イベントレポート

JCBAとBCCC、ブロックチェーンの社会実装目指し連携に関する協定を締結

2018年の業界的苦境をバネに2019年を「仕切り直し」の年へ

 一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)と一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)は12月27日、共同記者会見を開き両協会による連携に関する協定の締結を発表した。会見ではJCBA会長の奥山泰全氏と、BCCC代表理事の平野洋一郎氏が登壇し、活動実績の報告と提携内容の発表、協定書への調印を行った。今後、仮想通貨とブロックチェーン技術の普及推進と健全な業界育成を目指し、両協会が運営する各部会での知見共有をはじめとした各種連携を行っていくという。

 本会見において、仮想通貨とブロックチェーンに関する社会全体への啓発活動の推進を目的として連携体制をつくることを発表。会見の中で両代表は協定書に調印を行い、握手を交わした。

調印セレモニー

 本協定は、両協会の「業界の健全な育成を目指す」という共通するビジョンおよび業務内容の重なりを背景としている。協力体制を取ることで、業務の効率化と規模の拡大を行うという。そして、2020年3月末には両協会に加盟する企業を500社以上へと拡大することを目標としている。

 今回の協定により、具体的な連携内容が発表されている。両協会は、それぞれが運営している各部会への相互参加・交流および、それら部会の講師として相互にメンバーを派遣し合うことによる知見共有を行うという。さらに2019年内には、ブロックチェーンを生かした大衆向け大規模イベントの共催を検討中とのこと。

各協会の活動実績と2019年の抱負

 会見では協定に関する発表の他、JCBA会長の奥山氏と、BCCC代表理事の平野氏が順に登壇。各協会の活動実績と2018年に対する所感、2019年の抱負が両氏から語られた。

日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)会長の奥山泰全氏

 奥山氏は、日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)の沿革と2018年までに行ってきた取り組みについて述べた後、2018年を「非常に苦しい1年だったが、各社が改善対応に努め、大きな前倒しができた1年」と評した。そして、2019年の抱負として「仮想通貨が心機一転、仕切り直しとなる1年にしたい」と締めくくった。

ブロックチェーン推進協会(BCCC)代表理事の平野洋一郎氏

 平野氏は、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)の取り組みについて述べた。中でも2018年に起きた各交換所の仮想通貨流出事件や相場価格の下落を取り上げ、それらがブロックチェーンそのものの欠陥ではないことを強調。ブロックチェーン業界全体として試練の多かった2018年に対して、2019年を「晴れわたる年」にするという強い意志を見せ、セッションをまとめた。

仮想通貨、暗号資産への改名の行方

 会見の最後に両氏に対する質疑応答が行われた。質疑応答の中で、昨今話題となっている「仮想通貨」という名称の「暗号資産」への変更が話題に挙がった。両氏は協会としての見解ではないという前提の元、回答した。

 奥山氏は、金融商品取引法の改正による、「証券会社」という名称の変更を前例として取り上げた。正式には「金融商品取引業者」となった現在も多くの企業が「証券会社」という表現を変えていないという。同様にすべての「仮想通貨」という名称を「暗号資産」に置き換えるべきかについてはさらなる議論が必要という見解を示した。

 一方、平野氏は自身の個人的な見解として「資産」という名称がもたらす溜め込むものという意味合いに難色を示した。「通貨」に込められた価値の移転・流通という意味合いを重視したいとの見方だ。

日下 弘樹