仮想通貨(暗号資産)ニュース

クリプタクト、仮想通貨オプション販売専門の子会社「Protoption」を設立

価格変動リスクヘッジ手段の提供、デリバティブ取引を円滑化するスマートコントラクト開発にも着手

(Image: Shutterstock.com)

 仮想通貨の投資家支援プラットフォームなどを提供する株式会社クリプタクトは3月5日、仮想通貨のオプション販売を専門とする子会社「株式会社Protoption」(以下、プロトプション社)を設立した。仮想通貨取引におけるヘッジ手段として、オプション市場を創設する。ヘッジ手段の提供によって投資家層の拡大を促し、仮想通貨のボラティリティ(価格変動率)の抑制を目指すという。

 従来の金融商品と比べて、仮想通貨のボラティリティは非常に大きい。価格の変動が暗号資産を長期保有する上での障害となり、機関投資家を含めた幅広い層の投資家の参入を阻む一因となっているという。伝統的な金融市場ではこうしたリスクをヘッジする手段としてデリバティブ(金融派生商品)が発達しており、価格変動リスクを回避する手段が数多くあるが、日本国内の仮想通貨取引においては、リスク回避の手段がないという。

 プロトプション社は事業として、仮想通貨オプションの組成・販売を提供する他、仮想通貨デリバティブのスマートコントラクト開発を行うとしている。伝統的な金融市場では、ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)が作成した契約書にもとづいて、個々の取引で「取引明細」を交わすことで、取引全体の契約書として機能させている。仮想通貨市場においても同社は、ISDAの機能とルールに相当するものを策定し、実際のオプションの売買、満期日における清算などを行うスマートコントラクトを開発するという。

 仮想通貨のオプション販売について、クリプタクトの共同創業者であり代表取締役の斎藤岳氏は、具体的にはプットオプション(ある価格で売れる権利)であると説明をする。基本的にはダウンサイドのプロテクト手段である。原資産となる仮想通貨をある価格で売ることができる権利を投資家は買い、プロトプション社がそれを引き受ける。オプションを購入することで投資家は、仮想通貨をいつでも決められた価格でプロトプション社に売ることができる権利を得る。万が一仮想通貨の価格が決められた価格以下に暴落した場合、権利を行使することで損益分の差額を受け取ることができるという商品だという。ちなみにアップサイドにおいては、投資家は権利を行使することなく、取引市場において自由に売買を行うことができる。

 プロトプション社が提供をするプットオプションについては、仮想通貨の現物の受け渡しを行うことなく、実際には日本円で損益分の差額のみを支払ういわゆる差金決済のため、仮想通貨交換業にあたいしないためライセンスは必要ない。現物ではなく、ビットコインのデリバティブ指数のオプション(デリバティブ指数)=FX(レバレッジ)、デリバティブ(先物)のオプションとして販売をする予定とのこと。ただし、仮想通貨のデリバティブについては、金融庁の先の「仮想通貨交換業等に関する研究会」の報告書において金融商品となる可能性があると示されたことから、今後、法律の改正によっては金融商品取引法(金商法)の対象になる可能性もある。その場合は金商法のライセンスが必要になるという。

 プロトプション社は、まずはオプション市場の創設を目指すために、年内は実証実験として行うとしている。実証実験については、買い手をセレクティブな形で数人(数社)から数十人程度、100人も満たない、業とは呼べないようなレベルのクローズドな環境で行い、オプション市場の創設を目標とした実験を開始する予定である。

 オプション市場の創設については1年後には行いたいとするも、実際には仮想通貨に関する新しい法律の施行次第とのこと。プロトプション社では、仮想通貨のデリバティブが金商法の対象になった段階で必要なライセンスも取得する準備はあるという。

 また、一方のISDAの機能とルールに相当するものを策定するスマートコントラクト開発については具体的な案は検討中だが、これらは仮想通貨による決済という方法も考えられるため、案によっては仮想通貨交換業者のライセンスが必要になることもあるが、ライセンスについてはプロトプション社自身が取得することも考えられるが、同社はプラットフォーム提供者となりライセンスを持つ企業と共同でサービスを行うことも考えられるとするも、いずれも決定事項ではないという。

株式会社クリプタクト・代表取締役の斎藤岳氏