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イーサリアム、2020年初頭にもハードフォークを計画

第920万ブロックを予定。迫る氷河期対策でブロック生成時間を調整

(Image: Shutterstock.com)

Ethereumのハードフォーク「イスタンブール」が12月8日前後に迫る中、2020年1月6日前後にもう1つのハードフォークを行う計画がある。

イスタンブールの実施は当初、12月4日を目処に第906万9000ブロックを分岐点に決定した。だが、目標日からは4日分もズレが生じている。ここにはブロック生成時間の増加が関係する。

Ethereumの平均ブロック生成時間の推移。11月1日時点で13.48秒だったが12月4日時点で15.25秒まで増大(Etherscanより引用)

Ethereumは、「ディフィカルティボム」というシステムを備える。これは、ブロックの生成状況によって起動し、ブロック生成難易度を動的に引き上げていくというもの。10月5日頃から、その影響が出始めている。

ディフィカルティボムは本来、Ethereum 2.0への移行に際して、Ethereum 1.x側を安全に終了させるための仕組みの1つだ。ところが、2.0のローンチがまだの段階でブロック生成の鈍化が顕著になる、「氷河期」と呼ばれる状況が過去に複数回起きており、その都度ハードフォークで一時しのぎを行ってきた。

今回の「ミューア・グレイシャー」(Muir Glacier、EIP-2387)と命名されたハードフォークでも、過去と同様の手法で氷河期対策を行う。氷河期対策はEIP-2384として提案され、ミューア・グレイシャーの唯一の実装項目になる。11月29日のコア開発者会議で、2020年最初の月曜日である1月6日頃を実施日の目処にすることが決定。その後、第920万ブロックを「ミューア・グレイシャー」の暫定的な実施ブロックとして提案している。

具体的な氷河期対策は、ディフィカルティボムに対するブロック番号の偽装だ。実際のブロック高から一定値を差し引いたものをディフィカルティボムに与え、その起動を延期する。

氷河期対策は過去2回、「ビザンチウム」と「コンスタンティノープル」のハードフォークに組み込まれてきた。開発者のThomas Jay Rush氏の投稿によると、実際のブロック高が900万を超えているのに対し、偽装ブロック高はそこから500万を差し引いた値になっている。「ミューア・グレイシャー」では、さらに偽装ブロック高から400万ブロックを引き算し、ディフィカルティボム視点でのブロック高を初期化する。この対策によって、ディフィカルティボムの起動まで最大611日分の猶予期間が設けられるという。

氷河期対策で過去2回のハードフォークで偽装ブロック高を設定。ディフィカルティボムの起動を延期させてきた(Ethereum-Magicians.orgでのThomas Jay Rush氏の投稿より引用)

なお、「ミューア・グレイシャー」で実装する氷河期対策は本来、「イスタンブール」の実装後に行うハードフォーク「ベルリン」(Berlin、EIP-2070)に含まれる予定だった。だが、「イスタンブール」が当初の予定より延期され、ハッシュレートが低下するなどの事情によりブロック生成時間が早いペースで増加。11月中頃の時点で早急に対処が必要な状況として議論が始まった。その時点で「イスタンブール」の仕様は確定済みであり、氷河期対策は単独EIPのハードフォークとして決行の運びとなった。