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「仮想通貨バブルの物語」車輪の再発明か創造的破壊の時代か ~IMFが季刊誌で通貨の未来について特集
2018年6月14日 20:00
国際通貨協力のための中心機関「国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)」が発行している季刊誌「Finance & Development」の2018年6月発行号の「Money, Transformed - The future of currency in a digital world(変容を遂げたマネー − デジタル世界における通貨の未来)」という特集で取り上げられている仮想通貨についての記事を抜粋して紹介する。なお、各記事の意見は著者個人のもので、必ずしもIMFの方針を反映しているとは限らない。
IMFコミュニケーション局シニア・コミュニケーション・オフィサーのアンドリュー・アドリアーノ氏は「A Short History of Crypto Euphoria(仮想通貨バブルの物語)」という、経済学者のジョン・ケネス・ガルブレイス氏(2006年没)の著書『A Short History of Financial Euphoria(邦題:バブルの物語―暴落の前に天才がいる)』に基づいた論考を行っている。
例えば、ガルブレイス氏は「金融の世界は、車輪の再発明を何度でも歓迎する」といった趣旨の言葉を残しているが、仮想通貨の伝道者は「いままで見たものとは違っている」「世界を変えてくれるだろう」「新しい金、新しい株式のかたち」などと語っているとアドリアーノ氏は指摘する。また「金融危機はすぐに忘れ去られる」という言葉を引用し、Bitcoin(ビットコイン)のトレーダーたちはドットコム・バブル(インターネット・バブル)やリーマン・ショックのことを覚えていないと警鐘を鳴らす。
ただ、多くのクレイジーなアイディアは、バブル期に生まれるとも指摘。タイプライターの発明や、ドットコム・バブルの崩壊で倒産したWebvan(食料品のインターネット通販)やAllAdvantage(ターゲット広告の先駆け)などを例示し、バブル期は永続的な方法で人々の生活を変える発明を生み出す、創造的破壊の時代でもあるという。ただし、仮想通貨にも有望な兆候はあるものの、同様の影響が出るかどうかを断言するのは時期尚早とアドリアーノ氏。ガルブレイス氏が示したように、人々が金融バブルの教訓から学ぶことはめったにないそうだ。