仮想通貨(暗号資産)ニュース

証券の国際規制組織IOSCO、規制当局向けに仮想通貨事業規制の方針示す文書公開

G20大阪サミット経た最終報告書で考慮すべき7つ事項とリスクを分析

(Image: Shutterstock.com)

金融庁は2月19日、証券監督者国際機構(IOSCO)の報告書「暗号資産取引プラットフォームに関する論点、リスク及び規制に係る考慮事項」について、内容の要約となる仮訳を公開した。IOSCOの報告書は、暗号資産取引プラットフォームについて、その論点とリスクを説明し、対処を行う規制当局への支援が目的。市場の公平性や顧客資産の保護など、重要な考慮事項を記したものだという。

暗号資産取引プラットフォームの規制に関して、論点の多くは伝統的な証券取引所と共通する。規制当局が、暗号資産が証券に該当すると判断する場合、証券規制の原則を適用することとなる。このことから、証券取引を監督するIOSCOの原則と方法論は、暗号資産取引プラットフォームのリスク検討においても有用な指針であるとIOSCOは考える。

報告書がまとめる考慮事項は以下の7点とされる。

  • 暗号資産取引プラットフォームへのアクセス
  • 顧客資産の保護(カストディアレンジを含む)
  • 利益相反の特定と管理
  • 暗号資産取引プラットフォーム業務の透明性
  • 市場の公正性(暗号資産取引プラットフォームの取引ルール並びに当該ルールのモニタリング及びエンフォースメントを含む)
  • 価格発見メカニズム
  • テクノロジー(弾力性及びサイバーセキュリティを含む)

顧客資産の保護については、IOSCOは暗号資産取引プラットフォームにおけるカストディ業のモデルを3つに分類。事業者側がウォレットを管理する方式、サードパーティのカストディ事業者が管理する方式、利用者自身がウォレットを管理する方式に大別した。

こうしたカストディ業が抱えるリスクは、暗号資産の盗難や、預かり資産の混合、記録保持の不正確性といったものが考えられる。規制当局がカストディ業者に対して考慮するべき点として、顧客の所有権を明確にできるか、顧客の資産を盗難や紛失から保護する措置をとっているか、顧客資産を分離しているか、顧客資産を確認するのに正確な記録を維持できているかという4点が示された。

IOSCOの報告書では、ほかの6つの考慮事項についても、それぞれのリスク分析と、規制当局が考慮すべき点がまとめられている。同書は、2019年6月のG20大阪サミットへ提出、公表された市中協議書ついて、コメントを考慮し最終報告書としてまとめたものとなる。