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独ボッシュ、ブロックチェーン活用のEV充電ステーション等の開発へ注力

イーサリアムベースのプロトタイプを開発し検証段階

独ボッシュのマイケル・ボッレCTO。BCW19にてIoTとDLTの活用について語る(プレスリリースより引用、以下同)

ドイツに本拠を構える世界最大の自動車機器メーカーボッシュ・グループ(以下、ボッシュ)は5月15日から16日にかけて、ドイツ・ベルリンにてカンファレンス「ボッシュ コネクテッドワールド 2019」(BCW19)を開催した。第6回目の開催となる同イベントは、「モノのインターネットからモノの経済」がテーマとなる。ブロックチェーンを含む分散型台帳技術(DLT)を活用し、EV(電気自動車)用充電ステーションやスマート駐車管理システムの開発状況が発表された。

ボッシュは2018年に5200万点のウェブ対応製品を販売しており、オープンソースのBosch IoT Suiteを使用して、さまざまなメーカーの1000万以上のデバイスをウェブ接続させるなど、モノの経済をなすエコシステムの構築に注力しているという。

モノの経済を作る上でDLTが重要な技術になる。モノが他の関連するモノと独立して通信できるようにし、モノ自身がデジタル上で契約を結ぶことも可能となる。また、その処理速度を生かして、有料道路、駐車スペース、電気自動車の充電スタンドの使用に対してユーザーに自動的に請求するなどのサービスを提供できるという。

ボッシュは、ブロックチェーンを活用したEV用充電スタンドの開発に、ドイツの大手電力会社EnBWと共同で取り組んでいる。新システムは、ブロックチェーンの透明性を生かして、再生エネルギーの割合や充電ステーションの利用状況を加味した合理的で流動的な充電料金の提示ができる。また、ユーザー視点ではステーションの周辺施設を考慮して、利用するステーションを選択できるという。後述のEthereumをベースに開発したプロトタイプを現在試験中としている。

ボッシュとEnBWが共同開発するEV用充電ステーション

もう一つの取り組みとしてボッシュは、ドイツの大手鉄道車両メーカーシーメンスと共に、ブロックチェーンに基づくスマート駐車管理システムを開発している。車自身が駐車施設と直接通信を行うことで条件を交渉し、ドライバーによる駐車券のやり取りや駐車料金の精算を省略するものだ。このプロジェクトは、ボッシュのレニンゲンに置いた研究所と、シーメンスのミュンヘン拠点にプロトタイプを設置済みで検証を進めているとのこと。

米Decrypt誌のインタビューに対して、ボッシュの広報担当者は、Ethereum、Hyperledger、IOTAを比較した結果、EV充電ステーションのプロトタイプにEthereumのブロックチェーンを活用していることを明らかにしたという。選択の理由を、Ethereumが完全なオープンソースで開発が進められており、モノの経済を作り上げる初期段階で重要な要素であるとしている。一方で、これは初期段階での選択であり、すべてのDLTの可能性を考慮しながら今後も検討していくことを語ったという。

なお、ボッシュはブロックチェーン技術の適用範囲等を解説するページを、同社の公式サイト上で公開している。その中でEthereumについて、スマートコントラクトの有用性について言及している。また、EVの充電と自動支払いのシステムについてEthereumをベースとしたシステムについて検証を進めていることも記述していた。