仮想通貨(暗号資産)ニュース
仮想通貨ミキシングサービスの3番手、マネーロンダリングの助長により検挙
欧州各国当局の1年に渡る調査の末に匿名化された取引データ等を押収
2019年5月28日 13:53
仮想通貨ミキシングサービスを提供していたBestmixer.io(ベストミキサー)が5月22日、欧州捜査機関により検挙された。検挙されたベストミキサーは、「マネーロンダリング対策を回避する方法」としてミキシングサービスを提供し、その旨をWebサイト上で掲示していたことが問題とされている。米マカフィーの報告により、オランダ財務省の経済情報査察部FIODを中心に各国の当局が連携し本件の調査を行ったとのこと。
ベストミキサーは仮想通貨の3大ミキシングサービスの一つとして数えられ、Bitcoin(BTC)、Bitcoin Cash(BCH)、LiteCoin(LTC)のミキシングサービスを提供していた。2018年5月にサービスを開始し、1年の間に2億米ドル(約25000BTC)の売上高を上げていたとのこと。サービスを提供していたWebサイトは現在閉鎖されている。
犯罪者が不正に入手した仮想通貨をそのまま使用することは難しい。ほとんどの仮想通貨は、その入手経路や利用先をたどることが容易だからだ。その追跡を逃れる方法の一つがミキシングサービスだという。
一般的にミキシングサービスは、ウォレット内の通貨を数百の小さなトランザクションに分ける。難読化させるために異なるトランザクションを他のソースと混ぜ合わせ、入力金額から手数料を引いたものを特定の出力アドレスに送り出す。仮想通貨の出金元や送金先を隠し、匿名性を高めることができるという。
不正に取得した仮想通貨が混ざらないのであれば、ミキシングサービス自体は犯罪には当たらないとされている。今回検挙されたベストミキサーは、マネーロンダリングや脱税の支援と思われる旨の説明をサイト上に掲載していることが問題となった。
マカフィーの発表によると、同社のAdvanced Threat Research(ATR)チームがベストミキサーの拠点がオランダにあることを突き止め、2018年6月にオランダ財務省の経済情報査察部(FIOD)のFinancial Advanced Cyber Team(FACT)へ連絡。1年間に渡る国際的な調査の結果、今回の強制捜査及び閉鎖に至ったという。
マカフィーの報告を受けたFIODは、オランダのDigital Intrusion Team(DIGIT)、欧州刑事警察機構(ユーロポール)、ルクセンブルク、フランス、ラトビアの各国当局と協力してベストミキサーに対する調査を実施。オランダとルクセンブルクで計6台のサーバーを差し押さえたという。今後FIODとユーロポールは共同で、ベストミキサーから押収した取引データの分析を進めるとのこと。