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仮想通貨ベンチマーク研究会が、早急なベンチマーク投入と認知拡大の必要性を報告

BTCとの交換に使用される法定通貨の割合は全体の2割以下など、動向変化も公表

 世界の金融情報を提供する日本経済新聞社グループの株式会社QUICKは8月3日、仮想通貨交換業者や金融商品・会計・法律の専門家をメンバーとした「仮想通貨ベンチマーク研究会」が、これまで議論してきた内容をまとめた報告書「仮想通貨ベンチマーク開発の論点~エコシステム構築に向けて」を発表した。研究会の目的は、仮想通貨の経済活動を支えるための、ベンチマーク開発を支援することだ。

 報告書では、まず、仮想通貨市場の動向として、法定通貨と仮想通貨の交換から、仮想通貨同士の交換にシフトしていることを挙げる。Bitcoin(BTC)との交換に使用される法定通貨の割合は、全体の2割以下になっているという。

運営主体が存在しない仮想通貨交換所DEXの台頭

 ベンチマーク算出の参照データは、取引量の多い仮想通貨交換所からの提供が想定されているが、特定の運営主体が存在しない分散型仮想通貨交換所(DEX:Decentralized Exchange)の台頭が、参照交換所の選定基準策定などにおいて論点になり得るため、今後はDEXの動向を注視する必要があるとしている。

 また、アルトコイン(Bitcoin以外の仮想通貨)以外にも、資金調達目的のICOトークンや、資金調達以外を目的とするユーティリティトークンなど、幅広く多様な仮想通貨やトークンの発行が見込まれている。インターディーラー取引、ファンドの組成や販売、上場投資信託(ETF:Exchange Traded Funds)の組成や上場、デリバティブ取引など、既存の金融商品に近い形で、より高度な仮想通貨の金融取引が台頭することも見込まれている。

ベンチマークのニーズを議論

 研究会では、前述の仮想通貨市場の動向を踏まえた上で、ベンチマークについて考察。ベンチマークに対する最も基本的なニーズは、やはり法定通貨と仮想通貨の交換レートとのこと。アルトコインでは一部を除き、日本円との交換レートより、Bitcoin、米ドル、Tether(USDT)との交換レートのベンチマークに係るニーズがあると考えられるという。

 ICOトークンは株式同様、トークン単体の「時価」に対するニーズと、ICOトークン全体や代表的なICOトークンで構成される通貨バスケットの指数に対するニーズが増えるものと予想している。

ベンチマークの想定用途は、税・会計処理と金融取引の2つ

 ベンチマークの開発にあたって想定される用途は、市況把握、税・会計処理、インターディーラー、ファンド、ETF、上場デリバティブの6つ。これを取引可能性や指標性・頑健性などの共通要素を踏まえて、市況把握を含む税・会計処理用と、インターディーラー・ファンド・ETF・上場デリバティブといった金融取引用の2つに大別。それぞれに求められるベンチマークの特性や算出方法について解説している。

 税・会計処理用のベンチマークでは、法定通貨が関与しない仮想通貨同士の指数(インデックス)にニーズがシフトすることで、自国の金融商品に過剰投資する「ホームバイアス」が消失し、グローバルで非常に限られたベンチマークに利用が集中することが見込まれるという。そのためベンチマーク運営機関の観点からは、早急に多数のベンチマークを投入することと、短期間で幅広い利用者に認知されることが重要と報告している。

 また、金融取引用のベンチマークは、裁定取引を可能にする「取引可能性」(トレーダビリティ)や、意図的な価格操作に対する耐性「価格操作耐性」といった、より高度な頑健性を備えることが求められるという。また、求められる要件や専門性が高いこと、対象となる仮想通貨の種類や想定利用者が限定的であることから、品揃えより、個々のニーズを踏まえたベンチマークの設計と、ニーズを満たす高品質な参照データの収集が重要となるとしている。

 なお、この研究会の参加メンバーは、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社、株式会社格付投資情報センター、株式会社クラウドリアルティ、QUOINE株式会社、創法律事務所、株式会社ディーカレット、一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会、一般社団法人日本デジタルマネー協会、一般社団法人日本ブロックチェーン協会、野村ホールディングス株式会社、株式会社ビットアルゴ取引所東京、ビットバンク株式会社、みずほ証券株式会社。QUICKは研究会の主催者で、メンバー兼事務局はKPMG/あずさ監査法人。