ニュース

バーゼル銀行監督委員会、銀行の暗号資産保有に関する声明を発表

暗号資産エクスポージャーのリスクを明確にし、慎重な取り扱いを提案

(Image: TMP_An_Instant_of_Time / Shutterstock.com)

 金融庁は3月15日、バーゼル銀行監督委員会が現地時間3月13日に公表したニューズレター「暗号資産に関するステートメント」(Statement on crypto-assets)について、同庁Webサイト上で通達した。内容は、銀行における暗号資産エクスポージャー(金融資産の一部を仮想通貨で保有すること)のリスクと、その関連サービスを実施するにあたっての最小要件の定義づけとなる。

 バーゼル銀行監督委員会は、世界各国における銀行監督の強化を目的とする委員会。G20諸国を中心に、中央銀行および金融監督を担う行政当局の代表で構成される。日本からは、日本銀行と金融庁が、自己資本比率規制を含む国際的な金融規制の策定に向けた議論に関与・参画している。

 バーゼル銀行監督委員会発表の暗号資産に関するステートメントは、暗号資産のリスクについて示唆する。各銀行において、資産を仮想通貨として保有する際の指針が記された。以下は発表内容の邦訳となる。

バーゼル銀行監督委員会「暗号資産に関するステートメント」の邦訳

 近年、暗号資産の成長が見られてきました。一方で、暗号資産の市場は国際金融システムの市場と比較すると、依然として小規模であると言えます。また、銀行における直接的なエクスポージャーも現時点では非常に限定的であるものの、当会は暗号資産取引プラットフォームに継続的な成長を見込んでいます。同時に、暗号資産に関連した新しい金融商品は、金融の安定性への懸念を高め、銀行が相対するリスクを増大する可能性もあると考えています。

 暗号資産は、「暗号通貨」と呼ばれることもあります。これらの資産は標準的な貨幣機能を確実に提供するものではないため、交換の手段や価値の貯蔵に利用するには危険性が伴うと、バーゼル銀行監督委員会(以下、当会)は考えています。(中央銀行発行の電子通貨を含まない)暗号資産は法定通貨ではありません。政府や公的機関によって、その価値を保証されているわけではありません。当会は本会報を通して、銀行における暗号資産エクスポージャーおよびその関連サービスを禁止していない区域で、それらを慎重に取り扱うことを期待します。

 暗号資産はボラティリティが高く、標準化されることなく絶え間なく進化を繰り返す未成熟な資産クラスと見なしています。これらは銀行にとって、流動性リスク、クレジットリスク、市場リスク、(事務リスクやサイバーセキュリティリスクを含む)オペレーショナルリスクといった多様なリスクをもたらすでしょう。さらにはマネーロンダリングやテロ資金供与のリスク、法的リスク、風評リスクを伴います。したがって当会は、銀行が暗号資産エクスポージャーおよびその関連サービスを承認し提供するにあたって、最小要件として以下を採用することを期待します。

  • デューディリジェンス
    暗号資産エクスポージャーの取得、またその関連サービスの提供を行う前に、銀行は先述のリスクについて包括的な分析を実施するべきです。暗号資産から生じるリスクを正しく評価するために、銀行は適当な技術的専門知識を備える必要があります。
  • ガバナンスとリスク管理
    銀行が、暗号資産エクスポージャーおよびその関連サービスに適した、明確かつ強化のリスク管理の枠組みを持つべきです。多くの暗号資産における匿名性と規制による監督の制限を考慮すると、銀行のリスク管理の枠組みは、マネーロンダリング対策、テロ資金の撲滅、制裁の回避、不正監視などに関連するものを含め、リスク管理プロセスの全体像は完全に統合されるべきです。これらエクスポージャーおよびサービスに関連するリスクを考慮すると、銀行は高度な暗号資産リスクに対して、一貫したリスク管理プロセスを実現することが求めれます。関連する上級管理職は、リスク評価の枠組みを監督する機能を果たすことを期待します。取締役会および上級管理職は、銀行の暗号資産リスクプロファイルに関連する、適時かつ適切な情報を受け取る必要があります。直接または間接の暗号資産エクスポージャーおよびその関連サービスについて、上記のリスク評価は、銀行の内部資本および流動性の適性評価プロセスに組み込まれるべきです。
  • ディスクロージャー(開示)
    銀行は通常のディスクロージャーの一環として、暗号資産エクスポージャーおよびその関連サービスに関わる情報を公に開示し、国内の法律や規制に従って、それらの会計処理を明示する必要があります。
  • 監督上の対話
    銀行は監査当局に対し、実際または計画中の暗号資産エクスポージャーおよびその関連サービスについて、適時に通達し、活動の許容性ならびに、それらに付随するリスクを十分に評価・保証し、その低減に努めるべきです。

 当会は、暗号資産に対する銀行の直接または間接のエクスポージャーを含む、暗号資産の動向を引き続き監視していきます。当会は、暗号資産の高リスクを適切に反映して、暗号資産エクスポージャーの取り扱いを明確にします。その作業は、他の世界標準設定期間と金融安定委員会と共に進めてまいります。

 (以上、バーゼル銀行監督委員会「Statement on crypto-assets」より)