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IMFが季刊誌で通貨の未来について特集 ~仮想通貨・人工知能などデジタル革命への対処には国際協力が必要

 国連専門機関の1つで、国際通貨協力のための中心機関である「国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)」が発行している季刊誌「Finance & Development」の2018年6月発行号の「Money, Transformed - The future of currency in a digital world(変容を遂げたマネー − デジタル世界における通貨の未来)」という特集で、仮想通貨についても取り上げている。IMFの公式サイトで複数の記事が公開されているので、抜粋して紹介する。なお、各記事の意見は著者個人のもので、必ずしもIMFの方針を反映しているとは限らない。

 IMFの戦略政策審査局ディレクターのマルティン・ミューライゼン氏は「The Long and Short of The Digital Revolution(長期と短期のデジタル革命)」という記事で、18世紀後半にイギリスで始まった産業革命と、現在進行中のデジタル革命とを対比して論考している。その中で仮想通貨についても触れ、まず「ビットコインのような匿名の仮想通貨は、マネーロンダリングそのほかの違法行為との戦いという難題をもたらしている」「仮想通貨は、違法薬物、銃器、ハッキングツール、毒性化学物質の取引に使用できる」と、デメリットを挙げる。

 その一方で、「ブロックチェーン技術は、取引をより迅速かつ安全にすることによって金融に革命をもたらす」「潜在的な顧客に関するより良い情報は、返済の可能性をより正確に評価することによって、ローンの価格を向上させる可能性がある」というメリットも挙げている。また、規制の枠組みにおいては「財務の健全性を確保し、効率性と革新性を維持しながら消費者を保護する必要がある」とも述べている。

 仮想通貨以外にも、量子コンピューターや、ロボット工学、人工知能、機械学習など、デジタル技術のさらなる発達により、雇用の喪失や経済的混乱・社会不安を招く可能性があるとする。ただ、そういった混乱は産業革命時にも起きており、蒸気機関や電気によって新たな産業が生みだされたのと同じように、デジタル革命による経済再編は長期的にはメリットがもたらされるはず。そのためには国際的な政策協力が必要で、世界銀行やIMFなど国際機関の役割も重要だとしている。