イベントレポート

ハンズオンセミナーで最新ブロックチェーン技術「BBc-1」を実際に動かしてみた

BCCC 第5回技術応用部会

 一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)の技術応用部会は6月4日、ハイブリッド型ブロックチェーン「Beyond Blockchain One(BBc-1)core v1.0」を体験できるハンズオンセミナーを開催した。BCCC加盟各社の技術担当者を対象に開かれたセミナーに、約30名の技術者が集まった。

BCCC技術応用部会長・森 一弥氏のあいさつからスタート

 今回、第5回となる技術応用部会では、5月22日に一般社団法人ビヨンドブロックチェーンより正式版(v1.0)がリリースされたばかりの新しいブロックチェーン/分散型台帳技術である「BBc-1」の核となる「BBc-1 core」を、実際に自分のパソコンにインストールし、起動、動作確認ができるまでの一連の流れを体験する。

早速「BBc-1」をインストールしてみよう

 セミナーの講師は、一般社団法人ビビヨンドブロックチェーン代表理事の斉藤 賢爾氏および同理事で「BBc-1」の中心的な開発者である久保 健氏が務める。

ビヨンドブロックチェーン代表理事・斉藤 賢爾氏
ビヨンドブロックチェーン理事・久保 健氏

 まずは斉藤氏より「BBc-1」についての解説が行われたが、「BBc-1」は先の発表イベントにて詳細が明らかになっていることから、斉藤氏は「BBc-1」はプライベート型ブロックチェーンとパブリック型ブロックチェーンの双方の良さを併せ持つハイブリッド型の次世代ブロックチェーン技術であり、小規模なネットワークでも高い情報の信頼性と改ざん耐性を確保できるのが特徴という簡単な説明にとどめ、早速具体的なインストール方法の説明へ移った。

 ここで筆者が簡単な説明を挟むが、「BBc-1」はいわゆるBitcoinのブロックチェーン技術と同様にP2Pでネットワーク化されていることと、電子署名により取引(トランザクション)を行っている部分は同じだが、改ざん耐性を確保するための仕組みは「BBc-1」ならではのプライベート型ブロックチェーンによる合意で実現する部分が、大きく異なる点にある。今回のハンズオンでは、「BBc-1 core」によるファイルの記録、電子署名の付加、署名後はその記録が更新権限のある署名者以外にはできないことを体験する。

BBc-1の解説
インストール方法と起動の仕方の解説

 「BBc-1 core」のインストール方法については、久保氏より解説が行われた。具体的な「BBc-1 core」のインストール方法についてはスライドが用意されていたので、それを読み進めていくだけで、技術者であれば、その手順で簡単に作業が進められるようになっていた。前述のスライドは記事執筆時点でもSpeaker Deckというサイトにて公開されている。

「BBc-1 ハンズオン」用のスライドはSpeaker Deckにて公開されている

 また、スライド内にて参考ページとして挙げられているGithubのURL先、「BBc-1 Core チュートリアル: インストールガイドには、「BBc-1 core」のインストール方法と環境設定についても詳しくドキュメントとして公開されている。こちらも読み進めていくだけで、ほぼ流れのままインストールができてしまうので、技術者であれば迷うことなく進められるだろう。が、非技術者にとっては難しい部分がないわけでもないので、ここで今回、筆者がインストール時に何に引っかかったか、どこが大変だったかを報告しておきたい。

GithubのURLが載っているスライド部分

 「BBc-1」は「Python」というプログラミング言語で書かれているプログラムのため、当然ながらパソコンにPythonをまずインストールしておく必要があるのだ。ちなみにPythonのバージョンは、3.5.0以降、推奨は3.6.0以降だ。この情報については先に聞いていたので、セミナーにはあらかじめPythonをインストールしたパソコンを持ってきていたのだが、次のスライドを見ていただきたい。

BBc-1の動作環境

 これを見ていただくとわかると思うが、macの環境ではmacOS+Homebrew、LinuxはUbuntu 16.04 LTS以降などといった指定がある。各自のパソコンは、それぞれ前提となる環境を整えておく必要があるのだ。ちなみに今回、編集部から持って行ったパソコンは自分でPython 3.6をインストールしてきたWindows 10なのだが……なんとWindows 10に必要な前提環境は、Windows Subsystem for Linux(Beta)という機能をオンにして、その上にLinuxをインストールする必要があったのだ。つまりWindows 10はLinuxをインストールし、Linux上でPythonを走らせるという方法だったのだ。むむむ、それを今からやらねば。

筆者が事前用意した「Windowsに直接Pythonをインストールした環境」は間違い!!

 くどいけどもう一度言うと、Windows 10での正しい前提環境は、Windows Subsystem for Linuxを起動し、そこにLinuxをインストールし、そのLinux上でPythonを走らせるという方法だ。

Windows Subsystem for LinuxでBashを起動したところ

 実はその方法もドキュメントをたどっていくと、すべてやり方が書いてあるので、こちらも迷うことなく進めることができるのだが、ハンズオンセミナーというのは時間に限りがあるので、ここは焦る要素となった。ちなみにだが、Windows Subsystem for Linux(Beta)は、64bit版のWindows 10でしか実行できないので、そこも要注意だ。

わからないことがあったらすぐに講師の方に聞けるのがハンズオンのいいところ

 なんだかんだで、スライドとGithubのドキュメントを読み進めながら、うまくインストールできた結果がこちら。

Windows 10でBBc-1が動いた!!

ここで時間切れ

 残念ながら、ハンズオンセミナーはここで時間切れとなった。本来は、「BBc-1 core」をインストールしたあとは、自分で用意したテキストファイルなどにユーザーによる電子署名を施し、「BBc-1 core」にファイルを保存し、手元のファイルを削除後、「BBc-1 core」からファイルを復元させたり、あるいは手元のファイル内容を変更して「BBc-1 core」によるファイルの正当性を検証してみるなど、ブロックチェーン本来の面白さを体験できるはずだったのだが、その手前で終わってしまった。この工程も、もちろんドキュメントにて説明されているし、それぞれコマンドラインで数行ずつコマンドを実行していく方法で実行できるようになっているので、ここも時間があれば簡単に行えそうだ。

 ハンズオンセミナーでは、インストールできた人もいれば、やはり環境がうまく整わず筆者同様につまずく人もいたが、それも楽しい体験だった。今回は、Pythonに関する知識とLinuxに関する知識が若干必要なハンズオンではあったが、公開いただいている資料をしっかりと読み解いていけば、技術者でなくとも勉強しながらでも進められることがわかったことが大きな収穫で、なかなかいい経験になったと思う。

 「BBc-1」は、新しいブロックチェーン/分散型台帳技術であり、最先端の技術だが、ここからどう使われていくのか、何に応用されていくのか、そのあたりは「BBc-1」を実際に動かしてみる技術者が多ければ多いほど、より素晴らしいアイディアが生まれていくものだと思うので、興味のある方はこれを機にぜひインストールしてみていただきたい。

高橋ピョン太