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Ethereum、次期コンセンサスアルゴリズム「ProgPoW」の是非に対する投票を実施中

全ETH保有者を対象。投票締め切りは4月10日頃

(Image: Shutterstock.com)

 Ethereumは3月15日頃より、「CarbonVote」のシステムを用いて次期コンセンサス(合意形成)アルゴリズムの候補である「ProgPoW」の是非についてユーザー投票を実施している。投票の締め切りは4月10日頃までとされる。第750万4000ブロック時点での投票者の保有ETH量をベースに、最終的な得票が計算される。途中経過となるが、現在は投票者の資産ベースで93.7%がProgPoWの実装に「賛成」の票を投じている。

ProgPoWの是非に対する投票状況(CarbonVoteより引用)

 議論の対象となるEthereumのコンセンサスアルゴリズムは、現在「ethhash」が採用されている。合意形成の仕組みはマイニングに影響する。「ethhash」は、ASICと呼ばれるマイニング専用の機器での計算に対して、一般的なPCで行うGPUでの計算がある程度優位になる「ASIC耐性」を備える。

 「ProgPoW」は、Ethereumの次期コンセンサスアルゴリズムとして、10月頃に実施を予定している大型アップデート「イスタンブール」(Istanbul)での実装が検討されている。「ethhash」よりもさらに高いASIC耐性を備える。理論上、「ProgPoW」下でASICは、GPUに対して最大でも20%程度しか優位性を持つことができない。

 一方、現行の「ethhash」に対して、「ProgPoW」におけるGPUマイニングのハッシュレートは、多くのGPUが半分程度のスコアしか出せないという検証結果が報告されている。総ハッシュレートの低下によるブロックチェーン全体への影響なども懸念される。「ProgPoW」とそれに関わる仕様の決定、実装の是非についてはコア開発者会議などで、かねてより議論が重ねられてきた。

 2月以前、コミュニティ各所で有志による「ProgPoW」に対する意見がまとめられるなどの取り組みがあった。それらはコミュニティの意思として参考にするには信頼性に欠けるとして、「CarbonVote」による、Ethereum(ETH)の所有者全体を対象にした投票が実施される運びとなった。締め切りは4月10日頃を予定している。

 「ProgPoW」の是非に対する投票は、ETHの保有者であれば誰でも投票が可能だ。投票方法は、progpowcarbonvote.comに記された賛成また投票のいずれかのウォレットアドレスに対して、0ETHを送金する。ウォレット内の保有ETHの量が投票数として反映される。都度送金手数料は必要となるが、再度送金することで投票先を変更することも可能だ。投票を行ったウォレット内のETHが送金されたり、ロックされたりすることはない。

 CarbonVoteの得票は投票者の第750万4000ブロック時点での保有ETH量を反映する。記事執筆時点で約314万ETHが投票されており、ETHの総量に対して約3%の投票率となる。投票者の保有ETHベースで、約93.7%が「ProgPoW」の実装に賛成の票を投じている。投票の結果によって「ProgPoW」の実装が決定するわけではないが、今後の議論においてコミュニティの意思として扱うとのこと。