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Bitcoin Coreがv0.17.0にアップデート、マルチシグなどの部分的署名トランザクションにBIP-174仕様をサポート

ウォレット機能の拡張、不具合の修正やパフォーマンスの改善も

 Bitcoin Core Projectは10月3日、Bitcoinの基盤となるオープンソースソフトウェア「Bitcoin Core」の最新バージョン0.17.0をリリースした。マルチシグなどで部分的に署名されたBitcoinトランザクション(PSBT)のフォーマットとして、BIP-174(Bitcoin改善案のナンバー174)の仕様が実装された。また、ウォレット拡張などの機能強化のほか、不具合の修正、パフォーマンスの改善も行われた。

 「Bitcoin Core」バージョン0.17.0のWindows、Mac、Linux向け公式クライアントソフト(ウォレットソフト)はBitcoin Core Projectの公式サイトから、ソースコードはGitHubのプロジェクトページからダウンロードできる。

 Bitcoin Core Projectのリリース情報によると、今回のアップデートでの注目すべき変更点として「BIP-174 PSBTのサポート」「非HDウォレットをHDへのアップグレード」「動的ローディングとウォレットの作成」「非HDウォレットからHDウォレットへのアップグレード」など、以下の16項目の機能追加が挙げられている。

  • 設定オプションの変更
  • GUIの変更
  • 外部ウォレットファイル
  • 新たに作成されたウォレットフォーマット
  • 動的ローディングとウォレットの作成
  • コインセレクション
  • testnetとregtestの設定セクション
  • ウォレット用の「label」APIと「account」API
  • BIP-174 PSBTのサポート
  • 非HDウォレットからHDウォレットへのアップグレード
  • HDマスターキーローテーション
  • ローレベルのRPC変更
  • その他のAPIの変更
  • トランザクションインデックスの変更
  • マイナーブロックサイズの削除
  • Python 2のサポート廃止

Bitcoin Core v0.17.0の重要な新機能

 今回のアップデートにおいて重要と思われる機能について、ここで簡単に説明する。

 「BIP-174 PSBTのサポート」のBIP-174とは、部分的に署名されたBitcoinトランザクション(PSBT)フォーマットを標準定義しようというもの。マルチシグなど複数のユーザー間で署名を必要とするような場合において、各自が署名しながらトランザクションのやりとりをすることになるが、ウォレットやサービスが異なるとやりとりのフォーマットも異なるため、標準化が必須となる。そのフォーマットがBIP-174であり、今回のバージョン0.17.0で実装された。BIP-174がサポートされることで、ユーザーはオフライントランザクションによる署名が可能になった。

 「動的ローディングとウォレットの作成」機能の追加で、これまでウォレットのロードや作成は起動時にのみ可能だったが、いつでもウォレットのロード、作成、アンロードができるようになった。

 「Bitcoin Core」はバージョン0.13.0以降、HDウォレットを作成できるようになった。HDとはHierarchy Deterministicの略で、翻訳すると「階層的決定論」となるが、簡単に説明すると1つの文字列をキーにして階層的にBitcoinアドレスが生成できる、いわゆるツリー構造のようなウォレットだ。今回追加された「非HDウォレットからHDウォレットへのアップグレード」機能を用いることで、古いタイプの非HDウォレットをHDウォレットへとアップグレードすることができるようになった。

 そのほかにも「testnetとregtestの設定セクション」では、1つの設定ファイルで異なるネットワークオプションを設定することが可能になり、また、「設定オプションの変更」ではファイルからインクルードファイルの読み込みが可能になるなど、より利便性が高まっているとのこと。