仮想通貨(暗号資産)ニュース

政治家個人への献金「仮想通貨は規制対象」=政府答弁書

「金銭等」でなくとも「財産上の利益」の寄付に該当するため

(Image: Shutterstock.com)

政府は10月18日、政治資金規正法上の仮想通貨(暗号資産)の取り扱いについて、暗号資産の法解釈に関する答弁書を閣議決定した。政治資金規正法が禁じる政治家への個人献金について、現行制度上では暗号資産は政治資金規正法で定める「金銭及び有価証券」には該当しないが、暗号資産による寄付は、同法により制約されている「財産上の利益」による寄付に該当するものとした。

10月8日、政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いについて問われた高市早苗総務大臣は記者会見で、政治資金規正法は政治家個人への企業や個人からの金銭、有価証券の寄付を原則禁止しているが、暗号資産は現行制度上では「金銭及び有価証券」のいずれにも該当しないと述べた。

それを受けて立憲民主党所属の熊谷裕人参議院議員は10月9日、政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いに関する質問主意書を提出した。

質問主意書では、公職の候補者の政治活動に対する暗号資産による寄付は、政治資金規正法でいう「金銭、物品その他の財産上の利益」のうちの「金銭」に該当しないという考えでよいか、金銭ではない場合は「物品その他の財産上の利益」のうちの「物品」を寄付することに該当するか、または「その他の財産上の利益の供与又は交付」に該当するか、改めて政府の見解を問いただした。

また、高市総務相は「『暗号資産』を『金銭等』と同様に規制の対象とするためには、法的な手当が必要となる」と述べている。それに対しても、質問主意書では、現行制度上、暗号資産については「法的な手当」がないため、消去法的に「金銭等」ではないと位置づけているのではないか。そのような位置づけは、暗号資産による公職の候補者への寄付が野放図に行われかねないのではないかと指摘している。

政府は、同法における「金銭」とは法定通貨と同義であり、「有価証券」とは財産権を表示する証券で、その権利の移転、行使に証券を必要とする私法上の有価証券であると解されているため、暗号資産は「金銭等」には該当しないと考えているとした。しかし、「暗号資産」を寄付することは、政治資金規正法に規定する「金銭」及び「物品」以外の「財産上の利益」を寄付することに該当するため制約を受けるとした。よって「暗号資産による公職の候補者への寄付が野放図に行われかねない」という指摘には当たらないと答弁している。

なお、暗号資産による寄付を、同法の規定により禁止されている金銭等による寄付と同様に禁止するためには法令上の措置が必要となると考えるが、「公職の候補者の政治活動を制限することとなるなど、政治活動の自由と密接に関連する事項であり、各党各会派において議論すべき」と、それについては政府ではなく国会が検討すべき問題との認識を示した。