仮想通貨(暗号資産)ニュース

北朝鮮が独自の仮想通貨開発

制裁の影響回避し米国に対抗

(Image: Alexander Khitrov / Shutterstock.com)

北朝鮮は、国際的な経済制裁による損失を減らし、米国が支配するグローバルな金融システムを回避するために、独自の仮想通貨(暗号資産)の開発に動いている。米メディアのVICE Newsが9月18日に伝えた。

北朝鮮は以前から仮想通貨に関心を寄せており、4月にはブロックチェーン・仮想通貨会議を開催。専門家と外国企業が集結した。

4月の会議の責任者で、朝鮮対外文化連絡協会文化委員会の特別代表を務めるアレハンドロ・カオ・デ・ベノス(Alejandro Cao de Benos)氏は、VICE Newsの取材に「仮想通貨の開発はまだ初期段階で、どう価値を持たせるかを研究している。ビットコインに似たようなものだ」と述べた。同氏によると、北朝鮮ウォンをデジタル化する計画は当面ないという。

英国王立防衛安全保障研究所のリサーチアナリスト、ケーラ・イゼンマン(Kayla Izenman)氏はVICE Newsに対し「北朝鮮は仮想通貨に大きな関心を示しており、開発に関する専門技術を持っていることは間違いない」と語った上で、北朝鮮は仮想通貨を制裁の影響を回避する手段とみていると指摘した。

平壌の大学では人材育成も

国際的な制裁によって銀行システムの利用を制限されている北朝鮮は、これまでも仮想通貨取引所をハッキングして仮想通貨を盗み、マネーロンダリングしていると批判されてきた。

米財務省は9月13日、北朝鮮の3つのハッカー集団が2017年から2018年にかけて、アジアの5つの取引所から5億7100万ドル(約617億円)相当の仮想通貨が盗まれた事件に関与している疑いがあるとして、制裁を科したと発表した。

報道によると、北朝鮮は仮想通貨をマネーロンダリングに使うだけでなく、独自の仮想通貨を構築することで、その流通や使用をコントロールできると考えているようだ。平壌科学技術大学では2017年から大学生に仮想通貨とブロックチェーンの短期コースを提供しているとの情報もある。

独裁国や制裁を受けた国の仮想通貨への関心はこれまでも再三報じられており、ロシア、ベネズエラ、イランも独自仮想通貨の開発を検討しているとされる。