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FATFが仮想通貨規制を含む勧告改正を発表、G20の要請を受けAML/CFT対策について報告

仮想通貨誤用防止のために法的かつ実践的措置を緊急に講ずる必要がある

 マネーロンダリングやテロ資金対策を行うために国際協調を目的とする政府間機関FATF(金融活動作業部会)の総会が、10月17日から19日にパリにて開催された。総会ではマネーロンダリングやテロリストの資金調達を目的に仮想通貨の使用が増加していることや、G20閣僚から報告の要請を受け、FATF勧告の改正を決定し発表した。

 FATFは勧告の改正により、仮想通貨や仮想通貨交換所、特定タイプのウォレット提供者、および新規仮想通貨公開(ICO)によるサービス提供者など、仮想通貨サービスのプロバイダーを新しく定義するための手引きの追加を発表している。

 仮想通貨を扱う地域が、仮想通貨サービスのプロバイダーを継続的に監視し、記録を保持し、疑わしい取引を報告するなど顧客デューデリジェンス(資産の調査活動)を実施すべきというのがFATFの主張だ。

 仮想通貨の利用地域は、仮想通貨の誤用を防止するために法的かつ実践的な措置を緊急に講ずる必要がある。これには、仮想通貨の利用地域が仮想通貨に関するリスクを評価し理解すること、仮想通貨サービスのプロバイダーにリスクベースのAML/CFT(マネーロンダリング/テロ資金供与)規制を適用すること、仮想通貨サービスのプロバイダーをリスクに基づいて監視または監督する有効なシステムを特定することが含まれる。

 リスクに基づいた仮想通貨のガイダンスは2015年にも発行されており、すでにこの指針に従って仮想通貨サービスの活動を規制している地域もある。新しい基準には、この既存の規制要件とほぼ互換性があることもFATFは発表している。同時に、仮想通貨の利用地域は、仮想通貨サービスのプロバイダーが、金融機関、DNFBP(指定非金融業者及び職業専門家)、またはその他の独自の部門のどのカテゴリーでAML/CFT規制を定めるかを柔軟性をもって対応することを強調する。

 FATFは、「仮想通貨」という用語を、デジタルに交換または流通でき、決済利用ができたり投資目的で使用できる価値のデジタル表現を指すために使用するとし、仮想通貨を国家が定める法定通貨とは異なる点を指摘する。また、仮想通貨サービスのプロバイダーには、AML/CFTの目的のためだけに調査または監督が必要とのこと。これには仮想通貨の安定や、消費者・投資家の双方、またはいずれかの保護を含むものではないという。

 現時点では、ほとんどの仮想通貨利用地域が仮想通貨サービスプロバイダーを、財務の安定や投資家と消費者保護を目的に規制しているところは少ない。しかし、FATFの基準では、管轄区域内のリスクと範囲(例えば、カジノ、ギャンブルが違法である地域)に基づき、特定の行為を禁止することを許可するとしている。また、すでに仮想通貨利用が禁止されている地域にも、禁止の解除を求める措置も要求しないとのことだ。

 FATFは、企業が自由に革新できるよう健全なAML/CFT規制環境を構築する一方で、仮想通貨の利用地域に仮想通貨のML/TF(資金洗浄・テロ資金供与)リスク管理の明確化を図るとしている。

 段階的なアプローチの一環として、FATFは、仮想通貨サービスプロバイダーの不正行為の特定・調査および法的に取り締まるためのリスクに基づいた最新ガイダンスを準備するとしている。