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金融庁がLCNEMのステーブルコインは資金決済法上の「仮想通貨」ではないことを明確化

代表木村氏が法令適用事前確認手続ノーアクションレター制度で確認

 日本円との交換レートが安定している「ステーブルコイン」のプロジェクトを手がける株式会社LCNEMの代表で、京都大学4年生の木村優氏は8月14日、自身のブログで「LCNEMに関する金融庁への法令適用事前確認手続きに対する回答」という記事を公開した。LCNEMウォレットで購入できるステーブルコイン「LCJPY」は、資金決済法で定められている「仮想通貨」ではないことが確認できたという。

 木村氏は、ステーブルコインのプロジェクトについて、金融庁に法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)の照会を行った。LCNEMのステーブルコインは、仮想通貨NEMのトークン発行機能モザイクを利用している(関連記事)。ただし「LCJPY」は、日本円の電子マネーをブロックチェーン上に発行する形になるので、資金決済法の定める「仮想通貨」ではなく、除外されている「通貨建資産」と認識しているが間違いないか? と金融庁に問い合わせたのだ。

 結果、金融庁からは電話で「通貨建資産であるため、ブロックチェーン上の電子データであっても仮想通貨に当たらないとの認識で間違いない」との返答が得られたという。ノーアクションレターは、条文で明確にされていない状況に関する質問への回答を、文書で明らかにすることが趣旨の制度だ。通貨建資産が仮想通貨から除かれることは条文で明確になっているため、今回は文書ではなく電話での返答に留めるという説明があったとのことだ。

 なお、「仮想通貨」と「通貨建資産」は、資金決済法第二条の第五項と第六項で以下のように定められている。

5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。

一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

6 この法律において「通貨建資産」とは、本邦通貨若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの(以下この項において「債務の履行等」という。)が行われることとされている資産をいう。この場合において、通貨建資産をもって債務の履行等が行われることとされている資産は、通貨建資産とみなす。

資金決済に関する法律(e-Gov)

訂正のお知らせ: 記事初出時、本文の第二段落目におけるLCNEMの解説に不正確な記述があったため、訂正いたしました。