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ブロックチェーン技術がもたらす生産性向上にも言及 ~総務省「情報通信白書」平成30年版を公開

 総務省は7月3日、平成30年版「情報通信白書」を公表した。今回の白書は、特集テーマを「人口減少時代のICTによる持続的成長」とし、生産性向上をもたらすIT技術の1つとしてブロックチェーンにも触れている。該当箇所の要点を紹介する。

 まず第1章のコラム「エストニアの事例」では、わずか約130万人の国で進められてきた「電子政府」の事例を紹介。2018年から行われているブロックチェーン技術によるエネルギー取引の実証実験や、2014年から本格展開中の非居住者を仮想国民と位置づける「e-residency」構想、政府が発行する仮想通貨「エストコイン」構想など、国家規模での取り組みが紹介されている。

 第3章「ICTによる生産性向上と組織改革」では、第3節「組織を『つなぐ』ことで生産性向上をもたらすICT」で、API公開の進展、クラウドサービスに続けて、ブロックチェーンについて解説。従来型の中央一元管理とブロックチェーンによる分散管理の違いや、効果と課題、応用事例を紹介している。

 分散管理の効果については、(1)高い可用性(一部に不具合があってもシステムが維持できる)、(2)高い完全性(取引データの連鎖保存により改ざんがほぼ不可能など)、(3)取引の低コスト化(仲介役が不要)の3点を。課題については、(1)処理時間の増大、(2)エネルギー消費の増大を挙げる。

 金融以外の分野の応用事例としては、災害時の物資マッチング、シェアリングサービスでの本人確認手続き、電力取引の自動化・効率化、不動産取引、宅配ボックスの配達・受取記録、農産物生産情報の管理が挙げられている。金融分野では仮想通貨以外でも、都市銀行から証券会社まで幅広い金融機関が実用化に向けた取り組みを進めていることを紹介している。

 詳しくは実際に平成30年版「情報通信白書」をご覧いただきたい。なお、現在総務省のウェブサイトで公開されているのはPDF版とEPUB版で、HTML形式版は8月上旬を目処に公開される。紙の書籍版も本日から販売。電子書籍版も本日以降順次、紀伊国屋書店Kinoppy、楽天Kobo、Kindleストアで無料公開される。また、閲覧専用アプリもApp StoreとGoogle Playで無料公開されている。小学生向けの「情報通信白書 for Kids」でも、最新版が更新されている。なお、情報通信白書はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開されており、出典表示を条件として原則自由な二次利用が可能だ。