仮想通貨(暗号資産)ニュース

中国の仮想通貨交換所FCoinが破綻。ユーザー補償に最長3年の見通し

創業者は操業当初からのデータエラーと判断ミスと説明

(Image: Shutterstock.com)

仮想通貨取引所「FCoin」の創業者の一人である張建氏は2月17日、「FCoinの真実」と題したプレスリリースで、取引所運営が破たんに至るまでの過程を告白した。2018年にローンチしたFCoinは、2月10日の緊急システムメンテナンス以降オフラインになっていた。張氏は「地獄への道は善意で舗装されている」という書き出しで始め、「データのエラー」と「致命的な判断ミス」が取返しのつかない結果を招いたと説明した。

以下、リリースを要約する。

現状

FCoinが直面する最大の問題は、システムが回復不能であることだ。また顧客から預かった資産も返すことができない。社内の問題、技術上のハードルはどちらも資金難と密接に関係している。支払いできない金額は、7000BTCから1万3000BTCに上る。

原因

原因はハッカーでも、内部の人間による資金の持ち出しでもない。データのエラーと判断ミスだ。ただし、事情は複雑なので一言では説明できない。内部管理とシステムという2つの問題が相互に影響を及ぼし、どうしようもなくなった。

致命的とは言えないデータのエラー(2018年)

FCoinは取引マイニングシステムと魅力的な配当で、仮想通貨の中でも短期間で人気になり、ホルダーが増えた。

その急激な成長や変化に、システムの負荷が限界に近づいたため、創業メンバーは私に、毎日配当を出すのをやめるなどして、負荷を下げないともたないと言った。

私は当初聞く耳を持たなかったが、同僚たちも激務で倒れる寸前まで疲弊していたのを見て、妥協してシステムや社員の負担軽減に乗り出した。

綱渡りの運営が続き、システムを維持することだけで手いっぱいだった我々は、FCoinリリース1年が経つまで、財務の問題に目を向けなかった。

その後、心あるユーザーが、取引マイニングシステムでの還元が多すぎると我々に報告してきた。原因を調査したところ、取引マイニングデータに問題のあるアカウントが見つかった。問題を処理する中で、さらに多くの配当やマイニングに関するデータ問題が見つかった。しかもその問題はかなり前から発生しており、多くのユーザーが間違ったデータに基づいて得られた報酬を、既に現金に換えていた。資産の「汚染」が生じていたのだ。

そのころの運営もシステム障害を起こさないことが最優先だったので、どれくらいの損失が出たか正確に算出することを先送りにした。損失額はおおむね1000万~2000万元と見積もっており、自分たちの経営体力からして何とかなると判断した。

致命的な判断ミス(2018-2019年)

2018年にリリースしたFCoinは、取引マイニングシステムがすぐに人気になり、数カ月で私個人だけで1億5000万ドルから2億ドルという巨額の収入を得た。夢のようなスタートだった。振り返ると、それが災難の幕開けだった。

FCoin Token(FT)は当初は価値が上昇したが、その後長い下落基調に入った。FCoinは早熟すぎたのだ。まだしっかり育っていない時期に、ゆっくり育てようと思う人がいなかった。そして、コインの価格だけに関心が集中した。致命的な判断ミスもこれが発端だった。

私は自分の収入全てでFTを買い戻し、ほかの従業員にもそうさせた。そうして自分たちの全ての財産が、他人の現金化の踏み台になった。価格下落で罵倒を受けながら、自分の資産でFTを買い戻し続けた。

データの間違いに加え、この問題によって、「汚染」された配当(私たちの資産にも、払われすぎた配当が含まれていた)、で、「汚染」されたFT(実際より多く割り当てられた)を買い戻すことになった。この行為によって、資産が尽きた。

私たちが気づくのは遅すぎた。問題が拡大したのは2019年初め。データの追跡や分析をしても、細かいところが一致しない。そして損失は当初の見積もりより膨らんだ。当時は、まだコントロール可能だった。

だが2019年後半、強気相場が長期間続き、資産が流出するにつれて、問題がより深刻になった。

一言で言うと

これを読んでも分からないなら、簡単な比喩で説明したい。

FCoinという船は、2018年に出航と同時に氷山に衝突した。船が大きいのですぐには沈まなかったが、傷が入っているのに全速力で前進を続けるという判断で傷口が開き、2020年に沈むこととなった。

FCoinユーザーや、Fcoinのために働いた従業員、投資家などは皆、当日まで事情を知らない被害者だ。内部分裂で反逆者が出たなどと憶測も出たが、それは事実ではない。

組織の立て直しなどは難しい。私の責任だ。

資産の引き出しについて

資産の引き出しへの対応は私がやっているため、効率が悪い。これまで受け付けた分に関しては2か月から3か月かかる。今後、あらたな事業で利益を出して、損失を補填したい。長期的に補償に取り組むつもりだが、1年から3年はかかるだろう。