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イスラム組織ハマス、活動資金をビットコインで調達か

取引総額32億円相当のテロ関与アドレスをイスラエルの研究所が特定

(Image: Shutterstock.com)

イスラエルの学際センターIDC Herzliya(私立研究大学)のICT(International Institute for Counter-Terrorism:国際テロ対策研究所)は、イランとつながりのあるイスラム原理主義組織ハマスのBitcoinアドレスを特定した。ICTの報告書を入手したイスラエルの日刊英字新聞エルサレム・ポストが、1月19日に報じた。

パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスが、テロ活動資金に利用していると思われるBitcoinアドレスが、イランとつながりがあるという。この組織は、2006年にイスラエル国防軍のギルアド・シャリート氏を拉致し、5年半にわたって監禁した事件でも主犯として知られるところだ。

タウヒード旅団(Liwa al-Tawahid)などのイスラム過激集団がハマスの支援の下で活動しているという。これらの組織は過去にイランから資金提供を受けていたが、現在はイランからの資金が少なくなり、新たにBitcoinによる資金調達計画につながっていると、ICTは報告している。

報告書によると、ハマスは「cash4ps」というウェブサイトを活用し、テロ活動のためにガザ地区から資金を送受金すると同時に、資金の提供者や受取人を匿名化しているという。

また、特定された問題のBitcoinアドレスが、禁止された銀行で口座を運営していることが判明したことも付け加えている。2010年に米国がハマスとの関係を理由にテロ指定をしたイスラム国立銀行(The Islamic National Bank)も、この資金計画と関連があるとした。

同銀行は、ガザ地区全域にいくつかの支店とATMを設置する物理的な拠点を持っているほか、ガザ地区住民にインターネットによる銀行サービスを提供しているという。

2019年11月28日、同行は新たにFacebookページを開設した。ページでは、サービスの宣伝や貯蓄口座の広告に加え、この金融スキームに関連するウェブサイトを紹介している。Facebookの投稿からも、ウォレット(特定のBitcoinアドレス)との関係性がわかるという。

また、ICTはCobweb Technologiesと協力し、Telegramの特定のアカウントとテロ資金供与計画との関係も明らかにしたとのこと。

2019年12月1日のICT調査によると、問題のウォレットの取引総額は3370BTC(1BTC=95万7000円で32億2500万円相当)に達していることが明らかになった。4年間で4500回以上のトランザクションの実行があったという。

ICTの広報担当者は、米国がこれらの口座や機関をすべてテロ集団と関係があると認定すれば、ハマスのテロ資金調達のためのウォレットの使用が停止される可能性があると述べた。テロ資金供与を根絶したい西側諸国やその他の国々は、Bitcoinの取引を規制する国際法を通過させるべきだと、広報担当者は指摘した。

Bitcoinがテロ資金供与のためのプラットフォームとして利用されることを排除するために十分なデューデリジェンスを実施するには、これまでBitcoinが回避してきた中央集権的な追加規制によってのみ行えると報道は結んでいる。管理者のいないBitcoinでのテロ対策は難しい局面を迎えている。