ニュース解説

イーサリアム、アルトコイン不要論は妥当なのか?

LiquidやTetherが万能ということではない。「ビットコイナー反省会」前回記事を補足

(Image: Shutterstock.com)

この度、8月7日に掲載したYouTube動画チャンネル「ビットコイナー反省会」の番組内容を解説した弊誌記事「Liquid上でステーブルコインTetherを発行することが市場に与える影響とは?」にて、一部アルトコインに対する発言の解釈が番組パーソナリティーの東晃慈氏が意図する内容と異なるニュアンスで読者の方に伝わってしまい、結果、東氏にご迷惑をおかけいたしました。誤解を招く表現になってしまったことを深くお詫び申し上げます。

「ビットコイナー反省会」は同日夜、それを受けて、急きょ「イーサリアム、アルトコイン不要論は本当に妥当なのか?」を放送し、意図とは異なった説明箇所について東氏自身が解説を行った。弊誌では、改めて正しい解釈となるよう、反省の意味を込めて記事の続報としてまとめさせていただくことにした。

【ビットコイナー反省会】
イーサリアム、アルトコイン不要論は本当に妥当なのか?

前回の記事は、ステーブルコインであるTetherがLiquid上で発行されると市場にどういう影響を及ぼすのか、それは過小評価されていないか、将来的に重要な出来事ではないだろうか、ということを解説したもの。その中で「アルトコインの機能はBitcoinとサイドチェーンを使えば、すべてBitcoinでてきてしまうということをLiquidは体現しているように見える」といった表現が、読者に対して他のコインを否定し、アルトコインは不要であるという誤解を招いてしまい、東氏が意図していたニュアンスとは異なる内容として伝わり、結果、迷惑をかけることになった。

東氏の番組での発言意図は、アルトコインの機能の一部は、想像しているよりも多くの機能が、LiquidやLightning Networkで代替される可能性があるというニュアンスだ。「Liquidは、Ethereum型のスマートコントラクトを使わなくても、かなりやれることがあることを証明することがコンセプトなのではないだろうか」ということが、東氏が伝えたかったことだという。弊誌記事の表現もまた「アルトコインは不要である」という意図は一切ない。Liquidなどサイドチェーン技術が持つ将来的な可能性について解説したつもりが、言葉足らずで誤解を招いたことは深く反省したい。

番組はアルトコイン不要論についての補足

そういった誤解を招いた背景から、ビットコイナー反省会は、せっかくなのでアルトコイン不要論についても補足していきたいと、東氏は番組で語った。今回は、話が広がりすぎないように、特にBitcoinとEthereumの関係性を中心にまとめたという。

東氏は、「アルトコイン不要論」の妥当性について結果から話すと、アルトコインはなくならないと思っているとのこと。Bitcoinを使ってできることは増えているが、どうしてもできないこともあるという。アルトコインの存在意義はそこにあり、たとえばEthereum型のスマートコントラクトもその1つであるし、またLiquidは匿名性の送金が可能だがパブリックチェーンではないので、パブリックチェーン型の匿名性のコインのようなことはできないこともその1つだという。

東氏はそれらを踏まえた上で、現時点でBitcoinの市場規模が大きくなっているのにもかかわらず、過小評価されている部分が気になることから、なぜ、みんなはこの現象に注目しないのかということで、今は特にBitcoinについて語っているという。もう少しBitcoinについて語ってもいいのでないかというのだ。ただし、これは今後Bitcoinが成功する、大きくなるだろうということではないとのこと。もちろんアルトコインを過小評価しているわけでもないという。

BitcoinとEthereumの関係について話を絞ると、誕生当初は両者の関係は近かったが今はまったく違っているという。なぜならば、Ethereumができたころ、その開発に携わる人の多くが、元々Bitcoinに精通している人たちが参加していたからだという。しかし、今は両者が目指しているものや、開発に参加している人々の属性が大きく変わっていることから、その違いは明らかだと東氏はいう。

東氏の経験から実感する両者の属性は、Bitcoinは、貨幣について、送金の自由、法定通貨や中央銀行の問題、マクロ経済などに興味のある人が参加しているという。一方のEthereumはインターネットやWEBをどうにかしたい、アプリケーションを作りたいというようなことに興味がある人が多いと感じるというのだ。そういった意味でも、BitcoinとEthereumは直接の比較対象ではなくなってきていると東氏はいう。

前回の記事「Tether on Liquid」について

東氏は放送で、前回の放送(記事)で扱ったLiquid NetworkとステーブルコインTetherについても言及をした。LiquidにTetherが載ったら「いいよね」という趣旨は、東氏がLiquidを推しているわけでもなく、Tetherを信じているわけではないと断言をした。

放送を見た人はわかると思うが、Liquidは取引所の連合が扱っているものなので、Bitcoinと違いトラストレスではないし、分散を目指しているものでもない。また、Tetherも法定通貨に裏付けされたステーブルコインとはいうものの、その実態については公になっていない部分も少なくないなど、両者の課題についてもしっかりと指摘をしている。

LiquidもTetherも完璧ではないし、アルトコインの機能すべてと置き換わるものではないが、東氏が重要だと思うのは、実需が読みやすいということがポイントだという。Tetherは実際にマーケットメイキングや中国のOTC取引からの需要など、実際に実需があることがわかっている。また、Liquidはトラストレスではないが、その特性としてTetherのようなもので効率よく匿名送金ができるなど、その機能を使いたいという人が東氏は見えるという。これらについては、分散化されているかどうかは必ずしも重要ではなく、使う人が本当にいるのかという点が重要なのだと強調する。

つまり、LiquidやTetherがこれから使われるのではないかという可能性の話であり、LiquidやTetherが好きだとか、優れているということではないというのが前回放送の趣旨だという。

アルトコインと実需について

今回の放送では、その他のアルトコインや新技術・機能などについても同様に、それが使われるかどうか、実需が読めるかどうかが重要であるということを改めて伝えている。新機能である、技術的に優れているという理由だけで使われることはなく、技術と需要は別の話だと東氏は力説をする。仮想通貨の世界は、実需を抜きにした期待感だけで語ったり、よくわからないハイプ(虚偽・誇大宣伝)が多過ぎなのではないかというのだ。ただし、現時点で需要がないから価値がないという判断も間違いであり、そこから画期的な新しいユースケースが見つかる可能性もあるので、すぐに否定するのは早計であると、同時に思うという。

東氏は、単純に技術の話だけではなく、マーケットだったり、業界関係者が何を見ているのか、ユーザーがどんな属性で何を欲しているのかということを把握し、その後の流れを読むことに興味があるのだという。これは番組から受けたニュアンスだが、東氏はそういった判断の元で取り上げるテーマを決めているようだ。誤解を招くといけないので、ぜひ放送を視聴の上、各自判断いただきたい。

最後に

実は東氏は、今回取り上げたBitcoinとEthereumの違いの話や、今後BitcoinやEthereumはどうなるのかという話を、おのおののトップ開発者である専門家を招いて議論し合う番組を、9月上旬には行おうと企画中だったという。今回のテーマのより詳細については、そこで話をしたいとのことなので、ぜひ注目いただきたい。