イベントレポート

金融庁が「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書を公開、新たな法案を国会へ提出する方針

仮想通貨の呼称を暗号資産に変更する旨も正式に記載

 金融庁は12月21日、「仮想通貨交換業等に関する研究会」における全11回の討議結果を報告書として取りまとめ、公表した。仮想通貨交換業などをめぐる諸問題について、制度的な対応を検討してきた同研究会の最終結果が、全33ページにわたる「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書としてまとめられている。仮想通貨交換業者を巡る課題や仮想通貨証拠金取引やICOについての対応が整理されたほか、仮想通貨を暗号資産と呼ぶことも正式に記載されている。

 金融庁が事務局を務める同研究会は、学識経験者と金融実務家などをメンバーに、仮想通貨交換業者などの業界団体、関係省庁をオブザーバーとし、平成30年4月より計11回にわたり議論を行ってきた。今後、金融庁は「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書を踏まえ、仮想通貨交換業等に関する新たな法案を、国会へ提出する方針を表明した。現在、直近の国会会期スケジュールについては未定だが、来年の通常国会には提出したいという意向を示した。

「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書の概要

 また今回は、報告書に併せて“「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書の概要”が配布され、報告書全体を別紙にて要約しているが、この図の中央に書かれている「仮想通貨交換業者を巡る課題への対応」「仮想通貨証拠金取引等への対応」「ICOへの対応」に関する内容を中心に、新たに法案が作成される見込みだ。

 ちなみに報告書の公開の際に記者から質問が挙がり、「仮想通貨交換業者を巡る課題への対応」については改正資金決済法、「仮想通貨証拠金取引等への対応」「ICOへの対応」については金融商品取引法にて対応するという認識で良いかという質問に対して金融庁は、ざっくりというとそのような方向になるが、個々の事項がどの法律になるかは、これから検討をすると回答した。

 なお、今回公開された報告書は、一部、「受託仮想通貨の流出リスクへの対応」の項目にて、これまで注釈として記載されていた箇所が本文に記載されるなど、若干の変更があるものの、おおむね草案通りの内容である。詳しくは、ぜひ報告書を一読いただきたい。

高橋ピョン太