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コインハイブ事件は最終審へ。二審有罪受け上告を準備中

弁護士団はIT業界に向け意見書を募集

(Image: Shutterstock.com)

仮想通貨マイニングプログラム「Coinhive」の設置を巡って、逆転有罪判決が下った被告人男性を弁護するコインハイブ事件弁護団は2月18日、東京高等裁判所の有罪判決を不服として、上告状を提出すべく準備を進めていることを明らかにした。

同弁護団主任弁護人の平野敬氏は、日本ハッカー協会のWebサイトに「コインハイブ事件 意見書ご協力のお願い」と題した寄稿文を掲載。セキュリティ関連企業やIT業界の知見者に向けて、広く意見書を求めた。意見書を上告趣意書と合わせて最高裁判所に提出するとのことだ。

意見書の目的は「業界内の声を直接届けること」としている。判決に示された規範が先例になることで生じる不利益や、不正指令電磁的記録があいまいに解釈適用されていくことでソフトウェアの開発を萎縮させるなど、多くの問題点が考えられる。現場や経営の立場から、実情をもとにした意見を求めている。

Coinhiveは、Webサイトに設置するツール。サイトへアクセスしたユーザーに、仮想通貨のマイニングを行ってもらうことで広告収入の代替とすることが可能だった。2019年3月にサービスを終了している。

警察は同ツールを、無断でユーザーにマイニングをさせていることが不正指令電磁的記録(ウイルス)供用や保管などの疑いがあると判断した。2019年3月までに利用者21人が検挙された。

この件で罪を問われていた男性はSNS等でモロ(@moro_is)氏と名乗り、事件の経緯をブログやTwitterにて報告していた。本件を巡る裁判の第一審では、横浜地方裁判所が2019年3月27日、モロ氏を無罪とした。罰金10万円を求刑する検察側はこの判決を不服とし、同年4月10日付けで東京高裁に控訴していた。

2020年2月7日、東京高等裁判所は控訴審にて罰金10万円の有罪判決を下し、無罪からの逆転有罪判決となった。二審有罪の判決を受け、弁護士団から上告の方針が示されたのが今回。上告後は最高裁判所で最終審の運びとなる。