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仮想通貨の普及に中央銀行・法定通貨が対抗するには? ~IMFが季刊誌で通貨の未来について特集

 国際通貨協力のための中心機関「国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)」が発行している季刊誌「Finance & Development」の2018年6月発行号の「Money, Transformed - The future of currency in a digital world(変容を遂げたマネー − デジタル世界における通貨の未来)」という特集で取り上げられている仮想通貨についての記事を抜粋して紹介する。なお、各記事の意見は著者個人のもので、必ずしもIMFの方針を反映しているとは限らない。

 IMF金融資本市場局で副局長を務めるドン・ヒー氏は「Monetary Policy in the Digital Age(デジタル時代の金融政策)」という記事で、仮想通貨の普及によって中央銀行が発行する法定通貨の需要が減少するかもしれないと論考している。約20年前、インターネットが普及し始めた頃に、著名な経済学者や中央銀行のグループが議論していたことでもあるという。

 まだ仮想通貨は法定通貨と比べたらあまりに不安定で高リスクであるが、継続的な技術革新によって解消されるかも知れないとドン氏。安定した通貨制度に期待されている重要な機能がまだ欠如しているが、人工知能による「スマートな」発行規則の採用などにより、評価が安定する可能性もあるという。仮想通貨には現金取引のような匿名性や、遠距離での取引を可能にする特性があり、仲介なしの迅速な精算処理で国境を越えた支払いに要する時間を大幅に削減できるため、特にデジタル経済におけるマイクロペイメント(小額決済)にとって魅力的だという。

 法定通貨が仮想通貨に対抗するには、ビッグデータや人工知能、機械学習などを活用した経済予測と効果的な金融政策で仮想通貨より安定した通貨にするよう努力し続けること、マネーロンダリングやテロ資金の禁止、消費者保護の強化や課税などにより仮想通貨を規制すること、デジタル・トークンの発行など決済手段としてより使いやすく魅力的なものにすることなどを挙げている。