イベントレポート

de:code 2018に仮想通貨少女が登壇、マイクロソフト西脇氏とbitFlyer小宮山氏らでトークショーが盛り上がる

de:code 2018

 日本マイクロソフトは5月22日から2日間、開発者向けカンファレンス「de:code 2018」を開催した。「de:code 2018」は、ITに携わるすべてのエンジニアを対象に、未来を創る最新テクノロジーを紹介する毎年恒例のイベントである。有識者による基調講演をはじめ、数多くのセッションやハンズオンが開かれ、最新テクノロジーを学び、スキルを高めることができる。

日本マイクロソフト・エバンジェリストの西脇 資哲氏

 今回、日本マイクロソフトのコーポレート戦略統括本部・業務執行役員・エバンジェリストである西脇 資哲氏のセッション「エバンジェリスト恒例スペシャル対談 ブロックチェーン/仮想通貨スペシャルトーク~今すぐ始めようビットコイン~」に参加した。毎回満席になる西脇氏のセッションが、今年は仮想通貨とブロックチェーンがテーマだというので注目。ゲストとして、株式会社bitFlyer取締役CTOの小宮山 峰史氏と、仮想通貨をテーマに活動するアイドルグループ「仮想通貨少女」から3人のメンバーが登壇した。

株式会社bitFlyer取締役CTOの小宮山 峰史氏
仮想通貨少女メンバー。左から成瀬 ららちゃん、上川 湖遥ちゃん、南 鈴々華ちゃん

トークテーマはBitcoin・仮想通貨・ブロックチェーン

 以前の西脇氏は、マイクロソフトの製品やサービスをテーマにセッションを行っていたが、近年は「会社から面白いことをやれ」との依頼で自らテーマを考えるという。しかしながら、自分が面白いということをやっても意味がないので、客観的にトレンドキーワードからテーマを考えることにしており、今年は「Bitcoin、仮想通貨、ブロックチェーン」を選択することにしたとのこと。

 セッションは、トークショー形式で行われた。ゲストは、仮想通貨界隈で何か問題を起こした会社さんを呼ぼうかなとも一瞬よぎったが、それはさすがにまずいという良識ある自身の見解で、ならばまずは「日本で一番大きなプレイヤーを呼ぼう」と決めたそうだ。しかしそれだけでは堅い話、ビジネスの話ばっかりになり偏ってしまうので、それならば、そこに柔らかいものをぶつけようということで、今、話題の人として仮想通貨少女に白羽の矢を立てたとのこと。

ビジネスとエンターテイメントが融合するトークショー

ブロックチェーンにも詳しいアイドルグループ「仮想通貨少女」

 まずは、ゲストの紹介から。仮想通貨少女のメンバーのうち3人が、アイドルらしく自己紹介にてトークショーはスタート。

 「私たち仮想通貨をテーマにしたアイドル、仮想通貨少女です」という元気な挨拶が印象的な彼女たちは、13人のアイドルグループ「星座百景」から派生した、世界初の仮装通貨をテーマにしたアイドルユニット。時にはかわいい素顔もさらすが、それぞれ仮想通貨に対応した覆面をかぶるのが特徴だ。

 成瀬 ららちゃんは、仮想通貨少女BCH、Bitcoin Cash担当。Bitcoin Cash担当というのは、どこで分かるのか? という西脇氏の問いかけに、「このマスクの額のところに担当の仮想通貨を表すマークがついています」と答える。西脇氏は「私、ちょっとあんまり顔と名前を覚えられないので、額のマークを見ればBitcoin Cashだって分かるのはいいですね」と答え、笑いを誘った。

Bitcoin Cash担当の成瀬 ららちゃん

 続いて、仮想通貨少女NEMの上川 湖遥ちゃんが「みなさんご存じのNEM担当の上川 湖遥です」と自己紹介をすると、西脇氏が間髪入れずに、世間でいろいろあったせいで(コインチェックNEM不正流出事件)、NEMは知名度が上がって「確かにみなさんご存じですね」とコメント。

