イベントレポート

FLOCが東京・丸の内にブロックチェーンビジネス活用促進を目的にコミュニティスペースを開設

イベントに無料使用可能な空間「丸の内vacans」のオープ二ング記念イベントを開催

 ブロックチェーン総合スクール「FLOCブロックチェーン大学校」を運営する株式会社FLOCは12月10日、東京・丸の内にブロックチェーンビジネスの活用促進を目的としたコミュニティスペース「丸の内vacans」を開設し、初披露を記念して「丸の内vacans オープ二ング記念イベント」を開催した。2部構成で行われた記念イベントは、第1部にFLOC・代表取締役CEOの泉正人氏による「丸の内vacans」の詳細および今後の施策についての発表、第2部に日本のブロックチェーン第一人者であるビットバンク株式会社・代表取締役CEOの廣末紀之氏、米R3社日本統括責任者の山田宗俊氏を招き記念トークセッションが行われた。

株式会社FLOC・代表取締役CEOの泉正人氏

 本稿では、「丸の内vacans オープ二ング記念イベント」第1部をレポートする。また、第2部のトークセッションについても別稿にてレポートする予定なので、併せて一読いただきたい。

 記念イベント第1部は、「今なぜ、ブロックチェーンコミュニティスペース丸の内vacansか」と題し、FLOC・代表取締役の泉正人氏が登壇をするが、泉氏のトーク開始前にゲストとして第4次安倍改造内閣・情報通信技術(IT)政策担当内閣府特命担当大臣の平井卓也大臣が駆けつけ、祝辞を延べた。

IT科学技術担当大臣の平井卓也大臣

 平井大臣いわく、ITが頭につく大臣は自分が初めてだが、ひと言で言うとデジタル化推進担当大臣であると自己紹介をする。大臣以外にもいろいろと担当しているが、すべてがデジタルトランスフォーメーションにつながるという。しかし我が国は、IT技術者全般人手不足である。昨今、ブロックチェーンについて多くの人がその可能性について語るが、技術者はいるのだろうか? これまで国の調達の会議をやってきたが、近頃は政府もすべてクラウドベース、クラウド・バイ・デフォルトという方向で動くようになった。それではクラウドで発注するというノウハウが、我が国にはあるのか? というとそれもなく、かつクラウドの技術者も本当に足りないと語る。

 平井大臣は、このデジタル化がうまくいくかどうかは政府が人をきちんと配置できるかどうかにかかっているという。そういう意味でも大臣は、今回のFLOCブロックチェーン大学校には期待していると延べる。大臣自身も、ブロックチェーンが分からずに担当するわけにもいかないといい、また、これだけ多くの人が集まっていることから(今回のイベントに)、ブロックチェーンというのは社会の中の実装段階に入っていると多くの方が感じているということだろうと語る。政府は公共部門でのブロックチェーンを検討しているという。(ブロックチェーンについては)仮想通貨などいろいろあると思うが、地方自治体は自分たちの業務の中に取り込めるものを考えているそうだ。技術としては相当可能性があると認識しているという。ぜひ学ぶ人を増やし、一緒に仕事ができる人を増やしていただきたいといい、学ぶ人々がより多くの人と出会い、さまざまな人を巻き込みながらイノベーションを起こしていただけたら我々は幸せだという。大臣としても、新たなことにチャレンジできる環境を作るために全力でお手伝いすることを約束すると、祝辞を述べた。

丸の内Vacansについて

 泉氏は最初に、丸の内Vacansについて紹介をする。今日、今、このイベントが、初めてこの会場丸の内Vacansを使う、つまり本日がオープンの日となるとのこと。

 丸の内Vacansをブロックチェーンビジネス活用のための日本初のコミュニティスペースとして開設をしたという泉氏は、ブロックチェーンに関するコミュニティスペースは、日本にも世界にもいくつかあるが、ここの特長はビジネス活用であるということを強調する。東京・丸の内という、人が集まりやすいビジネスの中心で、どんどん新しいものが生まれていくという願いを込めていると語る。

 泉氏はFLOCの母体となるファイナンシャルアカデミーにて、お金の教養が身につく総合マネースクールとして金融経済教育に携わってきたが、ブロックチェーンに出合い大きな衝撃を受けたという。金融経済教育をやっている立場からすると、ブロックチェーンは金融の新たな概念、新たなカタチになると思ったと感じたそうだ。単なる仮想通貨といい1つカタチではなくもっと活用範囲の広いものという。ブロックチェーンを勉強する中で、世の中に必要な技術だと感じ、広めたいと考えたとのこと。ファイナンシャルアカデミーの経験から我々にできることを考えたときに、これまでの金融経済教育を軸にブロックチェーンのスペシャリストを育成したいと考え、FLOCをスタートしたと語る。FLOCをひと言でまとめると、教育を軸としたブロックチェーンの人材とナレッジ(知識)のプラットフォームだという。

産学官連携モデルが重要

 今動いているスキームとして産学官連携モデルがあると語る、泉氏。産学官でそれぞれ悩みや課題があるが、産学官連携はそれらを解決するビジネスを加速させるモデルだという。たとえばビジネスではプロジェクトを立ち上げたくても人材がいない。ナレッジがない。学については、学校で学んだスキルを実践する場がほしい。一方で官としては、政府のかかげる成長戦略に入る産業を支援したいなど、日本からテクノロジーを発信したいという課題があるという。

