イベントレポート

仮想通貨ビットコイン認知度は一般層で90%超。高齢者ほど知っている

マクロミル・コインチェック・HashHubが合同で調査結果を報告

マクロミルによる調査結果のサマリー

マクロミルとコインチェック、HashHubの3社は9月24日、合同で仮想通貨に関する意識調査の報告会を開催した。調査は2019年8月にマクロミルとHashHubが共同で実施したもの。仮想通貨やブロックチェーンについて、その理解度を問う約40の項目でアンケート調査を実施した。また、マクロミルとコインチェックは9月より、アンケート参加報酬の仮想通貨による付与サービスで協業している。その関係で、3社による合同発表会が催された。

イベントでは各社による事業紹介やパネルディスカッションも催されたが、本稿ではアンケートの調査報告に関して取り上げる。調査報告は、マクロミル・統合データ事業本部・デジタルプロダクト事業部長の斉藤司氏が担当した。

マクロミル・統合データ事業本部・デジタルプロダクト事業部長の斉藤司氏

マクロミルとHashHubは2019年8月に、それぞれのプラットフォームで計2413人から意見を収集した。アンケート項目は両社共通だが、HashHub主催のアンケートは記事「HashHub、ビットコインによるアンケート報酬即時付与の実証実験を開始」でも紹介したとおり、ライトニングネットワークを活用している。このため、回答者層が大きく異なる。調査報告は、母集団をいくつかのグループに分類することで、回答の傾向について分析している。その結果が冒頭のサマリーだ。

マクロミルは収集したデータ全体を「一般層」の回答とし、仮想通貨の「保有者」「過去保有者」「非売買経験者」「被認知者」、ブロックチェーンの「認知者」「非認知者」と状況別に割り付けた。これにHashHubのデータを「ギーク層」の回答として加え、分析を行っていく。また、マクロミルは2017年10月にも同様の意識調査を実施しており、このデータも比較材料となる。

以下では、調査結果から興味深いデータについて、斉藤氏のコメントを参考にしつつ、筆者の独断と偏見で取り上げていく。

高齢者の方がビットコインを知っている

仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)に対する認知度は、2017年の調査時点で87.6%と一般層でも大多数が理解を示していたが、2019年の調査では91.7%に上昇し、仮想通貨は世間一般に広く認知されていることを確認できる。一方で、データには不思議な点が見られた。男女ともに年齢層が上がるほどビットコインに対する認知度が高くなるのだ。60代男性が最大、20代男性が最低の値を示した。

言葉だけ一人歩きしている「DApps」「DeFi」

ブロックチェーンに関しては、一般層も言葉としては半数近く(43.8%)が認知している。だが、それが何であるか詳しく理解している人はまだ少数派(9.5%)だ。回答をギーク層に限定すると、結果は大きく異なってくる。ギーク層は57.2%が「ブロックチェーンを詳しく知っている」と回答した。

さらにブロックチェーン技術のどの分野に関して認知が進んでいるかを見ると、全体的に広く認知されているのは「マイニング」だった。一般層を含めた全体で66.8%が言葉として認知している。次点では「分散型アプリケーション」(DApps)、「分散型金融」(DeFi)が続くのは意外な結果だ。この傾向は一般層特有のもので、ギーク層は「スマートコントラクト」「PoW」「DApps」「ICO」に対して70%以上の認知度を示した。

筆者の肌感覚としては後者で、一般層の間でスマートコントラクトよりも先にDAppsやDeFiが言葉として一人歩きしているのは不自然だ。また、マイニングを除けば全体的に認知度と意味の理解度がかい離している。ギーク層ではその開きが小さかったが、DAppsとDeFiに関しては、認知と理解に差がついている傾向だ。

意外と利用先があるビットコイン

興味深いデータが見られたのは、ビットコインの活用状況である。筆者も各種セミナー会場で登壇者が「仮想通貨の実利用の経験は?」と問いかけると、ほとんど手が上がらない場面を何度か目にしてきた。当然、今回の調査もそれに反しない結果を示すと予想していた。予想通り、ほとんどの回答は10%を下回った。だが、一般層の中でも仮想通貨保有者は「ECサイトでBTC決済をした経験がある」と、30.1%もの人が回答していることは意外だった。

アンケート報酬として仮想通貨は受け入れられるか

マクロミルとコインチェックはアンケート報酬を仮想通貨に交換するサービスを提供しているが、サービス開始に先んじて行った今回の調査では、あまり芳しくない結果になったようだ。一般層全体で、アンケート報酬の仮想通貨による提供を希望するのはわずか7.7%だった。ただし、仮想通貨保有者(34.0%)やギーク層(64.0%)は、仮想通貨での付与に理解を示している。特にギーク層に至っては、現金やポイントでの提供よりもニーズが高い。

日下 弘樹