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米国小売業界のブロックチェーン活用企業、5年間で75倍の増加予想

「IBM・NEM・R3など有力ベンダーの基盤普及」英ジュニパーリサーチが報告

(Image: Shutterstock.com)

 モバイル・デジタル領域の市場分析を手がける英国の調査会社Juniper Research(以下、ジュニパーリサーチ)は3月26日、小売市場におけるブロックチェーン技術の適用に関する調査結果を発表した。同社は小売業ではブロックチェーンによるアセット・トラッキング(資産追跡)が有効であるとし、その年間収益額は2023年までに業界全体で45億米ドルに達すると予測した。

 小売業におけるブロックチェーン技術の適用は、「サプライチェーンにおける透明性」「顧客のロイヤリティ管理」「事業者の業務効率改善」という3つのメリットを中心に、他の分野よりも早く採用が進むというのがジュニパーリサーチの予測だ。米国内でブロックチェーンを使用する小売事業者の数は2018年から2023年の間に75倍以上に増加し、2023年末までに1万5000社に上るとしている。

 世界ではすでにいくつかの小売事業者がブロックチェーンによるアセット・トラッキングを活用し始めている。阿里巴巴集団(アリババ)や京東商城(JD.com)といった中国発のECサービスは独自のブロックチェーン基盤を立ち上げている。一方、世界最大手のスーパーマーケットであるウォルマートをはじめ、ブロックチェーンベンダーとの提携を選択する企業も増加しているという。

 ジュニパーリサーチは、アセット・トラッキングを提供するブロックチェーンベンダーの中から主要な17社を独自に評価した。評価軸は、提供するソリューションの機敏性と影響力、革新性に基づくという。

 アセット・トラッキングを提供するブロックチェーンベンダーとして、最も高く評価されたのはIBMだ。柔軟なブロックチェーンソリューションを提供し、知名度の高い提携先との大規模商用展開で、「IBMはブロックチェーンテクノロジーの大手プロバイダーとしての地位を確立した」と、ジュニパーリサーチは評している。

 2位以下の格付けでは、主に金融領域にブロックチェーン基盤を提供する米Digital Asset社とR3社を挙げ、それぞれ2位と5位とした。ベンダーと呼ぶと少し語弊があるが、トレーサビリティなど各種実証実験において広く活用事例のあるNEMが3位。4位にはTOYOTAやロイヤル・ダッチ・シェル、国連などにブロックチェーン基盤を提供する英Applied Blockchain社を挙げている。

 なお、調査結果の詳細は、ジュニパーリサーチが登録ユーザー向けに無料公開中の「How Blockchain is Transforming Retail」(ブロックチェーンによる小売業の変革)と題したホワイトペーパーに掲載されている。