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政府税制調査会、各仮想通貨交換業者統一様式の年間取引報告書の提供協議中を報告

第3回専門家会合で内閣府マイナンバー総合サイト「マイナポータル」現状ヒアリング

 内閣総理大臣の諮問機関である政府税制調査会は11月5日、第3回「納税環境整備に関する専門家会合」を開催した。同会合は、仮想通貨取引やシェアリングエコノミーなど新たな経済取引の普及や働き方の多様化により複雑化する所得における適正課税の実現に向け、これからの納税環境整備のあり方について議論をする少人数の専門家会合である。第3回会合では、株式会社野村総合研究所および内閣官房番号制度推進室を招き、マイナポータル(内閣府のマイナンバー総合サイト)を活用した納税に関する現状のヒアリングほか、最後にこれまでの議論の整理が行われ、仮想通貨取引による所得に関する確定申告のあり方についても改めて意見がまとめられた。

マイナポータルの主なサービスは6つ(納税環境整備に関する専門家会合資料より引用、以下同)

 前回の会合では、仮想通貨取引については、各交換業者は自社を通じた取引分に限れば申告に必要な情報を顧客に対して提供できるだろうという議論が行われた。しかし、仮想通貨は簡易に口座間の移転を行うことができるため、複数の交換業者を利用している顧客が交換業者をまたがって口座間の移転を行った場合、移転先の口座を管理する交換業者は、移転元における仮想通貨の取得価額が把握できないため、当該仮想通貨における損益の計算ができないという課題も挙げられている。また、仮想通貨交換業者は税務当局から任意の協力による情報の提供を求められることもあるが、情報提供については顧客との間でトラブルが生じるのではないかという懸念を示す交換業者もいるという。

 仮想通貨交換業者の中には、すでに年間の取引内容をまとめた報告書を顧客に提供している例もあるが、そうした情報提供を行っている仮想通貨交換業者は一部にとどまっているという。また、業者によって様式が異なるため顧客にとって分かりづらい状況であるといった意見もあるようだ。

 これらの状況を踏まえて、国税庁が平成30年4月以降、仮想通貨交換業者を所管する金融庁の協力をあおぎ、仮想通貨関連団体とともに「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を開催し、仮想通貨交換業者から顧客に対する申告に必要な情報の提供等について協議を行っていることも報告された。また、確定申告に不慣れな納税者の場合は税理士に相談することも考えられるが、その場合、年間の取引内容をまとめた報告書があれば、税理士による申告書の作成も比較的簡易にできることから、上記研究会においては、各仮想通貨交換業者で統一された様式の「年間取引報告書」(仮称)を顧客に提供するよう協議を行っており、平成30年分確定申告(平成31年2月から3月)より、そうした情報提供が実現する見通しであることも併せて報告された。

 なお、今回の会合は、これまでの議論で行われてきた、経済社会のICT化を踏まえた納税環境の整備として電子データそのもののやり取りやマイナポータルの活用なども視野に入れてはどうかという意見を受けて、マイナポータルおよびそれに関連するサービスの実用化を検討する外部団体等による現状報告が行われたヒアリングがメインの会合である。マイナポータルに関する資料も併せて公開されているので、興味のある方は一読されてみてはいかがだろうか。

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