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「現状のビットコインは価格が乱高下してしまって仮想通貨とは呼べない」発言も

第41回金融審議会総会・第29回金融分科会合同会合より

(Image: StreetVJ / Shutterstock.com)

 金融庁は4月2日、「第41回金融審議会総会・第29回金融分科会合同会合」(以下、総会)について、議事録を公開した。同会は3月4日開催された。金融審議会の委員改選後1回目の開催ということで、冒頭では学習院大学大学院法務研究科教授・神田秀樹氏が同会の会長に選任された。

 総会では、金融庁・小森卓郎市場課長が、「仮想通貨交換業等に関する研究会」にて、昨年12月にまとめられた報告に関して、説明を行った。これに対して金融審議会委員諸氏からコメントが行われた。本稿では、総会の議事録から仮想通貨関連の発言をまとめる。

 小森市場課長は仮想通貨交換業者等に関する規制として、以下を課す方針であることを、金融審議会委員に向けて説明した。


    仮想通貨交換業者を巡る課題への対応
  • ホットウォレット上の顧客資産に対して、同種・同量以上の仮想通貨保持の義務
  • 取引価格情報の公表
  • 投機的取引を助長する広告・勧誘の禁止
  • 移転記録が公開されないなど問題のある仮想通貨の取り扱い禁止

    仮想通貨証拠金取引等への対応
  • 外国為替証拠金取引、FX取引と同様の規制の対象とする
  • 適切な証拠金倍率(レバレッジ)の設定
  • 仮想通貨のリスクに関する説明義務
  • 仮想通貨の信用取引について、証拠金取引と同様の規制を適用

    ICO(Initial Coin Offering)への対応
  • 投資性を有するICOについて、金融規制の対象として明確化
  • ICOトークンの流通性の高さ、投資家のリスク等を考慮して、株式などと同様に、発行者に公衆縦覧型の発行・継続開示の義務づけ
  • ICOトークンの仲介業者を一種業規制の対象とし、発行者の事業、財務状況の審査を義務づける
  • ICOトークンを取り扱う仮想通貨交換業者に対して、発行者による事業の実現可能性等に関する顧客への情報提供を義務づけ

    その他の項目
  • 仮想通貨の現物取引に関し、不当な価格操作などの不公正行為を行為主体を限定せずに禁止
  • 仮想通貨交換業者に取引審査を義務づけ
  • 未公表情報に基づく利益目的での取引の禁止
  • カストディ業務について、仮想通貨交換業規制のうち仮想通貨の管理に関する規制を適用
  • 新たな業規制の導入に際して経過措置を設ける場合、経過期間中の業容拡大の禁止
  • 法令上の呼称を「仮想通貨」から「暗号資産」へ変更

 小森市場課長の説明を受け、京都大学公共政策大学院教授・岩下直行氏、一橋大学大学院法学研究科教授・山本和彦氏、東京大学大学院経済学研究科教授・福田慎一氏、中央大学商学部教授・原田喜美枝氏の4名が意見を述べた。以下では、各委員の発言から、仮想通貨に関係する部分を抜粋・要約する。また委員の質問コメントに対しては、併せて小森市場課長の回答を掲載する。

京都大学公共政策大学院教授・岩下直行氏のコメント

岩下委員:Bitcoinの価格が比較的安定していた時期には特に、マネーロンダリングなどイリーガルなことも含めて、国際的な取引に利用できていた。その後、Bitcoinは価格が乱高下してしまって、通貨としては使えない。現状のBitcoinを仮想通貨と呼ぶには当たらないと思う。一方、仮想通貨と呼ぶにふさわしいものが今後出てくる可能性もある。そのときに、国境をまたいだ形での新しい仕組みのようなものが出てくるのではないか、出てきたときにどうするべきなのかということも検討していかなければならない。

一橋大学大学院法学研究科教授・山本和彦氏のコメント

山本委員:「仮想通貨交換業者を巡る課題への対応」について、現段階で、具体的な制度整備、仕組みの整備のあり方について、一定の方向性が定められているか?

小森市場課長:現在、各府省と調整しながら法案を準備している。方向性としては、仮想通貨交換業者が顧客から預かった暗号資産、及び弁済原資として持っている同種・同量以上の暗号資産から、業者が破綻した際に一般の債権者に先立って顧客が弁済を受けることが出来る権利を持つこととなる。

山本委員:興味深いが、あまり前例がない仕組み。倒産手続等に対して影響する可能性がある。手続き的な観点や他の制度との整合性にも配慮の上、検討を進めていただきたい。

東京大学大学院経済学研究科教授・福田慎一氏のコメント

福田氏:制度を変更した後でも、想定外のことが起きる可能性はある。例えば安全上秘密鍵をコールドウォレットで保管する仮想通貨交換業者で、秘密鍵を唯一知っていた人物の死によって資産が凍結されるという事件が起きた。議論で一つの方向性が示された制度も、柔軟に対応していかなければならない。新たな事態が起これば新たに物事に対応するという形で、弾力的に検討を進めていただきたい。

中央大学商学部教授・原田喜美枝氏のコメント

原田氏:国内の仮想通貨交換所に対して、レバレッジを下げることは、顧客の海外への流出につながるのではないだろうか? また、ICOの一種業登録について詳細を伺いたい。

感想としては、仮想通貨の名称を改めることは良い。同様にICOという表現も変更を検討するべき。IPOと重なり、両者の定義は違うものであるため。また、決済について、少額送金のトラブルは現在洗い出しや対応が済んでいないと思う。少額送金の金額を大きくするよりも、トラブルの削減に努めた後、金額の引き上げというステップを踏むのがよいのではないか。

小森市場課長:暗号資産の証拠金取引について、FX取引と同様に金商業の対象となる。適切なレバレッジは随時設定していく。暗号資産の非常に高いボラティリティを考慮すると、リスクという観点からFX取引の上限25倍という数字よりも低い倍率にしなければならない。自主規制団体の方針では今後4倍を上限とする。なお、ヨーロッパの規制では上限が2倍だ。外国の取引業者が日本国内の顧客に対して取引を誘引するには登録が必要だ。登録しない場合、無登録営業ということで警告等を行う。

ICOの一種業登録について、さまざまな性格のものがある。アイドルの握手券など特定の価値と交換できるものや、収益分配の権利をトークンに付与する投資性ICOなど。投資性ICOは収益分売を約する行為であり、仮にトークンでなかったとしても金商法上の有価証券としての性質を持つと考えられる。投資性ICOに関しては、現行の流通性の高い有価証券についてかかっている一種業登録を仲介業者に求めるという方針で準備している。