず

米Electirc Capital社が仮想通貨関連の開発者数統計レポートを発行

 米国の暗号資産管理会社Electric Capital(以下、EC社)は3月7日、時価総額上位100の仮想通貨に関する開発人数の統計レポートを発表した。同社は、パブリック型仮想通貨の開発者はこの2年間で倍増したこと、仮想通貨の市場価格が開発者の動向にはほとんど関係しないことなどを報告している。本稿では同書の報告を抜粋してご紹介する。

 EC社は2万1000を超えるリポジトリ、1600万のコミットを分析し、本レポートを作成したという。約13万の開発者と約3000の仮想通貨プロジェクトが分析対象となった。2018年1月から2019年2月を集計期間とし、仮想通貨開発者(≠ブロックチェーン開発者)の活動状況に着目している。

仮想通貨開発者の増減と市場価格

月間の仮想通貨開発者数の推移(Electric Capital発行「Dev Report 2019年3月号」より引用、以下同)

 2017年1月に活動する仮想通貨開発者の数は月間で2190人であった。2年後の2019年1月時点では4352人/月と、倍増したことが報告された。開発者数は2018年中頃にピークを迎え、2018年から2019年にかけては約4%の減少が見られたとのこと。同期間に仮想通貨全体の市場価格は80%下降しており、EC社は「開発者の増減と市場価格の連動は見られない」とした。

 一方で、同社が確認した中で大規模なリポジトリのいくつかが非公開(BNBなど)あるいはローンチ前(Codaなど)であり、上記データに含まれていないことが注意書きとして添えられている。また、ライトニングのように仮想通貨そのものの開発とは異なるプロジェクトも本レポートには含まれていないとのことだ。そのため、実際の仮想通貨およびブロックチェーンに関わる開発者の実数は、今回の報告よりも遙かに多いという推測が添えられている。

仮想通貨別の開発者数分布

仮想通貨別のコア開発者数の分布

 上図は時価総額上位100の仮想通貨における、コア開発者数の分布を示す。縦軸が月間のコア開発者数、横軸が仮想通貨の時価総額(100万ドル)だ。コア開発者数はEthereumが99人/月と最も多く、2位のBitcoinの47人/月のおよそ2倍となっている。コア開発者を25人以上確保し、その人数を維持することが大規模プロジェクトの条件になるとEC社はいう。

仮想通貨別の全開発者数の分布

 集計対象をコア開発者から全領域に広げると、Ethereumは216人/月、次点でCardano、Statusがおよそ80人/月となり、開発規模の差はさらに顕著となる。なお、本データにはEthereumにおけるTruffle、Ganacheといったエコシステムの開発者は含まれていない。同様にBitcoinのElectrumやBitgo、RippleのXRPエコシステムも除外されており、これらの実際の開発者数は表記よりも多いとのこと。

仮想通貨別の開発者数推移

 次のデータは仮想通貨別の開発者数の推移だ。「時価総額の大きい代表的な仮想通貨」「開発者数が減少した仮想通貨」「開発者数が増加した仮想通貨」が取り上げられる。フォーマットは共通で、緑の折れ線が月間のコア開発者数の推移を示し、黒の折れ線は全開発者数の推移を表す。

時価総額の大きい代表的な仮想通貨における開発者数推移
Bitcoinの開発者数推移
Ethereumの開発者数推移

 代表的な仮想通貨の中で特に注目するべきものとしてBitcoinとEthereumの2つが挙げられた。Bitcoinはここ数年間、コア開発者の顔ぶれが変わることなく常に35人/月以上の体制で安定して開発を進められているという。一方Ethereumの開発者数は緩やかに増加を続けており、いずれも強力な開発基盤を確立していることが分かる。

開発者数が減少した仮想通貨

 次に、開発者数が減少した仮想通貨をまとめる。上図は最盛期の月間開発者数と現在との差に基づいて、下降幅の大きいものが抽出されている。XRPやSteem、Vergeなどは一時期の隆盛のために開発者数が減少した仮想通貨として数えられているが、いずれも開発者数10人/月以上をキープし続けている。推移も安定しているため、継続に問題はないという分析が示された。

 一方、Dogecoinの開発者数が数か月間0人であること、Litecoinの開発者数が全盛期の40人/月から3人/月にまで減少し、1年間少人数で継続していることに関して、開発の継続性が疑問視されている。いずれもBitcoinからフォークした仮想通貨だ。同様にBitcoin DiamondやBitcoin Goldといった仮想通貨でも少ない人数での開発が長期間続いており、EC社は「フォークした仮想通貨における開発者数の減少」として、その傾向をまとめている。

開発者数が増加した仮想通貨(メインネット稼働中)
(メインネット未稼働)

 開発者数の増加には当然ながら、仮想通貨のメインネットワーク稼働開始という事象が直結するという分析結果が出ている。2018年内にメインネットを稼働開始したTezosやKomodo、2019年初頭にメインネットを稼働するZilliqa、OmiseGO、IOST、Holoが代表例として挙げられた。

 IOST、Zilliqaはすでにメインネットを稼働している。OmiseGOは2月末よりアルファ版をリリース、Holoは3月4日までクローズドアルファの検証を実施していた。いずれも2019年最初の仮想通貨群として、今後の動向に注目したいところだ。