 このようにそれぞれ抱える課題を解決するモデルが産学官連携モデル。現在のFLOCは、産と学に絞ってスキームが動いているが、通常、プロジェクトが動き出すとき、何かしらのリソースが不足するが、最近は、人もしくはナレッジ、ノウハウがほとんどの場合でないという。多くの企業で、ブロックチェーンビジネスをやりたくてもできない、あるいはできたとしても遅いという問題があるという。

 FLOCには、これらの不足しているリソースが揃っているとのこと。人材・ナレッジ・開発、これらを持つ我々は、コーディネーターとしてビジネスに関わりたいという。プロジェクトに対して我々が持つ講師陣のナレッジを加えたり、FLOCの卒業生がそのプロジェクトに実際に入ってビジネスを運営・推進したり、生徒がインターンとして加わったりなど、そういったコーディネートをFLOCは行うのだという。その結果、リソースが揃ってビジネスが成功する。こういうモデルをこれからたくさん作っていくつもりだという、泉氏。

 また、その後に必要になってくるのが官だという泉氏は、産業と官が一体となって、この第四次産業革命を盛り上げていきたいと語る。こういうスキームを我々は描いているのだが、実はそこにもう1つ足りないものがあるのだという。

 それが、「場」なのだと語る泉氏は、人と人が出会ってプロジェクトが生まれ大きくなるが、そんな場所が足りないので、その場として丸の内Vacansを作ったのだという。産学官連携モデルの最後の1ピースを埋める、それがこの場所であると丸の内Vacans開設の理由を語った。

Vacansには3つの無料がある

 丸の内Vacansの「Vacans」は英語の休暇ではなくラテン語の「空白・空き・余白」から来ているとのこと。丸の内Vacansは、空間的スペースの余白「空間」を自由に埋めるように利用してほしい、利用者の頭の中の余白「クリエイティブな発想」、という意味が込めているそうだ。

 泉氏は、丸の内Vacansを3つの無料でみんなを招き入れたいとのこと。まずはスペースの利用が無料であるという。参加費無料のブロックチェーンイベントでの利用についてはすべて無料(審査あり)で場を貸し出すという。ただし、参加費有料のイベントについては参加料の半額をいただくそうだ。無料イベントについては、ブロックチェーン関連のミートアップやセミナーを想定しており、こういうものは基本的にすべて無料で利用できるというのである。

 2つ目は、専門家によるコンサルティングが無料。多くの場合、知識やノウハウというものがないとプロジェクトは上手くいかないが、丸の内Vacansではプロジェクトを最初からうまく進めてほしいので、コンサルティングを無料で提供するという。まずは来年1月から毎月第4火曜日の午後を無料コンサルデーとして、この場所を開放し、ここでコンサルティングを行うとのこと。これについては、第一人者と言われているコンセンサス・ベイス株式会社のコンサル担当者の協力で実現したとのこと。

 また、3つ目は、講演会やイベントを無料で行っていくとのこと。我々は月に何度かブロックチェーンの第一人者を招き、セミナーやイベントを行っているが、FLOCコミュニティに参加している人なら無料で参加できるようにするとのこと。

空間としての丸の内Vacans

 ここで泉氏は、実空間としての丸の内Vacansについて語る。この丸の内Vacansは、半年前はただの空洞だった。それをどうすればここからクリエイティブが生まれるかということを考えながら、ここの設計監修を建築家の荒木信雄氏にお願いしたという。

 泉氏がここで荒木氏を招き入れ、改めてこの空間について伺うことになった。

建築家の荒木信雄氏

 最近では銀座ソニーパークを手がけたという荒木氏は、登壇の冒頭、実は3月頃に泉氏からVacansの連絡をもらったが、最初はスルーしていたと語り、会場の笑いを誘った。そんな荒木氏は、お金の話は全然分からないのでやけくそでやってみようかなと思ったという。泉氏の話を聞くと「プラットフォーム」という点で意外と普段設計している公園と共通点があったという。専門的なことは分からないが、すべての人を受けて入れて、利用してもらう、建築の話と同じだと感じたそうだ。

 今、この会場を見て工事中みたいに見えると思う。しかし、空間を開けておくことで、場を固定化しないという印象をもたせているという。皆さんがいろんな活動をここで行えば、この施設は肉付き、彩りが加えられていく。今骨組みを作ったのでこの空間を皆さんで育てていってほしい、そういうプラットフォームとしてここを作ったのだと語る荒木氏の言葉が印象的だった。

 最後に泉氏は、ブロックチェーンビジネスを盛り上げるために、ここにいる皆さんで1つ1つ、より多くのプロジェクトを立ち上げ、そして力を合わせてやっていければと思っていると語った。そのために、無料で使えるここの場を有効活用してほしいという願いを延べ、日本からブロックチェーンビジネスがどんどん増えて、経済成長に寄与していく、そんな場にできればなと思っているという想いを伝え、第1部は修了した。

高橋ピョン太