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2019年はDeFiの年、来年も引き続き次世代金融が主要テーマに

ConsenSys社が業界を総括した報告書を公開

(Image: Shutterstock.com)

Ethereumで分散型アプリケーションの社会実装を目指す米ConsenSys社は12月5日、DeFi(Decentralized Finance)についてまとめた報告書「2019 Was The Year of DeFi(and Why 2020 Will be Too)」を公開した。2019年はDeFi(分散型金融)の年と総括、そして来年も引き続きDeFiの年となることを宣言、その理由について説明した。

ConsenSys社は、2019年は紛れもなくDeFiの年であったと断言をする。今年の分散型金融の動きは、仮想通貨(暗号資産)およびブロックチェーンエコシステムの中で最もインパクトの大きいものだったという。

報告書では、DeFiとはオープン・ファイナンスであり、これまでの中央集権的な閉塞的な金融システムから、相互運用ができ、プログラミング可能で構成(複合)可能なオープン・プロトコルに基づくオープンな金融経済へのパラダイムシフトを指すと定義している。

DeFiによるオープン・ファイナンスは、新しいシステムを一から作ることではなく、既存のシステムを民主化し、オープンなプロトコルと透明性の高いデータを使用し、金融システム全体を公平にすることが目的であるという。

相互運用性とプログラマブルな構成環境

既存の金融システムは、制限された移転または双方向アクセス機能を持つクローズドなシステム環境により構成されている。しかし、相互運用が可能なオープン・ファイナンスは、仲介業者やレンタル利用者によってコントロールされるという。ある程度の透明性と相互補完的な機能を兼ね備えたプラットフォームによって定義されるものだ。

スマートコントラクトを実装するEthereumは、既存の製品やサービスよりもカスタマイズしやすいため、ブロックチェーンによる新しいタイプの金融商品や資産を可能にした。それによりデジタル資産と証券の世界は、新たな局面を迎えることになったというのだ。

また、プログラミング可能で構成可能なDeFiの複合性は、レゴブロックのように何かを複数組み合わせて組み立てることができるという概念。Ethereumは、Maker、UMA、Augur、Compoundなど、他のプロトコルのプロトコルになっており、すでに複合の可能性の価値を示しているとした。

オープン・ファイナンスエコノミーの基準

すべての金融システムは、経済活動の動力になるために必要な特性がある。一般に受け入れられる経済システムを構成するには、いくつかの特性があり、機能する金融システムには、必ず次に挙げる特性が含まれているとした。


    【すべての金融システムの特性】
  • 借り手と貸し手が資本を移転する能力
  • 必要な流動性を備えた交換および取引(デリバティブ)のプロセス
  • 個人/投資家が資本を移動、保存、定式化および配分する手段
  • リスクを相殺し管理する能力
  • 投資家と個人に規制上の保護を提供する

また、この特性にはグローバルで効率的な市場が含まれているという。

オープン・ファイナンスによる新しい金融システムは、これらの特性を満たしつつ、これまでの金融システムでは必須であった一般的な仲介者または集中管理ポイントを削除する必要があるとし、Ethereumはすでにこれらの機能・特性を兼ね備え、またいくつかの課題について克服しつつあると報告書はまとめた。

リスク管理と規制上の保護

リスク管理と規制による保護は、Ethereumおよび仮想通貨全体の課題であり、これについては従来よりも堅牢性に劣るとした。しかし、Ethereumは不透明な情報、仲介者、独自のシステムなどに起因する現在の金融システムのリスク要因の一部を軽減することも事実だという。

またEthereumは現在、エラーを伴って設計されたり、正しく作成されなかった場合に操作されたりするスマートコントラクトなどに起因する独自のトレードオフがあることも認めている。これらは、保険リスク、流動性リスク、暗号ネットワークに対し、リスク管理の観点からオープン・ファイナンスが複雑になる傾向があるとした。

規制面については、状況は改善されつつあるが、米国証券取引委員会(SEC)、米商品先物取引委員会(CFTC)、およびその他の世界的な規制機関が暗号資産についてどのように判断をするのかが待ち望まれている状況だとした。

2019年は、取引、発行、および使用に関する暗号資産の規制の明確性が向上し、より明確になった。ただし、まだ回答が得られていない何百もの問題が存在する。また仮想通貨の不安定な価格やFacebookの仮想通貨Libra(リブラ)などの大規模な多国籍企業の参入なども、規制話の大きな課題として残されていることも告げている。

2020年に向けて

ConsenSys社は、2019年はEthereumが新しい金融経済の基盤となるプロトコルとしての地位を確立したことは明らかだと断言する。2020年には、新規および既存の企業が、さらに効率を高め、新製品を構築し発展するだろうとも予測している。それらは、IdleやStakedの歩留まり生成用ロボアドバイザーなど、すでにその一部に見られることも明記している。新しい金融システムの作成には時間がかかるものとして、2019年は分散型金融の発展に大きな前進を遂げたが、2020年はさらにそれらが飛躍を遂げる年になるだろうと結んでいる。