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財務省、広報誌に「仮想通貨の確定申告手続き簡素化」特集を掲載

2月18日から3月15日までに2018年分確定申告書の作成・提出が必要

「ファイナンス平成31年1月号」より引用、以下同

 財務省は1月18日、同省の広報誌「ファイナンス」平成31年1月号を発行した。同誌では「交換業者が年間取引報告書を交付 仮想通貨の確定申告手続きを簡素化」と題した仮想通貨ユーザーの確定申告に関わる特集記事が掲載された。2018年1月1日から12月31日までが課税対象期間である2018年分の仮想通貨の確定申告は、各仮想通貨交換所が発行する「年間取引報告書」と国税庁が配布する「仮想通貨の計算書」を利用することで、所得額の計算が大幅に簡素化されるという。確定申告期間は、2月18日から3月15日まで。

 仮想通貨の所得は雑所得に区分される。一般的な会社員であれば、給与と退職金以外の所得の合計が20万円より大きい場合に確定申告が必要となる。仮想通貨の売買や決済利用で20万円を超える利益を得ていた場合、1年間の利益を計算し、申告が必要だ。申告書類は国税庁の確定申告書作成コーナーなどで作成し、e-Taxを利用して電子提出するか税務署へ持参あるいは郵送することとなる。

 ファイナンス誌によると、仮想通貨の利用により所得が発生するケースは3パターンに大別できるという。A「仮想通貨を売却した場合」とB「仮想通貨同士を交換した場合」は、それぞれ利用した仮想通貨の取得時の時価を元に発生した利用時点での時価を差し引いた差額が雑所得となる。また、C「仮想通貨で買い物代金や飲食代金を支払った場合」にも、その仮想通貨を取得した際の時価と入手した商品・サービスとの差額を利益と考え、雑所得に加えなければならない。

 2017年分の確定申告では、仮想通貨交換所の利用者が上記A、Bに類する雑所得をまとめるために、各交換所の取引情報を取り扱った通貨ごとに利用者自らが収集し集計する必要があるなど、申告書の作成は煩雑を極めた。交換所によっては利用者の申告を助けるべく年間取引の明細が提供されたが、記載内容が一定ではなくフォーマットはさまざまであった。

 そうした背景で、国税庁は「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を主催し、仮想通貨取引に係る申告の利便性向上に向けた方策を協議してきた。協議の成果として、2018年分の確定申告では、国内の各仮想通貨交換所から利用者向けに統一書式の「年間取引報告書」が1月以降交付されることが決定した。国税庁がWebサイトで公開する「仮想通貨の計算書」(Excelファイル)と合わせて、仮想通貨の所得額の計算が大幅に簡素化されるという。

年間取引報告書を活用した仮想通貨取引に関わる申告手続きのイメージ

 簡素化された2018年分の確定申告にあたっては、利用した仮想通貨交換所から発行される2018年内の仮想通貨の取引履歴をまとめた資料「年間取引報告書」と、仮想通貨での商品購入を行っていた場合にはそのレシートを用意する。それらの資料を基に、「仮想通貨の計算書」(Excelファイル)の案内にしたがって入力を進めれば、確定申告の際に必要となる所得金額等が自動的に計算される。算出された金額を用いて、国税庁の確定申告書作成コーナーなどから確定申告書類を作成し、税務署へ提出するという手順となる。

 注意点として、「年間取引報告書」および「仮想通貨の計算書」は、売却した仮想通貨の取得価格の計算法として「総平均法」を用いている。「移動平均法」を利用する場合には、前年同様に手計算と記帳が必要となる。なお、2017年分の申告に「移動平均法」を使用していた場合にも、以降の申告で「総平均法」を利用することを前提に、「総平均法」への切り替えが認められるという。

 ファイナンス誌では、本稿で取り上げた簡素化された確定申告手順の他、「ハードフォークにより発生した新規通貨の扱い」や「マイニングにより取得した仮想通貨の扱い」など、仮想通貨関連の確定申告にまつわるQ&Aが掲載されている。確定申告の書類を作成する前に一通り目を通しておくべきだろう。また、仮想通貨の税務上の扱いについては、国税庁の仮想通貨関係FAQの添付資料にて、税務上の区分や計算方法が細かく記されている。