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仮想通貨誕生からDeFiまでブロックチェーン10年史公開=ConsenSys
2010年から2019年までの概要・年表
2019年12月13日 06:00
Ethereumで分散型アプリケーションの社会実装を目指す米ConsenSys社は12月3日、2010年から2019年に起きたブロックチェーンに関する出来事をまとめた10年史「The Decade in Blockchain - 2010 to 2020 in Review」を公開した。
報告書は、サトシ・ナカモトが原論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」を発表した2008年を創世記とし、Bitcoinジェネシスブロック誕生1年後の成長の様子から、Ethereumの登場、分散型金融(DeFi)へと発展する今日までの10年間を年表としてまとめている。
2009年1月3日、世界経済全体にわたる金融危機をきっかけに、サトシ・ナカモトという謎の人物が、「Proof of Work chain」上で機能する仮想通貨Bitcoinを誕生させた。ジェネシスブロックには「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for bank」(英タイムズ紙 2009年1月3日「英財務大臣 銀行救済に二度目の公的資金注入間際」)というメッセージを埋め込んだ。
10年史は、その1年後となる2010年からの10年、ブロックチェーン技術が目まぐるしい勢いで開発が進み、わずか数ペニー程度のデジタル通貨から、グローバルな経済システムの新たな柱へと成長するまでをまとめている。10年という節目を機に、ブロックチェーンの10年間を振り返る。
創世記後のBitcoin
Bitcoinと法定通貨の取引ができるマーケット、いわゆる仮想通貨交換所が設立されたのは2010年2月だという。交換所初の取引は4月、1000BTCと30米ドルの取引が行われた。1BTCがわずか0.03米ドルという為替レートになる。
そして5月22日、Bitcoinが初めて現実世界での取引に使われた「Bitcoinピザの日」を迎える。Bitcoinによる世界初の買い物は、ピザ2枚だったという。実際には、直接Bitcoinを支払ってピザを購入したわけではなく、ラズロー・ヘニエイツ氏から送金された1万BTCを受け取ったジェレミー・スターディヴァント氏が、自費でピザを注文し、ラズロー氏に宅配したという有名なエピソードだ。
2010年には、Magic:The Gathering Online eXchangeというトレーディングカード交換所が仮想通貨交換所Mt.GoxとしてBitcoinの取引を開始する。その年の12月、サトシ・ナカモトが世界とのコミュニケーションを絶った。
2011年には、1BTCの相場が米ドルと並び、その後ユーロ、英ポンドと同等になった。そして6月、Mt.Goxがハッキングに遭って取引を一時停止する事件が発生し、その後、Bitcoinの価格が急落した。
誕生から3年、4年
2012年は、7月にエストニア政府がデジタルIDの取り組みにブロックチェーンの組み込みを開始した。9月には仮想通貨交換所のCoinbaseが60万米ドル以上の資金調達に成功するなど、ブックチェーン業界に大きな動きが見られるようになった。
2013年3月には、キプロスが国家経営破綻の危機に陥り(キプロス危機)、民衆が資産の避難先としてBitcoinに注目するようになり、価格が急騰。5月にはBitcoinの総資産額が10億米ドルを超え、1100万BTCが流通するまでに成長した。
7月、初のICOとなるプロジェクトMastercoinが実施された。8月には、米国連邦裁判所がBitcoinは通貨または金銭であるという意見を発表。10月にはFBIが犯罪の温床ダークウェブマーケットプレイスSilk Roadを閉鎖し、約2万6000BTCを没収。
この年の11月、ヴィタリック・ブテリン氏がEthereumホワイトペーパー「A Next-Generation Smart Contract and Decentralized Application Platform」をリリース。
注目の2014年
2014年1月、ヴィタリック・ブテリン氏が、マイアミで開催された北米Bitcoin会議でEthereumを発表。
3月、アメリカ合衆国内国歳入庁が、仮想通貨を米国の税務上の財産として扱うというガイダンスを発表。
7月にはEthereumトークンが発売され、42日間で3万1591BTC(1843万9086米ドル相当)を調達。10月には、ConsenSysが設立された。
年末までに、Paypal、Zynga、Overstock.com、Expedia、Newegg、Dell、Dish Network、およびMicrosoftは、支払いにBitcoinを受け入れた。
さまざまなビジネスへと展開
2015年には、世界各地で仮想通貨交換所が誕生している。10月にはBitcoinがエコノミストの表紙に掲載された。
11月は、最初のゼロ知識証明ZK-Snarksの発表。EthereumのERC-20トークン標準の提案。12月は、Linux FoundationがHyperledgerプロジェクトを設立した。
2016年1月、Zcashの発表。3月には、2番目のEthereumメインネットリリースであるHomesteadの公開。4月、DAO(分散型の自律組織)が28日間のクラウドセールを開始。
6月にDAOが、ハッキングに遭う。DAO攻撃により、7月にEthereumはブロックチェーンのハードフォークにより資金を回収する。しかし、ハードフォークを拒否するグループが、Ethereum Classicと命名したEthereumの元のブロックチェーンを引き続き、別の仮想通貨として利用。
仮想通貨躍進の2017年
2017年1月、Bitcoinの価格が3年ぶりに1000米ドルを突破。6月、EOSが1年間のICOを開始し、最終的に40億米ドルを調達。8月には、Bitcoinネットワークから、Bitcoin Cashがフォーク。
この年の9月、中国がICOを禁止した。
10月には、Bitcoinの価格が初めて5000米ドルを超える。CMEがBitcoin先物を発表。そして11月には、Bitcoinの価格が初めて1万米ドルを超え、12月には2万米ドルに達する。
同じ月、Lightning Network Protocol 1.0がリリースされた。
12月には、MakerDAOがDAIを開始し、分散型金融の未来を示す。オーストリア政府が暗号経済研究所を設立。
2018年は規制の年
2018年1月、スイスがBitcoinでの納税の受け入れを開始。この月、Ethereumの価格が1400米ドル近くに到達、ピークに。仮想通貨の時価総額が8000億米ドルを超える。
しかし、1月にはFacebookが仮想通貨に関連するすべての広告を禁止、3月にはGoogleとTwitterが同調して広告を禁止に。
6月、米国証券取引委員会がEthereumは証券ではないと報告。7月、10万を超えるERC-20トークンが作成される。
11月、ブロックチェーン技術へのVC投資が10億米ドルを超えた。この月、Bitcoin Cashネットワークが、Bitcoin ABCとBitcoin SVへとハードフォーク。
そして今年
2019年2月、Ethereumがハードフォークを伴う大型アップデート「コンスタンティノープル」(Constantinople)と「サンクトペテルブルク」(St.Petersburg)を実施。
4月には、Bitcoinが合計4億件のトランザクションを超える。6月、Ethereumの1日のトランザクションが100万件を超える。
6月、Facebookが仮想通貨リブラ(Libra)を発表。7月、米国上院が「デジタル通貨とブロックチェーンの規制枠組みの検討」と題する公聴会を開催。
この10月、8000万を超える個別のEthereumアドレスが作成された。11月には、3000以上のDAppsが作成され、そのうち2700がEthereum上に構築された。同じく、11月にDeFiアプリにロックされているEthereum(Ether)の量が、過去最高の270万ETHに達した。