 ここで西脇氏は、仮想通貨少女がどれぐらい仮想通貨に詳しいのかを試す意味で「ハードフォーク」という言葉を知っているかと彼女に聞くと、彼女は「はい、先日Bitcoin Cashがハードフォークしました」と答え、「おー、何が起きたんですか?」という質問にも、「トランザクションのブロックサイズ容量が8MBから、32MBになったんです」と答え、西脇氏は、「トランザクションという言葉がアイドルから出てきますか」と、感動的な会話のやりとりがなされ、会場が一気に盛り上がった。

NEM担当の上川 湖遥ちゃん

 最後は、南 鈴々華ちゃん、仮想通貨少女NEOが自己紹介。「NEO担当の南 鈴々華です、よろしくお願いします」という言葉に、「珍しい仮想通貨を担当しているね」という西脇氏に、「そうですね。中国発祥の仮想通貨なので、はい」と答え、Ethereumと同じ理論で生まれたスマートコントラクトが特徴の仮想通貨であることまで説明をこなした。

NEO担当の南 鈴々華ちゃん

 西脇氏の、「どうですか、みなさん。仮想通貨少女のみなさんは、こんな会話ができるんすね~。またブロックチェーンについても詳しいということなので、本日はご登壇いただきました」という言葉に、会場も納得の様子だった。

会員数が200万人を突破した「bitFlyer」

 続いては、bitFlyer取締役の小宮山 峰史氏の紹介となり、「bitFlyerについては、みなさんもご存じだと思いますが、せっかくなので小宮山さんから、bitFlyerのビジネスについてもお話をいただけますか」という西脇氏の言葉から、トークショーはbitFlyerの紹介と現在のビジネス状況についての話題に移った。

 bitFlyerは、Bitcoinやそのほかの仮想通貨を取り扱う仮想通貨交換業者で、仮想通貨交換所がメインだが、それ以外にも、Bitcoinによる決済、買い物ができるサービスや、ブロックチェーンによる新しいサービスも展開していると説明。

 現在、bitFlyerの会員数は200万人を突破し、仮想通貨の取引量も月間7.8兆円を超え、世界一取引量の多い仮想通貨交換所に成長したという。ちなみにbitFlyerの取引量は、日本の仮想通貨取引のシェア8割を占めているとのこと。そして現在も会員数や取引量が増え続けているので、その数字はどんどん古いものになっているそうだ。

 それを聞いた仮想通貨少女は、「見たことも聞いたこともない数字なので、bitFlyerさんは素晴らしい」という感想を述べた。それに対し、「bitFlyerさんのインフラで7.8兆円も取り引きされているということは、めっちゃくちゃ儲かっているということですよね」という突っ込みのような西脇氏のコメントが、会場からの笑いを誘った。

 ここで西脇氏が会場に向かって「Bitcoinを持っている方はどれぐらいいらっしゃいますか?」と問いかけると、まばらに手が挙がり、ほとんど持っていないという結果になった。その状況についての感想を仮想通貨少女に問うと、「もっとBitcoinを持っていらっしゃる方が、会場にいらっしゃるんじゃないかなと思っていました」とやんわりとした感想を述べるも、そこは正直に言おうよと西脇氏が詰め寄ると、「正直、全員の手が挙がると思ってました」とすぐに答え、会場は爆笑の渦に包まれた。

 小宮山氏は、「技術者の方は、仮想通貨のことはよく知っているし、また興味があるけど、実際に持っている人は少ない」と分析する。どちらかというと仮想通貨を持っている人はビジネスサイドの方、起業したいというようなタイプの方が多いのではないかという。ちなみに仮想通貨少女が出演する普段のイベントでは、少なくても半数以上の人が仮想通貨を持っていると手を挙げるそうだ。

今日、5月22日はBitcoin○○の日

 続いて突然、西脇氏から登壇者に向けてクイズが出題された。「今日、5月22日はBitcoin○○の日と言われているんですが、さて何の日でしょう?」という問いに、みんなで答えるというクイズコーナーになった。

