イベントレポート

bitFlyer Blockchain、ブロックチェーン活用のIDシステム開発を発表=b.tokyo2019

個人情報入力の手間を削減。ポイントカードをスマホで一括管理する仕組み

N.Avenueが主催するブロックチェーンカンファレンスb.tokyo2019で、bitFlyer Blockchain・CEOの加納裕三氏が登壇した。加納氏は、同社がブロックチェーンを用いたIDシステム「bPassport」を提供予定であることを明らかにした。

Webサイトなどで個人情報を入力して作成する従来のIDに対して、「ブロックチェーンID」というものが考えられると加納氏は言う。ブロックチェーンに自身の氏名・性別・住所・生年月日の基本4情報をはじめとした各種情報を、暗号化して記録、自身の情報をコントロールすることできる。

ブロックチェーンIDは、入力の手間を大きく削減することができる。現在、会員カード1枚作るにしても、基本4情報に加えていくつかの情報を手書きしたり、入力する必要がある。

ブロックチェーンIDを用いれば、提供を要求された情報だけを、特定の企業に対して公開することが可能になる。ボタン1つで会員カードの作成に必要な個人情報の入力を終えることができ、何度も同じ住所を書くような手間が発生しない。このように作成したカードもまた電子化できるので、財布をポイントカードで膨らますことも避けられる。さらに、情報の提供によって対価を得る仕組みも実現できるという。

加納氏は講演の中で、上記のメリットを得られるブロックチェーンIDシステム「bPassport」を開発中であり、提供を予定していることを明らかにした。現時点では、提供時期や協力する企業などは明かされていない。

bitFlyer Blockchain・CEOの加納裕三氏

加納氏はbPassportのほか、同社が住友商事と取り組む不動産契約の電子化、イード・トーキョーオタクモード・オタクコインと取り組む翻訳プラットフォームについても紹介した。これら3つの事業は、「加納ビジョン」として氏がブロックチェーンで目指す「無駄のない社会」「頑張りが評価される社会」「個人が主役になれる社会」を実現するための取り組みだという。

また、先述の不動産と翻訳のプロジェクトでは、同社が開発するプライベートブロックチェーンmiyabiが用いられている。加納氏はmiyabiの未来像についても言及。「miyabiとHyperledgerは将来的に相互運用が可能になる。ブロックチェーンの場合、必ずASCIIで記述されたパブリックキーが存在する」(加納氏)とし、従来システムではインターフェイスを工夫しても不可能だった相互運用が、ブロックチェーンでは比較的容易に実現できることを説明した。

日下 弘樹