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マイニング世界2位のカナンが米国でIPO。2つの事業リスクも公開

採掘マシンの販売、売上高の99%以上占める

(Image: Shutterstock.com)

仮想通貨採掘(マイニング)世界2位のカナン・クリエイティブ(Canaan Creative、嘉楠 耘智)は10月28日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請書類を提出した。

調達目標は4億ドル(440億円相当)。目論見書によると、カナンは2019年前半、マイニングマシンで世界の21.9%のシェアを持ち、ビットメイン(Bitmain、比特大陸)に次ぎ2位の座にある。

カナンはこれまで3度にわたって、中国本土、香港でIPOを試みたがいずれも断念した。

マイニングマシンはBitcoin(ビットコイン)相場の影響を直接受けるため、同社の業績も仮想通貨相場が低迷した2018年は不振を極めた。しかし2019年に相場が回復するにつれ、カナンの業績も改善。米国でのIPO申請に踏み切った。

目論見書によると、カナンの売上高は2017年が13億810万元、2018年は27億530万元に増えた一方、純利益は2017年が3億7580万元、2018年は1億2240万元に減少した。同社は業績の変動について、「仮想通貨価格が下落すれば、マイニングマシンの価格も値下がりする」と説明している。

カナンは目論見書で、自社のリスクも明らかにした。2017年から2019年前半まで、同社の売上高に占めるマイニングマシンと部品の販売比率は、いずれも99%を超えており、マイニングマシン市場そのものが縮小すれば、同社の経営に致命傷となることが浮き彫りとなった。

また、売上高における中国顧客が占める比率は2017年が91.5%、2018年が76.1%、2019年前半が87.9%と高く、「中国の規制環境の変化の影響も受けやすい」と述べた。

これらの事業リスクに対応するため、カナンはAIチップなど新規事業にも手を広げ、ポートフォリオの分散を図っている。