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独財務相、ユーロのデジタル化を推進。Facebookリブラや中国デジタル通貨をけん制

「Libraのようなパラレル通貨は国家の通貨発行権を脅かす」

独オラフ・ショルツ財務大臣=2019年5月9日撮影(Image: photocosmos1 / Shutterstock.com)

EUで、法定通貨であるユーロのデジタル化に関心が高まっている。ドイツのオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)財務大臣は10月3日、地元メディアのWirtschaftsWocheに対し、「欧州の金融と世界金融を結びつけるためにeユーロが有効だ」と述べ、ユーロのデジタル化を推進する意向を示した。さらに、「民間プロバイダーはもちろん、中国、ロシア、米国のような国家にこの分野を任せるべきではない」とし、他国のCBDC(中銀デジタル通貨)開発やFacebookの仮想通貨リブラ(Libra)をけん制した。

ドイツとフランスは9月にEUとしてリブラを認めない方針を示し、将来的にデジタル通貨の発行を計画していることも明らかにしていた。

パラレル通貨が国家の主権を脅かす

ショルツ氏は、これまでにもリブラに対する否定的なスタンスをロイターなどに報じられてきた。氏の主張は、リブラのようなパラレル通貨の存在は、国家の主権の核である通貨の発行権(通貨高権)を脅かすということだ。国家は通貨高権を持つことで、金融政策などの手法で経済の回復や発展、安定化にかじを取ることができる。日常的に使える通貨として、法定通貨以外のものが普及してしまうと、既存の枠組みによる経済は破綻しうる。

ドイツがパラレル通貨を警戒する理由として、EU経済が好調とは言いがたい状況にあることも関係している。EUではマイナス金利が継続しているが、欧州中央銀行(ECB)は9月に預金金利を現行の0.4%から0.5%へ引き下げることを発表した。ドイツの信用金庫はECBの金利負担に耐えかね、顧客の金利引き下げに動き始めている。

ブルームバーグの報道によると、同国第2位の信用金庫であるベルリナーフォルクスバンクは10月7日、10万ユーロ(約1180万円)を超える預金額のリテール顧客に対して0.5%のマイナス金利を適用した。同国の信金34行が顧客に対してマイナス金利を敷き、他行も追随する見方だという。利用者は資産を預けるのに手数料を取られている状態であり、法定通貨への信用は低下する。

こうした背景があって、ユーロのデジタル化は金融機関にとって業務の手数料を引き下げ、運用コストを軽減する可能性がある。ショルツ氏は「リブラのようなブロックチェーンを活用した金融システムは、EU圏と世界金融を結びつけるために有用」とし、欧州中央銀行が発行するユーロのデジタル通貨として「eユーロ」の開発を推進する姿勢を改めて示した。