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財務省、広報誌ファイナンスにて仮想通貨の経済学的研究成果を掲載

ビットコイン先物と仮想通貨バブル崩壊の関連性を否定するデータ分析

(Image: Shutterstock.com)

財務省は5月23日、同省の財務総合政策研究所(以下、財務総研)による文書「暗号資産(仮想通貨)研究への誘い―先物、不正・規制、ICOを中心に」を発表した。同書は財務総研の石田良氏、服部孝洋氏の連名にて同省広報誌ファイナンスへ寄稿された。資料は財務省の公式サイトにて公開されている。

同書は表題の通り、Bitcoin(BTC)の先物取引に対する既存研究の紹介と、執筆者である石田氏らの研究について紹介するもの。後半では仮想通貨における不正・規制・ICOに関する研究の紹介も行っている。

2017年12月、米国の大手先物取引所であるCBOEとCMEがBTCの先物取引を導入した。2017年12月といえば、BTCの市場価格が最高額に達した時期であり、ここを境に仮想通貨バブルの崩壊とも呼ばれる時節である。このバブルの崩壊とBTC先物の導入を関連付ける複数の研究があるという。

BTCの価格推移。米国における先物の導入とバブルの崩壊はその時期が一致する(財務省広報誌 「ファイナンス」2019年5月号p.58より引用)

経済学者の野口悠紀雄氏は2018年に「先物市場がバブルを終わらせた」という文書を投稿している。BTC先物がバブル崩壊の引き金となった根拠として、投資家の弱気な見方が反映される契機になったことや、機関投資家の参入や先物のショート(空売り)のしやすさ等を挙げている。先物の空売りを根拠とした同様の主張がサンフランシスコ連銀からも発表されているという。

BTC先物とバブル崩壊の関連について、石田氏らは反証を行った。氏らの検証によると、BTC先物取引が増加した際にBTC現物価格への影響が数十分程度しか継続しないことが挙げられた。また、先物と現物にかかる裁定行動に関する分析から、バブル崩壊期において現物・先物間で価格の乖離が生じており、先物と現物の関係性が相対的に小さいことを指摘している。検証の過程においては、BUIDLが公開した橋本欣典氏と野田俊也氏の研究も引用されている。

以上、ファイナンス寄稿の石田氏らの研究に関する文書について要点のみを取り上げた。その他、同書では仮想通貨における不正・規制・ICOに関する研究の紹介も行われている。氏らの研究の全容については原文をご確認いただきたい。