突然、クイズコーナーに

 「Bitcoinをやっている人は、たぶん知らないとまずい」とあえて焦らせる西脇氏の言葉に動揺する仮想通貨少女。西脇氏が助け船として、「分かった方はTwitterで彼女たちを助けてあげてね」と投げかけるも、会場やセッションを生配信で見ている視聴者からは、どうやらヒントはない様子。さらなるヒントとして小宮山氏から「2010年の今日、Bitcoinに起きたお話ですね」とコメントが出た。

答えは各自、フリップに

 各自ようやくフリップに答えを書き終えたところで、順番に回答をオープン。NEO担当の鈴々華ちゃんは「誕生」と答えるも、即答で「不正解」を告げられた。続けてBitcoin Cash担当のららちゃんの答えをオープンすると、こちらもまさかの「誕生」という同じ回答で不正解。残る、NEM担当の湖遥ちゃんは「盗難の日」と答えるが、これも不正解だった。

残念、全員不正解

 正解は「Bitcoinピザの日」と西脇氏が告げ、これを小宮山氏が解説した。

 2010年5月22日は、とある人がピザ2枚を10,000BTCで購入した、世界で初めてBitcoinが買い物に使われた日(決済ではない)であることから、この日を「ピザの日」とし、以来、Bitcoin界隈の人は毎年この日にお祝いでピザを食べる習慣になったと説明。

正解は、「Bitcoinピザの日」

 このエピソードは、実際にはピザを食べたい人が「ピザをBitcoinで売ってほしい」という書き込みをしたところ、それを発見した人が、粋なはからいで自分がBitcoinを受け取り、ピザ屋にピサを発注し、直接、依頼主に届けさせたということだ。ちなみに当時、10,000BTCで約2,000円のピザを買ったとのことだが、現在のBitcoinの価値で計算すると、ほぼ100億円に近いピザということになるという話で、会場は盛り上がった。なお、仮想通貨少女の名誉のために伝えるが、彼女たちはこのエピソードを知っていたが、日付まで覚えておらず答えられなかったようだ。

 ここで西脇氏は、技術者は「ブロックチェーンって何?」とよく質問されると思うが、そんなときに技術者はひと言でどう答えるべきかという問いに、回答の一例として小宮山氏は、最近は「分散して台帳を管理する技術」というような言い方をしていると答えると、仮想通貨少女がブロックチェーンについては「私たちの新曲で『俺の名はブロックチェーン』という曲があるので聞いてほしい」と答え、1フレーズだけ披露することになり、会場はさらなる盛り上がりを見せた。

新曲『俺の名はブロックチェーン』を披露

 また登壇者に「本当に仮想通貨が使える社会が来るのか?」という投げかけに、全員一致で「来る」と回答したことも印象的だった。「仮想通貨でイチバンこれが変わる!」という質問には、ライブや旅行に行きやすくなったり、投げ銭のシステムがいろいろ出てきたり、資金集めが変わるなど、それぞれの思い描く仮想通貨の世界があることを実感する意見が出た。ららちゃんの「人生」という回答もまた、仮想通貨に対する楽しいイメージを印象付けた。

「仮想通貨が使える社会が来る」と全員一致
仮想通貨でイチバン変わるものは「人生」という、ららちゃん

実際にbitFlyerのアプリを使って仮想通貨を取引

 トークショーは、bitFlyerの「bitFlyer ウォレット」アプリを使って仮想通貨を買ってみよう、送金してみようというコーナーになり、実際にステージ上で西脇氏がアプリを使って、実演をすることになった。ここで仮想通貨少女の応援があったおかげ(?)もあり、仮想通貨の取引が思いのほか簡単であることを実感できるコーナーになった。

bitFlyerのアプリで実演

 最後は、「仮想通貨時代、明日から何すべき?」という話題になり、仮想通貨少女と一緒につぶやき、そして仮想通貨を買い、仮想通貨少女の曲を聞くという、彼女たちの素晴らしい意見でなごみ、さらに小宮山氏の「コードを書く」という最後の言葉で、技術者でいっぱいの会場がさらなる一体感を増した。

 本トークショーが仮想通貨をより身近なものに感じられる有意義な技術者の集まりとなったところで、セッションの幕が下りた。

仮想通貨少女と一緒に盛り上がろう

高橋ピョン太