イベントレポート
コインチェック社が仮想通貨交換業者の金融庁認定を受け会見、さらなる管理体制の強化を報告
マネックスグループの一員として「一歩先の未来の金融」を目指すなど今後の豊富を語る
2019年1月11日 23:59
マネックスグループの一員として仮想通貨交換所「Coincheck」を運営するコインチェック株式会社は1月11日、同日付けで金融庁より資金決済に関する法律に基づく仮想通貨交換業者として関東財務局への登録が完了したことを受け、東京都内で緊急記者会見を開いた。
会見には、同社代表取締役の勝屋敏彦氏、執行役員の和田晃一良氏、同じく執行役員の大塚雄介氏が登壇し、同社が金融庁認定の仮想通貨交換業者として正式に登録されたことについて報告し、認定を受けるまでのこれまでの同社の取り組みについて改めて説明を行う。
不正流事件からの一年を振り返る
2018年1月に仮想通貨NEMの不正流出事件を起こしたコインチェック社は、4月にマネックスグループの一員となり、以降、役員および社員が一丸となって事件再発の防止、さまざまな管理体制の強化を行ってきたという。今回の仮想通貨交換業者登録に関しては、同社にとっては一里塚に過ぎず、激しく変わりゆく業界においては、内部管理態勢や利用者保護を念頭においたガバナンス態勢の強化について、今後も変わらず不断の努力を継続していきたいと、勝屋氏は抱負を語る。
さらに会見では、事件発覚後、部分的にサービスを停止した仮想通貨交換所「Coincheck」について、不正流事件からの一年を振り返り、内部体制の強化を図りながらサービスの再開を目指したこと、サービス再開後の状況、そして今後の予定について解説をする。
サービス再開後の状況
前述の通り、コインチェック社は4月にマネックスグループの一員となり、新経営体制のもと、マネックスグループがこれまで証券業界にて培ってきた知見やノウハウをいかしながら、内部体制の整備と強化に努めたという。まずは、顧客の資産保護を行うための組織やセキュリティの強化を行ったとのこと。システム開発等を指揮する執行役員の和田氏は、ホットウォレットにて保管していたNEMの流出を反省点として、以降はすべての仮想通貨をコールドウォレットにて保管することとしたという。
また、3月8日に金融庁から業務改善命令を受けたコインチェック社は、それらについて真摯に取り組んできた。経営体制の抜本的な見直しとして、取締役会は執行部の監督を主としたガバナンス体制を整え、社外取締役を中心とした役員構成で監督機能を強化している。経営戦略の見直しでは、顧客保護の徹底に努め、内部管理やシステムリスク管理に経営資源を優先的に投入し、顧客に対する説明態勢、苦情や問い合わせに対する体制の拡充を図ってきたそうだ。
マネー・ロンダリングおよびテロ資金供与に係る対策では、本人確認の厳格化、事務ガイドラインにのっとりリスクの特定、評価、低減策等に関する施策を実施してきたという。
このように業務改善命令に対する同社の取り組みについては、各種態勢を抜本的に見直し、実効性の確保に努めてきたという勝屋氏。また、コインチェック社のみに留まらず、マネックスグループと連携した内部監査計画に基づく監査の実施や、システム監査に関する専門家の採用や内部監査室の人員強化にも取り組んできたことを強調する。
現状と今後の施策
こうした努力をしながら、10月30日にはようやく一部の仮想通貨の購入・入金サービスおよび新規口座開設受付を再開することができたという(売却・出金の再開は6月)。その結果、「Coincheck」の売買回数やBitcoin(BTC)の取引量についても順調に増加しつつあるとのこと。今後は、顧客のリテラシー向上を目的としたプロモーション施策の実施、入会から初回取引までのプロセスの改善、マネックス仮想通貨研究所などマネックスグループとの連携に努め、マーケティング施策を行いながらさらなる利用拡大を目指すという、今後の目標についても勝屋氏は語る。
マネックスグループの一員としてコインチェック社は「一歩先の未来の金融」という立ち位置で、仮想通貨交換業での確固たる地位を確立し、仮想通貨のみに固執せず「クリプトアセット」(暗号資産)を活用したサービスの創造を目指す。マネックスグループが目標とするオンライン証券の成長と共に、コインチェック社は「グローバル」「個人」「新技術」の3つの視点で金融を再定義しながら、グループとしてのシナジーを上げていくことに努めるという目標を掲げ、会見は終了した。
なお、コインチェック社は仮想通貨交換業者に登録されたことを受け、金融庁認定の自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)における会員種別が、第二種会員から第一種会員へ同日中に変更されている。